第2章 Aランクの異世界転生冒険者 ★5★
「固まってないで行くぞ。」
俺は驚いて固まっていたソリティアに声を掛ける。
「お前は一体‥‥‥」
「だから説明しただろ。ゴーレム討伐の依頼を受けたAランクの冒険者だって」
「そんな事を言っているのではない。ゴーレムを真っ二つにするなんて真似出来るはずがない!」
「そうか?まぁ細かいことは気にするな。ほら行くぞ」
「ちょっと待て、‥‥痛っ!」
ソリティアは落ちた時に足を怪我したらしく立ち上がれない。俺は仕方なくヒールをかけてやる。
「お前、回復魔法まで‥‥剣士ではないのか?」
「細かいことは気にするなって言ったろ。行くぞ」
俺はソリティアが立ち上がれたのを確認すると歩き出す。しばらく歩いたがソリティアは静かになり後ろをついてくる。すると先にかなりの大きく立派な扉が見えた。
「あれは出口か?」
扉を見つけたソリティアは急に走りだし扉を開けようとする。しかし俺は嫌な予感がしていた。ゲームでもこういう大きくて立派な扉を開けると、大体ボスキャラが待ち構えているからだ。俺はソリティアを制止したが聞く耳を持たす扉を開けて中へ入ってしまった。俺は仕方なくソリティアを追いかけ中に入ると扉が勝手に閉まってしまった。
「ちっ、閉じ込められたか」
俺はソリティアの方を見ると自分のせいではないと言わんばかりに目をそらす。その時だった急に部屋に明かりが灯る。その瞬間、身もすくむような獣の叫び声がする。首が2つあり、片方は赤い顔のライオン、もう1つは青い顔のライオン。体は金色の毛に包まれており立派な羽が生えている。その上尻尾は蛇だ。俺は一目見ただけでヤバイとわかった。ソリティアは腰を抜かして床に水溜まりを作ってしまっていた。俺は直ぐ様鑑定を使う。
キメラ
年齢 - LV 68
種族:合成獣
体力:570
魔力:350
筋力:520
耐久:480
俊敏:620
スキル: 〔ファイヤーブレス〕 〔アイスブレス〕 〔超再生〕 〔猛毒〕 〔風魔法LV5〕 〔敏捷上昇・中〕
「この強さストーンゴーレムの比じゃないぞ!AランクもしくはSランクまでいくかもしれない」
その言葉を聞きソリティアの水溜まりは更に広がっていく。
「ソリティア!早く下がれ」
俺はソリティアに叫ぶが腰が抜けているようで立つことが出来ないでいる。俺よりもソリティアの方がキメラに近いためキメラはソリティアを標的にしアイスブレスを放つ。
「まずい!くそ‥‥」
とっさの事でアイスブレスを防ぐ事ができず、俺はソリティアを突き飛ばし回避させたが俺は右腕にアイスブレスを食らってしまう。右腕は凍り付き動かすことが出来ない。その状況を見たソリティアは顔が真っ青になっている。流石に自分のせいだと思っているようだ。
「さぁどうしたもんかな。このまま無理に動かすと砕けてしまいそうだな(無くなった腕とかも再生する魔法ってあるのか?)」
俺はサンダーボルトを放つもキメラは容易くかわし俺を標的にする。赤い方がブレスをはこうとする。
(さっきは青い方がアイスブレスを使ったから今度はファイヤーブレスか?魔法で防御するとなるとあれかな?)
キメラが吐き出すファイヤーブレスは俺めがけて迫ってくるが俺はそれを遮るようにアクアウォールを使う。イメージでは地面から水が吹き出し壁となりファイヤーブレスを防げると思ったのだ。想像通り水の壁がファイヤーブレスを防ぐ。
(本当に思ったら通りの魔法が使えるな。この際、俺は魔法を創造出来るという事で戦略を立てて良いだろうな)
「こうなったら色々試させて貰うぞ!」
俺はアクアウォールで相手は視界を遮られてるのを良いことに、そのままその水が大きな波のように相手を襲うようイメージする。
「アクアウェイブ!」
大量の水がキメラをを押し流しキメラを壁へ激突させる。しかしキメラは殆どダメージを受けていない。しかしそれは想定内だ。キメラを水で濡らす事が目的だからだ。俺は再度サンダーボルトを使うが、キメラは先程と同じく余裕でかわす。しかしサンダーボルトは地面に落ち濡れた水を伝いキメラにダメージを与える。しかし与えた傷は直ぐ様治っていく。
「くそっ。超再生か、忘れてた」
俺はこの戦いが長引くことを覚悟した。




