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第4章 魔族VS人間★7★

 暫く馬車を走らせ少しずつ日がくれ始めた。今回は従者がいないので馬車はユキネが仕切っている。俺は馬の扱いなどしたことがないので馬術の心得があるユキネがやることになった。


「今日はここら辺で野宿かな」


「そうですね。ここら辺なら辺りを遮るものがないですから何かあっても直ぐにわかりますし」


 俺はアイテムボックスから前に作ったお風呂を小屋ごと出した。そして土魔法で皆が横になれるほどの簡易的な家を作った。


「ユウキさんはすごいですね。魔法をこんなことに使えるなんて。普通は戦闘の手段としてしか使わないのですが‥‥」


「魔法は戦闘の為だけじゃなく生活を豊かにするものだと思うんだけどな。むしろその方が役に立つだろ?」


「ユウキさんは本当に変わってますね。考え方が普通の人とは違うと言うか‥‥」


 俺は自分の事を皆に話した方が良いんじゃないかと思った。皆は俺を信用してくれている。ただ俺はそんな皆を騙しているのが少し心苦しくなったからだ。夕食の時にでも話そう。信じてもらえるかわからないが、皆にこれ以上隠し事はしちゃいけない。夕食を終えて食後のコーヒーを飲みながら皆に話し掛ける。


「皆、少し良いかな?」


「どうしたんですかユウキさん?そんなにあらたまって」


「皆に謝らなければいけないことがあるんだ」


「まさか私達に内緒でまだ奥さんがいるなんて訳じゃないでしょうね?」


 ミネアがジロッとこちらを見る。


「ち、違うよ‥‥‥実は俺の故郷の事なんだ」


「日の本の国の事ですか?」


「その事なんだが‥‥‥ゴメン。実は俺はこの世界の生まれではないんだ。別の世界に生まれて生活をしていたんだけどちょっとした手違いで命を落としてしまって。それでエリス様が俺をこの世界に転生させてくれたんだ。この世界で生きていけるようにレアなスキルを持たせて‥‥」


「‥‥‥そんな事本当に‥‥‥」


「だからエリス様のところに行った時初めてじゃない感じだったんですか‥‥‥」


「あぁ。だから俺がこんな強さを手にいれたのもズルみたいなもんなんだ」


 女性達は言葉に詰まってしまう。今まで圧倒的な強さを見せた俺が、そんなズルで手にいれた力で自分達を越えていったのかとでも思っているのだろう。


「ユウキはちょっと勘違いしてない?」


「どういう事だ?」


「スキルっていうのはね、幾ら欲しいからと言ってもその人にそのスキルに見合うだけの素質がなければ覚えることが出来ないんだよ。ユウキがどれ程凄いスキルを持っていたとしても、それはユウキに実力があったから覚えることが出来たんだよ」


 ミネアが言うように確かにエリス様も、俺に素質があるような事を始めに言っていた。


「それにユウキさんだって始めから今ほど強いわけではなかったのでしょ?高ランクの魔物と戦ったときや魔神と戦った時だって傷つきながらも一生懸命だったじゃないですか」


「ユウキさん、私達はユウキさんがただ強いから好きになったんではないんですよ。確かに強いのも魅力の1つです。でもその力で何をしてきたのかで人の価値は決まると思います。実際今のユウキさんなら国を滅ぼし自分が新たな王として君臨することも出来るはずです。でもユウキさんはそれをしなかった。自分が大事だと思う人を守るために力を使っていますよね。そういうところに私達はひかれたんです」


「そうよ!確かに顔も格好いいけどそれだけでここまで好きになったりなんかしないわ。強いところも、格好いいところも、エッチなところも、でも私達を1番大事にしてくれる‥‥‥そんなユウキだから一緒になりたいって思ったのよ!」


 皆の話に俺はいつの間にか涙を溢していた。元の世界にいたら決してここまで俺の事を思ってくれる女性に出会うことはなかっただろう。俺をアクセサリーの1つのように損得で好きになった女性とは違い、好きな相手の事を第1に考えれる、そんな素晴らしい女性と家族になれてるのだ。


「ありがとう。ミネア、ユキネ、サタン。胸の奥で引っ掛かっていた物がとれたよ。さっさと魔族討伐を終えてゆっくりとしたいな」


「そうね。ねぇユウキ、ユウキのいた世界のこともっと聞かせて」


「私も聞きたいです」


「私も‥‥」


「良いぞ。俺のいた世界は‥‥」


 その晩は皆で横になりながら俺のいた世界の事を皆に話した。驚いたり興味を持ったり色々な反応だ。俺達は夜遅くまで話し込んだ。




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