第4章 新しい刀★3★
「あれっ?マサムネ、どうしたんだ?」
「ユウキ、ちょっと店まで来てくれ」
俺は急にマサムネに手を引かれ店まで戻ることになった。
「オヤジ、ユウキを連れてきたぞ!」
「マサムネも、ムラマサさんも一体どうしたんだ?」
「ユウキ、お前が素材として持ってきた神魔石なんだがな、これでは刀は作れそうにないんだ」
「えっ!一体どういう事ですか!」
「この素材なんだがな、いくら火に入れても溶けないんだ。そのせいで全く加工が出来ないんだ」
流石神魔石と言うべきか、まさか加工自体が出来ないとは思っても見なかった。だが俺の新しい神様と同じ魔力を流すのにこれ程適応する素材はないだろう。もしかして火力の問題ではないのかも?そう思った俺は1つの策を思いついた。
「ムラマサさん、俺がこれから出す火で試してみてください」
「わ、わかった。だが一体何を‥‥」
俺は全属性の魔力を纏う。光輝く魔力が俺を覆う。
「な、なんだこの魔力は‥‥」
俺は全属性の魔力を使い炎を出す。咄嗟に思いついた炎の名は神炎だ。
「この炎で試してみてください」
ムラマサさんは恐る恐る神炎の中に神魔石を入れる。俺は神魔石が溶けるように魔力を込める。すると神魔石を乗せている台は溶けないのに、神魔石は徐々に赤くなり加工できる様になっていった。
「どういう事だ!あれほど熱しても1つも変化のなかった神魔石が‥‥‥」
「多分俺の魔力に反応したんだと思います。俺が今使った神炎の魔力はちょっと特殊なんで」
「詳しい事はわからんがこれで進められる。ユウキ暫く付き合って貰うぞ」
「わかりました。俺の為の刀ですからね」
それから5日ほど日中はマサムネの所に通い詰めた。あらかた形が出来たところでムラマサさんからはもう大丈夫と言われたのでこれでゆっくりと出来そうだ。後2日もあれば新しい刀が出来るらしい。
「ただいま」
「お帰りなさい、ユウキさん」
「サリー、今日の夕食も美味しそうだな。良い香りがする」
「今日はユキネさんと一緒にカレーを作りました。沢山食べてくださいね」
「お帰りなさいユウキ。明日もマサムネの所に行くの?」
「ただいまミネア。取り敢えず今日で終わりかな。後2日もすれば出来るみたいだからな」
「それなら明日はゆっくりと出来そうね」
ミネアはウィンクをしてくる。新しい刀を造るために日中はマサムネの所に通い詰めていたので、余り皆と一緒にいれなかったから明日は少し羽を伸ばそう。そんな事を考えているとユーリが慌てて帰ってくる。
「ユウキさんちょうど良かったです。緊急のお話があります。皆さんも集まって下さい」
「どうしたんだそんなに慌てて‥‥‥」
ただならぬ雰囲気に皆が集まってくる。
「皆さん落ち着いて聞いてください。獣人の国のウェルズが魔族の襲撃を受け壊滅したそうです」
「魔族の襲撃!今までそんな事はなかったのに」
ミネアが声をあげる。ここ数百年魔族が本格的に人間の国に攻めてきた事などなかったから驚くのも無理はない。
「恐らく俺がラファエルを倒した事で均衡が崩れたんだろう。サタンも今は俺達といるし、ダークドラゴンが魔神2人が魔物の大群を連れて移動してたと言っていたからな」
「きっとルシフェルとベルゼバブが手を組んだのでしょう。人間の国に攻めたと言うことは魔族領は統一されたと見て良いでしょう」
あの国にはSランクのクレアさんやAランクのリアナさんがいたが、流石に魔神二人に攻め込まれては勝つことは出来ないだろう。
「今後の対応を決めるために、ユウキさん達に明日ライルさんと共にジャスティ王に会いに行って欲しいそうです」
「わかった。ミネア、ユキネ、サタン一緒に来てもらって良いか?」
3人は黙って頷く。ゆっくりとできると思っていたがまた厄介事が起きてしまった。




