第4章 神魔石★4★
俺が全ての属性を纏った時の魔力が神様の魔力と同じなら、神魔石で作った刀と相性は良いだろう。何せ元は神様と邪神が戦った時の魔力が結晶化したものだからだ。これで天照の時のように砕けたりはしないはずだ。
「まぁ俺の魔力の事はさておき必要な分の神魔石は貰うけど良いですよね?」
「う、うむ。そう言う約束だからな」
俺は必要な分を採ろうとするがどうやって採るか悩んでしまう。今は天照もないのでどうしたものかと考えているとダークドラゴンが不思議そうに見ている。
「どうした?早く必要な分を持っていくが良い」
「どうやって採ろうかと思って。何も道具とか持ってこなかったんで」
「そんなのこうすれば」
サタンちゃんは神魔石を殴りつけるが甲高い金属音が響き神魔石に傷1つついていない。
「かなりの硬度ですね。手がまだ痺れています」
「単純に筋力が足りんのだよ。見ておれ」
今度はダークドラゴンが物凄い勢いで神魔石を殴りつけるが結果はサタンちゃんと同じだった。
「我の攻撃でも駄目とは。流石に神様と邪神の魔力が結晶化した神魔石だ」
ダークドラゴンでも駄目となると本当にどうしたら良いのかわからない。するとダークドラゴンは何か思い付いたようだ。
「お主が先程の魔力を纏って攻撃してみれば良いんではないか?神様の魔力と同じなのだから」
確かにダークドラゴンの言うとおりだ。俺は全ての属性の魔力を纏う。久し振りに空手の構えをとる。腰を落として逆付きの構えだ。気合いを入れて全力で神魔石を突く。確かに神魔石を壊すことが出来た。しかし俺もサタンちゃんもダークドラゴンも開いた口が塞がらない。神魔石を少しだけ削るつもりが粉々に砕けてしまった。
「お、俺が悪いんじゃないからな。ダークドラゴンがやれって‥‥‥」
「確かにそう言いましたね」
「わ、我が悪いのか‥‥‥確かにやれと言ったが‥‥‥」
「でもこれだけ砕けてしまっては刀を作るのは大丈夫でしょうが魔物を引き寄せる程の力は無さそうですね」
「なら問題はないな。本当に良かった」
「貴様たち、其では我の食料が‥‥‥」
俺とサタンちゃんが2人で貴方がやれと言ったんでは、と言うような目で見るとダークドラゴンは渋々諦めたようだ。
「それじゃあ俺達は自分の国に戻るけどあんたはどうするんだ?」
「我はまだ暫く此処に残るとする。まだ食料が来るかも知れんからな」
「そうか、じゃあまたな」
「そうだ、我が此処に来るときに魔神2人と魔物の大群が移動しているのを見たぞ。おそらくお前達に無関係ではあるまい。精々気を付けるんだぞ」
「‥‥‥わかった。教えてくれて助かるよ」
俺はサタンちゃんはと転移で自宅に戻った。
「ユウキ、サタン大丈夫だった?」
戻るなりミネアが駆け寄ってくる。余程心配だったのだろう。確かに魔神でも危険だと言う場所に行ったのだから仕方がない。俺はダークドラゴンの事や神魔石の事を皆に話した。
「魔族領にも属性竜がいたんだ。それで神魔石は採ってこれたの?」
「粉々に砕けてしまったけど刀を造る分くらいはな。残りはそのまま置いてきた。ダークドラゴンとの約束だったからな。ただあの破片では魔物は寄って来ないだろうがな」
女性達は俺の話を聞いて笑っている。皆にもあのダークドラゴンの驚いた顔を見せてやりたかった。
「そうだ!サタンちゃん、今回は本当にありがとう。サタンちゃんがいなければ俺はあの時死んでいた。何かお礼をさせて欲しいんだけど」
「ユウキさん、それは一体‥‥‥」
ユキネが聞いてくる。俺の油断で死にそうになったところをサタンちゃんが助けてくれ、そのせいでサタンちゃんが大怪我を負ったことを話す。
「サタンちゃん。本当にありがとうございました。本当であれば私やミネアさんが一緒に行ってユウキさんを助けなければいけないのに、私達の実力不足のせいで怪我まで負わせてしまって‥‥‥」
「い、いえ。気にしないで下さい」
「サタン、何でも言ってちょうだい。私達に出来ることなら何でもするから」
「私達もです。ユウキさんの命の恩人なのですから。ねっ、サリー」
「はい、ユウキさんの妻としてしっかりとお礼をしなければいけません」
女性達の真剣な眼差しに少し困ったようなサタンちゃんだが、少し考え1つの提案をした。
「では‥‥‥私もユウキさんのお嫁さんにしてください」
突然の発言に俺だけでなく女性達も驚いて固まってしまった。




