第4章 神魔石★1★
目を覚ました俺達は朝食を済ませる。昨日の夜の事で雰囲気が悪くなるかと思ったが普段通りでサタンちゃんは普通に皆と話せていた。
「そろそろ行くか」
「そうですね。魔族領までかなりかかりますし」
「サタンちゃん、それなら大丈夫よ。じゃあユウキ気を付けてね」
「ミネア、ユキネ、もし何かあったらみんなの事を頼んだぞ。2人が残ってくれるなら安心してカルナディアを任せることが出来るからな」
「任せて下さい。ユウキさんが戻るまでしっかりと皆を守っておきますので」
「じゃあ頼んだぞ」
「あの、一体何が大丈夫なので」
俺はサタンちゃんの手を握り転移のスキルで前に精霊王様と行った魔族領まで転移した。
「!こ、ここは魔族領ではないですか!それも私がいた領土で神魔石のある場所の近く。一体何が起きたのですかユウキさん?」
「俺の転移のスキルを使ったんだ。1度行った場所なら行けるレアスキルだよ。前に精霊王様に連れてきて貰ったんだ。精霊王様も同じスキルを持っていたからね」
「そんなスキルが‥‥‥」
流石に魔神最強のサタンちゃんでも転移のスキルは知らなかったようだ。確かにルシフェルを撃退した時は何か魔道具の様な物を使って逃げたようなので本当にレアなスキルなのだろう。
「ここから神魔石のある場所までどれくらいかかりそうかわかるかな?」
「30分程行けば神魔石のある場所に着きます。ただここからはかなり強い魔物が神魔石の魔力に惹き付けられ集まって来てますので気を抜かないで下さいね」
「わかった」
俺達は周りを警戒しながら神魔石のある場所まで向かった。神魔石のある場所までに何度か魔物と遭遇したがラファエルと戦った時のようなワイバーンの大群はおらずデスワイバーンクラスの魔物が数体いただけだった。
「少しおかしいですね‥‥‥前はもっと魔物がいたはずなのに‥‥」
確かにこれならサタンちゃん単独でも危険はなさそうだ。考えられるのは神魔石がなくなり魔物を惹き付ける力がなくなったか、あるいは‥‥‥
「ユウキさん、神魔石が見えてきました。魔物が余りいなかった原因はアイツのせいです」
俺の予感が当たってしまった。神魔石がなくなる以外の原因、それは圧倒的な強者の存在だ。俺は鑑定を使う。
ダークドラゴン
LV 350
種族:ドラゴン族
体力:3800
魔力:3200
筋力:3800
耐久:4000
俊敏:2800
スキル: 〔闇魔法LV10〕 〔ブレス〕 〔人化〕 〔鑑定〕
まさか属性竜がいるとは最悪の状態だ。スノードラゴンみたいに話のわかる竜であれば良いのだが、俺がそんな事を考えているとサタンちゃんが怯えている。属性竜を初めて見たのだろう。
「あの竜は一体‥‥‥」
「あれはダークドラゴンだ。闇の属性竜だよ」
「あれが属性竜‥‥‥」
「とりあえず話をしてみよう。前に水の属性竜のスノードラゴンに会ったときは高い知能を持っていたから話せば何とかなるかもしれない」
俺達はゆっくりとダークドラゴンに近づく。ダークドラゴンも俺達に気づいたようで此方を警戒している。
「貴方は闇の属性竜、ダークドラゴンですよね?」
「そうだ、人間と魔神が一緒にいるとは珍しい。それに人間の御前からは私の知った力を感じるが‥‥‥」
「ゼルト山でスノードラゴンに会い、力を認めてもらい鱗を頂きました。その鱗で防具を作ったのでそのせいでしょう」
「スノーの奴が認めたとはな。それで此処に何をしに来たのだ?」
「神魔石を採りに来ました」
「この石か。これは膨大な魔力が結晶化したもので魔物を呼び寄せる。此処にいれば私も食料に困らないのでその願いは聞けぬな」
サタンちゃんが此方を見てどうするか目で訴えかけてくる。神魔石の大きさは直径1メートル程の大きさだ。
「全部欲しいとは言いません。刀を作れるだけの量があれば良いのでどうにかなりませんか?」
「それならばスノーがしたように私もお前らの力を試してやる。
私に力を示して見せるが良い。勿論2人で協力して構わん。私はスノー程優しくはないからな」
急にダークドラゴンの体が闇の魔力に覆われていく。スノードラゴンと戦ったときは手加減してくれていたが、ダークドラゴンはそんな気はないらしい。俺とサタンちゃんは直ぐに臨戦態勢をとった。




