第4章 魔神撃退戦★5★
今がチャンスだ。そう確信したミネアは、前にユウキがルシフェルと戦ったときに使った補助魔法を思い出した。私にも出来るはず、そう強く思いユキネに光魔法を使う。
「力が溢れてくる‥‥‥これは!」
「ユキネ!ステータスが上昇する補助魔法を使ったわ。今がチャンスよ!」
ユキネは直ぐに察して物凄い速さでデスワイバーンに向かった。補助魔法でステータスが上がっただけではなく、風魔法を使い自分に追い風を吹かせ更に速さを増している。ユキネは見事に首を切断したが余りにも速い抜刀だった為ミネアには見えなかったが、デスワイバーンが動きを止めたことでユキネが倒したと確信した。ユキネが刀を鞘に納めると大きな音と共に首が落ちた。
「やったわねユキネ」
「ミネアの補助魔法のおかげよ。それでユウキさん達は?」
デスワイバーンの首が落ちた音は、俺やラファエルにも聞こえていた。
「あんな奴等が私のデスワイバーンを‥‥‥‥」
「俺の自慢の妻達だ。デスワイバーン位何とかしてくれるさ」
俺とラファエルはお互い大きなダメージを与えれないでいた。1対1なら勝負はついていただろうが、精霊の長達が援護をしてくれているので戦いは拮抗していた。
「あの2人に合流されると厄介ですね。精霊達には退場していただきましょう」
ラファエルは闇の魔法を使った。俺は咄嗟に放たれた黒い霧をかわしたが、精霊の長達は霧に触れると膝を着き倒れていく。魔力枯渇を起こしたように見える。
「まさか魔力を吸収したのか?」
「流石ですね。これがマジックドレインです。霧をかわす以外に防ぐ手はないんですよ。何しろ魔力を吸収する霧なので魔法で相殺出来ないですから」
形勢はあっという間にラファエルが有利になってしまった。ただミネアとユキネは俺の期待に応えてデスワイバーンを倒してくれた。ラファエルは任せろと言った手前俺1人で何とかしないと示しがつかない。
「精霊達も気を失ったことだし俺も本気で相手をしようかな」
「かなり本気だったように思いましたけど‥‥‥まぁ良いでしょう。本気とやらを見せて貰いますよ」
俺ははったりをついてみたがラファエルは見抜いているようだ。だがこれこそが本当の狙いだ。俺には奥の手なんてない、そう思わせることが出来れば隙が生まれるだろう。俺は魔力を纏って戦ってはいたが、まだ属性を付与してはいないからだ。今までの俺のパワーやスピードに慣れていれば直ぐには対応出来ないと思う。
俺は天照を構えラファエルに近付く。そして雷の属性を付与して一気に速度を上げる。ラファエルは俺の速度に対応できずダメージを与えることが出来たが致命傷には至ってない。雷の追加ダメージで僅かに体が硬直したのを俺は見逃さなかった。今度は火の属性を付与して袈裟斬りする。ラファエルは咄嗟に魔力を腕に纏って防ごうとするがラファエルの腕は切断される。俺はつばめ返しの要領でそのまま切り上げるがラファエルに距離を取られてしまった。
「くっ、確かにまだ本気ではなかったようですね。ルシフェルの言う通りでした。貴方は危険です、今ここで始末しておかないといけませんね」
俺はラファエルの攻撃に備えていたがラファエルは黒く燃え盛る竜を出現させた。おそらく火と闇の合成魔法だが、始めにラファエルが俺のセイントファイヤーを相殺したヘルファイヤーよりもかなり強力で、今の俺では相殺するのが出来ないことが直ぐにわかった。
「くそっ、これほどの威力の魔法をどうしたら‥‥‥」
しかしラファエルは俺に向かってではなく、デスワイバーンと戦闘を終えてこちらに向かっていたミネアとユキネに向かって放ったのだ。
「貴方なら相殺は出来なくてもかわすことが出来るかもしれません。だが彼女達ならどうでしょうね」
ミネアとユキネもラファエルの放った魔法に気付いたようだが咄嗟の事で魔法で防ごうとしていた。このままではミネアとユキネは確実に死んでしまう。俺はありったけの魔力を纏い、雷の属性を付与してミネアとユキネの所へ走った。




