第3章 報告★8★
翌日は朝食を終えるとユーリが宿屋に来たので仕事を終えたサリーも連れ5人で家具を買いに行った。
「昨日屋敷の中を見たらお風呂やキッチン等は綺麗になっていたけどテーブルや椅子、ソファーやタンス、他にはベッド等は新しいのを買わなきゃいけないから皆で選ぼうと思ってるけど」
「楽しみね。新居の家具を決めるの、なんかウキウキしちゃうわ。結婚して一緒に暮らすんだって実感するわ」
「私も独り暮らしだったしユウキさんと一緒に住むの少しドキドキします」
ミネアとユーリはかなり楽しそうだ。
「私は師匠と二人で暮らしてましたけど山に込もって修行していたので家具なんて殆どなかったですし」
「私もお母さんと一緒だったけど、まさか結婚してユウキさんと一緒に暮らす事が出来るなんて思ってもなかったです」
サリーは結婚が決まってから俺の事をユウキお兄ちゃんではなくさん付けで呼ぶようにしているようで、まだ呼び慣れず少し照れがあるようだ。
「このお店が色々と揃っているし、オーダーメイドも出来て評判が良いですよ」
ユーリの案内で1件の店に着いた。かなりの広さの店で店内の家具は全て店の職人の手作りらしい。
「いらっしゃいませ。ゆ、ユウキ様じゃないですか!今日はどのような物をお探しですか?」
「今度引っ越しをするので色々と揃えようと思いまして」
「では買っていただいた物はお届けしますので。因みにどちらのお家ですか」
俺は今度住む屋敷の場所を伝えると店主の女性は驚いていた。
「あのお屋敷をSランク冒険者のユウキさんが買ったと噂で聞きましたが、お一人でお住まいになるのですか?」
「いえ。今度結婚しますのでここにいる5人で住むことになります。なので家具もかなりの必要になりますので」
「け、結婚ですか!そんな‥‥‥今週の会報にはそんな事1つも‥‥‥」
「会報?」
「私もユウキさんのファンクラブの会員でして。週に1度ユウキさんの活躍などが会報にのってるんです」
「ちょっと!そんなもの出回ってるの!」
ミネアが声をあげるのも無理はない。本人非公認のファンクラブで個人情報が流出しているのだから。見せてもらったら好きな食べ物からタイプの女性まで実際とは違う情報が広まっていたのだ。
「まぁ別に構わないですけど、その会報にのってる情報は間違った事が多いですよ。でも結婚は本当ですからね」
膝から崩れ落ち肩を落とした店主に女性達は少し同情しているようだが、自分達は幸せな結婚生活の為の家具を買いに来ているので早く立ち直って欲しかった。




