第3章 報告★1★
俺達は街から少し離れた場所に転移した。余り人目にふれ転移の事がバレないようにするためだ。街の中に入りメアリーさんの所へ向かおうとしていた時だった。鎧を身に付けた女性達に呼び止められた。
「ちょっと良いですか?貴女はミネアさんですね?お父様からお屋敷に連れて来るように言われております。一緒に来て貰います」
どうやらミネアの父親にミネアがフリーゼルトに来ていることが知れてしまったらしい。ミネアの手を掴み連れていこうとする。ミネアはその手を振りほどく。
「私は話すことなんかないわ。だから会うつもりなんかないからそう話してちょうだい」
「ワガママを言ってもらっては困ります」
再度ミネアの手を掴もうとした時、俺が先にミネアの手を掴んで引き寄せた。
「勝手に俺の女を連れて行かないで貰えるか!」
ミネアは俺がそう言ったことが嬉しいようで笑顔になる。
「若造が何を言っている。この方が誰の娘か知っているのか?」
「知っているよ。娘を政略結婚の道具にしようとした情けない領主だろ」
「貴様!なんて口の聞き方を!」
女性達は剣を抜き俺に向けてくる。俺は彼女達を鑑定したが皆レベル20程しかない。
「剣を向けるっていうことはどういう事かわかってるんだろうな」
俺は彼女達を威圧し睨み付ける。彼女達は俺の威圧に怯えたが、一人の女性はそれに戸惑い向けた剣を振り下ろしてくる。俺は指2本でその剣を挟み受け止める。俺はそのまま指に力を入れその剣を折った。普通の冒険者では出来ないようなことをしたので女性達は戦意を失っている。
「今日のところは引いてもらって良いですか?」
「‥‥‥!貴様覚えていろよ!領主様には報告させて貰うからな」
怯えたことを隠すかのように女性達は立ち去って言った。俺達はそのままメアリーさんの所へ向かった。
メアリーさんにゼルト山での出来事を話すととんでもなく驚かれたが皆無事に戻ってきたのでその夜はメアリーさんがご馳走を作ってくれることになった。




