表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/243

第3章 フリーゼルトへ★5★

「私はエルフの里を出て各地を転々としながら冒険者をしていたんだ。姿は里にあった偽装の指輪を使って変えながらね。それでフリーゼルトへ来た時も、依頼でゼルト山に氷結石の採取の護衛を受けたんだ。その頃から氷結石はなかなか採れなくなっていたみたいで私達はかなり山頂の方まで登ったんだ。その時洞窟を見つけたんで中に入り奥まで行くと大量の氷結石の鉱脈を見つけたんだ」


「ルーカスさんが言っていた昔話とそこは一緒ですね」


 ユキネがルーカスさんの話した昔話通りだと相づちを打つ。


「そうだ。昔話だとドラゴンの機嫌を損ねたって言う話だろ。でも実際は一緒に行った冒険者がそこにあったドラゴンの卵を持って帰ろうとしたんだ。それがドラゴンに見つかり一緒に行った冒険者と街の人はドラゴンに殺されてしまった。ドラゴンは私がエルフとわかると、未来永劫ドラゴンの住みかに人間が近づかない様に私に呪いを掛けて見せしめとして逃がしたのさ。だから私がその昔話を作り広めてドラゴンの住みかに人間が行かないようにしたのさ」


「昔話の出所はメアリーさんだったんですか。でも街の人は良くそれで納得しましたね?」


「こう見えても私はその当時、街1番の冒険者だったんだ。それが手も足も出ず呪いを受けて逃げ帰って来たんだ。その当時の領主は、街の人が殺されてはいけないと氷結石の採取を禁止したんだ」


 メアリーの話でわかったのは氷結石はまだありそうなこと、そこにドラゴンもいること、そのドラゴンは人間を嫌っていて遭遇すれば戦闘になる可能性が高い事だ。俺が悩んでいるのを見てユキネが口を開く。


「ユウキさん、そこまで無理して刀を作らなくても良いですよ」


「大丈夫だよユキネ。いざとなったら転移もあるしな。1度ドラゴンと会ってみても良いかもしれない。話が通じるのなら少し分けてもらえるかも知れないしな」


「ちょっと貴方たち!ダメよそんな事!街が滅ぼされたりしたら」


「メアリーさんは知らないかもしれませんが、今魔族領で不穏な動きがあるらしいんです。少しでも強くならないとドラゴンにではなく魔族に滅ぼされますよ?」


 メアリーは魔族と聞き驚いている。


「本当なの?どこからそんな情報が?」


「メアリーおばさん、本当なのよ。実際に竜王祭に魔神が現れて何とかユウキが魔神を撤退させることが出来たの」


「メアリーさん。はっきりと言いますけど俺は冒険者の中でも一二を争う強さを持っています。それでも俺一人では魔神を倒すことは出来ません。竜王祭の時も俺以外にもう一人Sランクの冒険者と一緒に戦って何とか追い返す事が出来たんです。しかも相手は全力ではないのにです。だからこそ俺と一緒に闘う為にユキネに氷鉄鋼で作った刀を使わせたいんです」


「‥‥‥わかったわ。でもその代わり1つ約束して。ドラゴンとは決して戦闘しないこと。氷結石が採れそうになかったら直ぐに諦めること。最後に誰も死なないで戻ってくること。守れる?」


「わかってます。俺もミネアとユキネを失いたくないですし、2人を未亡人にさせるつもりもないですから」


「そちらのお嬢さんも貴方の婚約者なの?」


「メアリーおばさん、私達以外に他に2人いるのよ。皆ユウキが大好きなの」


 少しメアリーの視線が恐い。女性からしてみたら女ったらしに見えているのかも知れない。


「まぁミネアが良いのなら良いけど。貴方、ちゃんと皆を幸せにしなさいよ。もしミネアを泣かせたりしたら‥‥‥」



「わかってますって。それよりも洞窟の場所を覚えてたら教えて下さいよ」


 俺は話をそらし大体の場所を教えてもらい、メアリーの家を後にして今夜の宿を探すことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ