第3章 フリーゼルトへ★4★
家の中に入るとメアリーはお茶を出してくれた。メアリーは独り暮らしのようで物などはそんなに多くない。
「何から話そうかな。ミネアが出ていった後、ミネアの両親はいろんな手を使ってミネアを探していたよ。勿論私のところにも来たし。でも街を出たとは思ってもいなかったみたいで見つける事はできなかった。結局縁談の話は流れてしまったよ。かなり相手の男性から文句を言われたみたいだけどね」
「メアリーおばさんにも迷惑をかけちゃってごめんなさい」
「そんなの気にしなくて良いわよ。でも何で急に戻って来たんだい?」
「実は氷鉄鋼を探しているの。それでメアリーおばさんなら何か知っているんじゃないかと思って」
「氷鉄鋼かい‥‥‥知らないねぇ」
メアリーはあきらかに何かを知っているのに隠しているようだった。ミネアも違和感に気付いたらしく不思議に思っている。
「昔フリーゼルトで採れた氷結石で氷鉄鋼を作っていたって聞いたわよ。メアリーおばさんが知らないはずない‥‥‥」
ルーカスでも聞いたことがあるのにフリーゼルトに住んでいるメアリーが噂も知らないのはおかしい。俺は1つ聞いてみた。
「メアリーさんの呪いと何か関係しているんじゃないですか?」
「!!」
「ユウキ、呪いって一体なんのこと‥‥」
「メアリーさん、俺は鑑定のスキルを持っていて相手のステータスやスキルがわかるんです。メアリーさんは呪いの状態異常になっていて、ステータスが本来の1割程まで減っていますよね?そして俺の鑑定はステータスやスキルだけでなく年齢や種族までわかるんですよ‥‥」
「‥‥‥貴方にはわかっているようね。全部話すわ‥‥」
メアリーは自分がエルフであること、そして呪いのことが俺にわかっていると知り少し驚き口を開く。
「先ずミネアに謝らなきゃいけないわね。私の種族は人間ではなくエルフなの。年齢も800歳を越えているわ。だから氷鉄鋼が作れなくなった原因も知っている。むしろ私も原因の1つなの」
ミネアはまさか自分が慕っているメアリーがエルフだと知り驚いている。エルフは絶滅した。それが世界の常識となっていたからだ。噂で森の奥ふかくに隠れ住んでいると言われたりもしているが見たものは誰もいないからだ。
「あの出来事か起きたのはもう500年位前だったかしら」
少し遠くを見ながらメアリーは話始めた。




