第3章 フリーゼルトへ★3★
フリーゼルトへ向かう際、夜は転移で戻っても良かったがルーカスにスキルを隠すために野宿をして向かった。
「ユウキさん、ゼルト山が見えてきましたよ!」
フリーゼルトの街は見えないが白く雪化粧をしたゼルト山が見える。フリーゼルトが近付いていることでミネアが少し不安な顔をしている。
「ミネア、心配するなよ。俺がついてるからな」
「うん、ありがとうユウキ」
少し気分が落ち着いたようでミネアの顔に笑顔が戻る。ゼルト山が見えてから数時間経っただろうか。フリーゼルトの街並みが見えてきた。俺達は街に入るとミネアが辺りを見回す。
「何にも変わってないわね‥‥‥」
田舎にある街なので数年では大きく変わってはいないのだろう。ミネアはルーカスさんにメアリーおばさんの家を案内し向かう。
「あっ‥‥‥」
街の外れにある小さな一軒家が見えてくる。そこに向かう紙袋を抱えたおばさんが歩いていたがふらついて転んでしまい紙袋に入っていた果物が散乱する。ミネアは馬車を止め駆け寄り果物を拾う。
「ありがとうござい‥‥‥ミネアなのか‥‥?」
「黙っていなくなってごめんねメアリーおばさん」
ミネアは抱きついて涙を流している。きっと両親よりも慕っていたのに挨拶もしないでいなくなったことを気にかけていたのだろう。
「泣くんじゃないよミネア。大体の事情はわかっていたから。ミネアは昔から、いつか白馬に乗った王子さまにプロポーズされるんだって言っていたし、政略結婚には耐えられなかったんだろ」
「メアリーおばさん‥‥‥」
「ミネア、その人が話をしていたメアリーさんか?」
「貴方は?」
「メアリーおばさん、彼は私の婚約者のユウキよ。Sランクの冒険者で今年の竜王祭の優勝者なのよ」
メアリーは俺の事をジロジロと見てくる。俺は気になり鑑定を使う。
メアリー
年齢 470 LV 45
種族:エルフ 職業:なし
体力:28(280)
魔力:65(658)
筋力:18(180)
耐久:25(257)
俊敏:15(152)
スキル: 〔火魔法LV6〕 〔水魔法LV6〕 〔風魔法LV6〕 〔詠唱破棄〕 〔魔力上昇・中〕
状態:〔呪い〕(ステータス減少)
違和感の正体がわかった。何処と無くユーリと似た雰囲気だったがまさか純血のエルフとは思わなかった。ただ気になったのは状態の項目が出て呪いとなっている事だ。
「面食いのミネアが見つけてきただけのことはあるね。良かったら皆でお茶を飲みながら話を聞かせてくれないかい」
俺達はルーカスにここまでで良いと伝えルーカスはプラムの村へ戻っていった。早速メアリーの家にお邪魔し話を始める。




