第3章 Sランク冒険者★21★
「マサムネいるか?」
「おう、ユウキか。今日はどうした?」
「実はユキネ用に刀を頼みたいんだ」
「構わないが今使っているのを見せてくれないか?」
ユキネは腰から鞘ごと抜いてマサムネに渡す。マサムネは真剣な顔になり刀を見る。
「悪くはないが名刀とは言えないな。それでどんな刀が良いんだ?」
俺はマサムネに軽くて切れ味が鋭い刀が良いと伝える。するとマサムネの顔が少し険しくなる。
「軽くて切れ味が鋭いか‥‥‥難しい注文だな。軽くする手段として1番なのは刀身を薄くすれば良いんだが、それだと刀自体の耐久力がなくなってしまう」
「何か特別な素材を使えば出来たりしないのか?」
「ちょっと待っててくれ」
マサムネは奥に行きムラマサさんに相談しているようだ。奥からマサムネとムラマサさんが一緒に来る。
「ユウキ、難しい注文を持ってきたらしいな。軽くて切れ味が鋭い刀か。それならば前に聞いた事のある素材なら出来るかも知れない」
「それはどんな素材ですか?」
「氷鉄鋼と言う素材だ。カルナディアから北に行くとフリーゼルトと言う街がある。そこはゼルト山という山の麓の街なのだが、昔そこで作られていたらしいんだ。だが今はその素材が取れなくなって市場には出回ってないらしいんだ」
ムラマサさんがその話をするとミネアが驚いていた。
「ミネア、氷鉄鋼を知っているのか?」
「‥‥‥聞いたことはあるんだ。って言うか私、フリーゼルトの生まれなの」
俺は今までミネアの故郷の事など聞いたことはなかったが、前に家出をして何年も両親には会ってないと言っていたことを思い出した。
「ミネア、フリーゼルト迄どれくらいの掛かるんだ?」
「馬車で5日位かな。バルト山脈の北にある街だから」
「そうか‥‥。ムラマサさん、氷鉄鋼を持ってくれば軽くて切れ味が鋭い刀を作れるんですよね?」
「任せておけ。俺とマサムネで最高の名刀を打ってやる」
「頼みましたよ」
俺達は宿屋に戻り今後の話をする。
「明日フリーゼルトの街に向かおうと思う。俺はバルト山脈の麓のプラムの村に行ったことがあるから、そこから馬車があるか行ってみて手配してこようと思う」
「わかりました」
「‥‥‥‥‥」
「ミネアはどうする?」
「えっ、‥‥‥私も行くわ」
「無理しなくても良いんだぞ」
「ユウキと一緒に戦うって言ったんだもん。大丈夫よ」
「ならいいけど。じゃあ俺は転移でプラムの村に行って馬車を手配して来る」
俺はプラム村に行きフリーゼルト迄の片道の馬車を村長のルーカスにお願いした。前のワイルドピッグのお礼にただで送ってくれることになった。俺は宿屋に戻ると丁度夕食の時間になっていた。




