第3章 Sランク冒険者★16★
意識が戻ると元の宿屋の部屋だ。女性達も目を覚ましたようでさっきまでの事が夢のように感じている。
「今の夢じゃないよね‥‥‥」
俺は鑑定でミネアを見たがちゃんと合成魔法のスキルがあった。
「大丈夫だ。ちゃんと合成魔法のスキルがあったぞ」
女性達はレアスキルを貰ったのが夢ではなかったので大喜びしている。
「ちょっと良いか?ミネアとユキネはわかってると思うが魔族の事だ。俺は昨日もエリス様の所に呼ばれたんだけど、魔族が動き出しているらしいんだ。取り敢えずは暫くレベルを上げるために依頼をどんどん受けていこうと思う」
「構わないわ!私も合成魔法を試したいし」
「私もどれだけ俊敏が上がってるのか気になりますし」
「ユーリ、明日ギルドに行くから何か良い依頼がないか見繕っていてくれ。今の俺達ならSクラスの魔物でも大丈夫だからな」
「わかりました。明日朝イチでやっておきます」
「サリーも暫くはおかみさんを手伝っててくれ。新しい家のリフォームが終わったら今みたいに手伝えなくなるからな」
「うん、わかった。新しい従業員を雇うようにお母さんにも話しておくね」
おかみさんには後で結納金として幾らか渡しておかなければいけないと思った。一人娘で宿屋の従業員だったサリーを貰うのだ。そのせいで宿屋の仕事が回らなくなっても困る。俺の義理の母になるのだからだ。この日はこれで解散し各自の部屋に戻っていった。
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「ルシフェルさん、噂に聞きましたよ。人間界に行って傷を負わされて逃げ帰ってきたそうですね」
部屋の中心にあるクリスタルから1人の女性の姿が写し出される。
「ラファエル!何のようだ!」
「何だ、元気そうじゃないですか。人間ごときにやられて逃げ帰ってきて意気消沈しているのならば貴女の領土に攻め込もうかと思ったんですけどね」
「ふざけるな!少し油断しただけだ。まさかアレスの血縁がいるなんて思わなかったからな」
「ほぅ、それは興味深い話ですね。あの男の子孫がいるとは。それでどうでした、その男の強さは?」
「まだアレス程の強さではない。だがあいつは化けるぞ‥‥今はまだ油断さえしなければ勝てるだろうが、見たところ彼奴は成人したかどうか位の若さだ。確実にアレスより強くはなるだろう」
「それほどの若者ですか‥‥私も興味が湧いて来ましたね。良い話を聞きました、では私はこの辺で」
「ま、待てラファエル!彼奴は私の獲物だ!くそっ」
クリスタルの光が消え、写し出された女性の姿は消え去った。魔神に英雄アレスの血縁と勘違いされ、いつの間にか目をつけられているとは想像もしてなかった。




