第1章 転生しました‼ ★11★
切りのいい所までと思ったら、今回は少し長くなってしまいました。ブックマーク&評価お願いします。
コンコン。
「ユ、ユウキお兄ちゃん。ご飯だよ」
「今行きます」
サリーちゃんが夕御飯の準備が出来たと呼びに来てくれた。幾らか休んだので魔法を使った疲れも無くなっていた。俺は1階の食堂に行くと、俺以外にも何人かの客がご飯を食べ始めていた。男性1人と女性3人の冒険者風のグループと、女性3人の商人風のグループだ。俺が席に座ると2つのグループが俺の方を見て何か話している。やはり男性が1人でいるのは珍しいらしい。するとサリーちゃんとおかみさんがテーブルに一杯になるほどの料理を運んでくる。あきらかに他のグループと比べて料理のグレードが違う。ステーキなんか厚さが倍ほど違う。冒険者風の男性がおかみさんにクレームを言っていたが、俺の事を「あの人は恩人なんだから当たり前だ!」と言い伏せていた。おかみさんの気合いの入った料理は、確かにほっぺたが落ちるほど美味しかったが それ以上に俺の俊敏さが落ちるほどお腹が苦しくなった。
あきらかに食べ過ぎたようだ。夕食を終え部屋に戻りお風呂に入ることにする。元の世界とは違い、ボタン1つでお風呂が沸くことはない。サリーちゃんに使い方は聞いていたが浴槽に設置されている窪みに水の魔石をセットすると水が出て、その後火の魔石をセットすると水が暖まる仕組みだ。俺はお風呂に浸かり疲れをいやした後その日はそのまま直ぐに寝てしまった。
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「んんっ。良く寝たなぁ」
俺は空手の朝練をしていたせいで早起きの習慣が身体に染み付いていたので外が明るくなりはじめた頃には目を覚ました。取り敢えず念入りにストレッチをはじめる。今日はレベル上げと金稼ぎを頑張るつもりだ。俺がストレッチを終えた頃に朝食の誘いがきた。パン、シチュー、サラダの軽めの朝食を食べる。俺だけ食後にコーヒーらしき飲み物が出ると、昨日の男性冒険者は舌打ちをする。俺は朝食を終えるとおかみさんに冒険者ギルドに行くことを伝える。宿を出ようとするとサリーちゃんが袋を渡してくる。
「ユウキお兄ちゃん、これお昼に食べて」
「ユウキ、それはサリーが朝早くに起きて作ったんだよ。持っていきな」
「サリーちゃん、ありがとう。」
俺はサリーちゃんの頭をポンポンとたたく。すると顔を真っ赤にしてカウンターの奥に走って行ってしまった。
「あの娘ったら、ふふっ。じゃあ気を付けて行ってくるんだよ」
「はい!じゃあ行ってきます」
俺は宿を出るとアイテムボックスに貰った袋をしまいギルドに向かった。ギルドに着くと昨日よりも沢山の冒険者が依頼書を見ながら今日受ける依頼を物色している。俺は取り敢えず受付のユーリさんのところに行く。
「おはようございます。昨日はありがとうございました」
「おはようございますタカミヤ様」
「様なんて、ユウキで良いですよ」
「えっ‥‥わかりました。それで今日はどうしました?」
「少し聞きたいことがあって。この街からそんなに遠くなくて買い取り額の高い、そこそこ強い魔物っていますか?」
「そぉですねぇ~、それならレーベルの森の奥にオークが出ますけどFランクだと厳しいですよ。普通に討伐の依頼が出ると必要ランクはCですし」
「大丈夫ですよ。もし見てみてヤバいと思ったら全力で逃げますから。逃げ足は自信があるんで」
「絶対ですよ。無理しないで下さいね」
俺は今日は依頼を受けず、レベル上げと魔物を刈って金を稼ぐだけにする。そもそもFランクだと討伐系の依頼は殆どなく金額もあまり高くない。魔物もそんなに強くないものしかおらず利益的に美味しくないのだ。
俺は昨日と同じくレーベルの森に向かう。そして昨日よりもかなり奥へ向かう。オークってことは肉が需要があるのかな?味はやっぱり豚肉に近いのかな?等と考えているともう少し奥の方から草をかき分け歩く足音がする。俺は直ぐ様木に上りその足音がするほうを観察する。現れたのは体長2メートル程ある豚の顔をした魔物だった。
(あれがオークか。よし、〔鑑定〕)
オーク
年齢 - LV 28
種族:オーク
体力:260
魔力:15
筋力:320
耐久:265
俊敏:45
スキル: 〔威嚇〕 〔筋力強化・小〕
(結構強いけどあきらかに脳筋だな。当たらなければ何とかなるな)
俺はホーンラビットを倒した時と同じくサンダーボルトを使う。サンダーボルトはオークに当たりオークは倒れた。俺はアイテムボックスに入れようと近づくと、オークの腕がいきなり俺の足を掴む。
「くそっ、まだ死んでなかったか」
俺はオークの腕を振り払おうとするが、それよりも先にオークに足を引っ張られ近くの木に打ち付けられた。背中に激痛が走り息が出来ない。とっさに俺は回復魔法のヒールを使う。背中の痛みは消えたがまだ呼吸がしづらい。オークもかなりのダメージを受けていたため俺を警戒して近づいてこない。何とか呼吸も整いどうやって倒すか考える。またサンダーボルトを使っても良いんだか〔武術の極み〕もあるのでとどめは魔法ではなく物理攻撃でしたい。おれはオークに向かって距離を詰める。オークは拳を振り上げ俺に殴りかかろうとするが俊敏が低く、更に弱っているのでオークの拳をヒラリと避けオークが伸ばした肘をおもいっきり蹴る。ボキッという音と共にオークは悲鳴を上げて肘を押さえた。どうやら腕を折ったらしい。俺は止めを刺すべく、木に打ち付けられた時に折れた太めの枝を手に持ちオークの後ろに回る。
「これで終わりだ!」
俺は後頭部に折れた枝を突き刺した。悲痛な叫び声の後オークは動かなくなった。
「油断したなぁ。マジで危なかった」
俺は何とか倒したオークを鑑定してみる。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
オーク
肉以外は殆ど素材として使えないがその肉は脂が乗っておりとても美味しい。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「やっぱり肉だけか。売るとどれくらいなんだろうな?」
俺はオークをアイテムボックスにしまうと、今の戦闘で魔法を使った時の事を思い出していた。木の上からサンダーボルトを使ったときも、ヒールを使った時も咄嗟に詠唱しないで魔法を使ったからだ。もしかして‥‥その時だった。
「ブモー!」
俺はとっさに身構えた。すぐ近くまでオークが迫っていたが先ほどのオークとは違い剣を振り払いながら迫ってくる。俺は直ぐ様鑑定を使った。
オークソルジャー
年齢 - LV 40
種族:オーク
体力:320
魔力:20
筋力:385
耐久:320
俊敏:85
スキル: 〔剣術LV2〕 〔筋力強化・小〕 〔耐久強化・小〕
「くそっ!さっきの奴と全然違うじゃないか」
俺はオークソルジャーめがけてサンダーボルトを放つ。直撃したが動きを止めたのは一瞬だけだった。オークソルジャーは俺めがけて剣を振り下ろす。
「ちっ!避けるので精一杯だよ」
〔武術の極み〕のおかげで剣の太刀筋は読めるのだが俺のステータスがついていかない。先ほどオークを倒してレベルは幾らかは上がってるはずだか、あきらかにこのオークソルジャーの方がレベルは上だ。少しずつだがオークソルジャーの攻撃を避けきれなくなってきている。
「しまった!」
俺がバッグステップで後ろに下がると木にぶつかってしまい攻撃を避けきれない。何とか横に飛んだが肩口を切られてしまう。俺は直ぐ様ヒールを使い逆転の1手を考える。
(昔何かの漫画で読んだことがあったな。体を動かす為には脳から命令を送り動かすが、それを電気での信号に変えると圧倒的に速度が上がったりするやつ。駄目元でやってみるか。失敗したら自分の魔法で死んじゃうのかな。)
俺は自分の体全体に電気がめぐるように魔力を込める。すると俺の体からバチバチっと放電する。もっと魔力を調整し雷の魔力を体全体に纏うようにイメージする。オークソルジャーは警戒していたが俺の変化に危険を感じ剣を振り下ろしてくる。先ほど迄は避けようとしても体がその思考に追い付かなかったが、今は体全体が意思を持っているかのようにオークソルジャーの動きに反応する。振り下ろされた剣を完全に見切り剣を持っていた手を殴る。オークソルジャーは俺の攻撃を受け剣を落とす。打撃のダメージ以外に雷の追加ダメージもあるようだ。
「この剣は俺が貰っておくぞ!」
俺はオークソルジャーの剣を拾いオークソルジャーの上に飛び上がる。オークソルジャーは俺の動きが目で追えてないようで、俺が肩口に着地するとやっと気付いたらしいがもう遅かった。
「終わりだ!」
俺はオークソルジャーの首を落とす。そのままオークソルジャーは前のめりに倒れた。
「ふぅ。流石に今回は死ぬかと思ったな。やっぱり武器は必要だな。でもこれでレベルもかなり上がるだろうし、こいつの買い取りも期待できそうだな」
俺はオークソルジャーもアイテムボックスにしまい、纏っていた魔力を消し鑑定を使う。
タカミヤ ユウキ
年齢 16 LV 48
種族:人間 職業:冒険者
体力:480
魔力:520
筋力:380
耐久:315
俊敏:420
スキル: 〔武術の極み〕 〔魔術の極み 〕 〔成長の極み〕〔鑑定〕 〔アイテムボックス〕 〔言語翻訳〕 〔魔力闘衣〕New 〔詠唱破棄〕New
「新しいスキルか!」
更に鑑定をかけてみる。
〔魔力闘衣〕:身体に魔力を纏う事ができ、各属性も付与する事ができる。武術と魔術を極めた者だけが使う事ができる。
〔詠唱破棄〕:魔法を使う際の詠唱が必要なくなる。魔術を極めた者だけが覚える事ができる。
「どんどんアニメのキャラみたいになってきてんな、俺」
すると俺の全身に激痛が走り、俺はそのまま気を失ってしまった。




