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デートの練習なんかしていたら、彼氏なんてできやしない。
「えっとごめん…待った?」
「だいぶ」
「まじで」
時刻は午前九時、場所は地元から少し離れた駅前の大型商業施設「アオン」前の噴水のそば。先に待ち合わせ場所に来ていた凛花は私の社交辞令に対して、ぶっきらぼうに冗談を返した。
◆
「で? 今日はどんな目的で呼んだの?」
「彼氏ができた時のデートの練習よ」
「え、それってする必要あるの? 」
「当然よ」
「ふーん」
◆
「…凛花」
「何?」
「これ、ほぼ全身フルコーデだよね?」
「そうね」
「コートとか、ヘアピンとか、ブーツとか、指輪とか、イヤリングとか、どれもそこそこ高かったけど…全部買ってくれて…財布大丈夫なの?」
「そんなこと気にしなくていいの。次はここよ」
「…喫茶店?」
◆
「おまたせしましたー! アイスラテになります!」
「…あれ、一つだけ…?」
「これでいいのよ、こうするから」
「ま、まさかそれって、伝説の…」
「そう、噂に名高い『ダブルストロー・イン・ワンドリンク』よ」
「…本気でやるの?」
「本気でやるの。これもれっきとした練習よ」
「うぅ…恥ずかしい…」