同性ばかりと話していたら、彼氏なんてできやしない。
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私は、焦っていた。
高校二年目の夏。回りでは部活に励んだり、ついでに恋をしたり。もしくはバイトを始めたり、ついでに恋をしたり。はたまたバイクやスクーターの免許をとりに教習所に通ったり、ついでに恋をしたり。
青春したり、青春したり、青春したり。
回りはピンク色一色なのに。
私は…!
「なんっで彼氏ができないっ!」
私は、箸を片手に叫んだ。
「そんな風にうるさいからじゃないの?」
そう言って、弁当の端をつつきながら私の叫びを興味無さげに捌くのは、幼馴染みの藤柳凛花。
「だって、こんな純情可憐な美少女を放っておくなんて、絶対世の中がおかしい!」
「アンタが純情可憐な美少女なら、他の女子は全員女神様だわ」
「じゃあ、凛花はなんなのさ」
「全知全能、英知そのもの」
「凛花の株が絶賛インフラ中だ」
「なら、アンタは腐りかけの株だわ」
「野菜!?」
そう、私達を除くクラスメイト全員が、彼氏あるいは彼女持ちとなってしまったのだ。先週までは私達の仲間だった奴も、この間裏切った。
これは、ゆゆしき問題だ。
『うっわ合と凛花だけ彼氏いないとか、マジヤバイわ。女としての価値無し』
という罵声を浴びせられたり。
『ま、まあ、ガンバってよ。私は、彼氏とデート行ってくるからもう一緒に遊べないけど』
という聞きたくもない同情まがいの上から目線発言を耳にするのも、もはや時間の問題。カウントダウンは既に始まっている。
「ああもう、おいてけぼりは嫌だっ!」
「…ならさ」
突然、ミートボールを掴んだ箸を空中で止めた凛花。
「次の土曜日、おしゃれして駅前のアオンで待ち合わせね」
「…へ?」