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異世界で傭兵はまったり生きたい  作者: 永久不変
第一章 始まり、小国にて。
4/122

4

「あいよ」


言われたとおりにうつ伏せで横になる。

それにしてもなかなか悪くないベッドだ。


「ちょっと失礼するわよ」

「ぐえ」


ネメシアに背中の上に乗られてしまった。

重いとは思わないが、いきなりだったから変な声が出てしまった。


「そこまで重くないでしょう?」

「むしろ軽いくらいだけど、一体何をするんだ?」

「とりあえず服を脱いでくれるかしら?」

「寝かせる前にそう言ってくれたらよかったのに」

「忘れてただけよ」


ぱぱっと服を脱ぐ。

細かい傷が多い、汚い体だ。

すぐに横になる。


「そういや、下も脱いだ方がいいのか?」

「あ、いえ、そういうのはいいわ」


もう一度、寝っころがると、また背中に乗られる。

程々な重さで腰にいい。


「それじゃ、始めるわよ」

「結局何するのか説明してもらってないぞ?」

「ちょっとしたマッサージよ」


指で背中を押される。

気持ちいいな。

だが少し違和感が……。


「そうだ、ネメシアの手が温かいんだな」

「そうだ、っていわれても何のことかわかんないわ」

「いや、特に何も。そもそもこの行為の方がわかんねえ」

「魔力回路を少し直しているだけよ」

「本当にわかんねえ」


この世界に来て何度わけのわからない言葉を聞いたか。

名前で想像がつくだけいいものかもしれない。


「直ったら俺もちゃんとした『浄化』が使えるようになるか?」

「直ったらね。ただ貴方、酷い回路してるわね」

「何が酷いんだ?」

「回路が穴だらけよ。これじゃ、本来の半分の魔力も使えないわね」

「それで、直るのか?」

「正直……完全には無理ね。貴方一体どういう生活してきたのよ。

 浮浪者よりはまだいいというほどでしかないわ」

「普通の、高校生としての生活を」


一日一食は取っていたし、たまに間食もしていた。

ベッドで毎日寝ていたし、毎日着る服だってあった。


「高校生がどんな職業かはわからないけど、もう少しご飯を食べるべきね」

「ごもっともで」


何も言えない。

貧しかったことはわかっていたからな。


「もう少し大人しくしててね。もうちょっとで終わるから」

「りょーかい」


気持ちいいから、このまま続けてくれても構わんのだが。


「ん。これで終わり。お疲れ様」

「サンキュー」


背中の重みが消える。

心なしか、少し体が軽いような気もする。

筋肉痛で、まだ痛むが。


「使ってみてもいいか?」

「どうぞ。少しはよくになっているはずよ」

「おーけー。『浄化』」


先ほどとは違って、汗臭さは一切臭わなくなった。

それに、すぐにイメージもできる。


「これは、確かに綺麗になったみたいだ」

「うーん……。まあ、こんなものね」


なにか納得のいかないような顔をする。

された側の俺としては、何か失敗でもしたのかと心配になるのだが。


「なにか御不満でも?」

「いえ。ただ、貴方の虚飾が強化されるのかと思っただけよ」

「ああ、そういえば魔力が関係しているんだったか?」

「見た限りはね。だから、早いところ完全に直してしまった方がいいわ」

「それはいいんだが。どこで、どうやって直すのかも知らんぞ?」

「まあ、この国にそこまでの腕の人はいないわね。

 王国に行ったときにでも直してもらいましょう」


近いらしい王国に思いを馳せつつ、首肯しておく。

その後、この国の環境などについて軽く話をした。

この国は魔族の国と国境が接している。

が、間に大山脈があり、すぐさま攻められるというわけでもないらしい。

守るには最適だとか。

あと、山のおかげか、水も豊富な方だ。

その気になれば、風呂に入ることもできなくはないか。

なんにせよ、少し言葉を交わして今日は寝た。

少し涼しい、でも、温かい夜だった。


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