表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で傭兵はまったり生きたい  作者: 永久不変
第一章 始まり、小国にて。
16/122

16

小さな建物の中に入る。

掃除はしっかりされているようで、埃っぽさはない。

建物の奥の部屋へ進む。

その部屋には、幽かな明かりに照らされた大きな十字架ひとつ。

堂々と立っている。

思わず、ほぅ、と少し声を漏らした。


「じゃあ、始めますよ」

「あ、よろしくお願いします」


お願いしますと言ったのはいいが、何をするのかも知らないぞ?

神にでも祈ればいいのか?


「トワさんは、どの神様を信仰しておられますか?」

「信仰、ですか」

「はい。やはり主神を?」


主神と言われてもわからない。

この世界の宗教の一番偉い神様のことだろうが。

そもそも、日本人に信仰を訪ねるのはな……。


「そうですね、天之御中主神ですかね」

「……すみません、もう一度言って頂いてよろしいでしょうか?」


マイナー過ぎたかな?

ブラフマーとでも言っておけばよかったか?


「ちょっとした冗談です。私は、特定の神様を信仰してはいません」

「――もしかして、無神論者の方ですか?」

「いえ、そういうわけではなく。八百万の神を信仰しております」

「・・・?つまり、どういうことでしょう?」

「ざっくり言いますと、全ての神様を信仰しています」

「それは、主神も信仰しているということで、よろしいですか?」

「ええ。そうです。戒律は守りませんが」

「いえ、聖職者でもない限りは、特にありませんので。

 それでは、我が主に祈っていただけますか?」

「すみません、どのようにすればよいのでしょう?」

「祈りの気持ちさえあれば、どのようにでも」


そう言われても、よくわからないが。

見よう見まねに、Amenと唱え、手で十字を切ってみる。

気のせいか、十字架が少し光ったような。


「はい、終わりました」

「ありがとうございます。それで、これは一体何のために……?」

「もしかして、ご存じないのですか?」

「ええ、あまり……」


乾いた笑いで誤魔化す。

そもそも、この世界にいませんでした。なんて言っても信じられないだろうし。


「じゃあ、説明いたしますね」

「お願いします」

「まずはこちらをどうぞ」


と言うと、十字架に手をかける。

そして、紙のようにめくっていく。

俺は今夢でも見ているのか?

十字架の表面の一部だけが、剥がされた。

それにもかかわらず、輝きは衰えるどころか、むしろ増した気さえする。


「はい、こちらです」


そう言って渡された十字架から剥いだモノは、輝きをおさめ、ただの紙のように見える。

その紙をみると、何やら数値と文字が書いてある。


「これは、一体?」

「あなたの、ステータスですよ」

「はぁ、これが」


名前はトワ。

種族は人。

レベルは4。

能力は虚飾、剣術Lv1の二つだけ。

称号というのもあり、そしていつの間にか一つ持っている。

忌み子の友、か。

それにしても予想と転じて力とか知恵とか、そういう具体的な能力が出ないんだな。

数値化って、なんだ?哲学か。


「触っていただければ、説明が表示されるはずですよ」

「そうなんですか?」


言われた通り、触れば、ポップアップ表示のように、出てくる。

この紙、本当になんなんだ・・・?


剣術

剣に分類されるものを扱う際に、行動に+補正がかかる。


剣術はこんな感じ。

まあ、なんていうか、想像通りか。

それに比べて、虚飾は、


虚飾

嘘にまみれた現代人ならきっと使いこなせるでしょう!


ふざけているとしか思えない。

まったく能力についての説明が書いてないってどうなの?

しかも現代人って……。

まあ、使えたからいいけどさ。


忌み子の友

異種族との好感度に+補正。


ざっくりとした説明。

というか、ネメシアは人じゃないのか?

称号から推測するにそうだろうか。

確認すべきことは全て確認したかな。


「確認したいことは全て確認したのですが、これ、どうしたらいいですかね?」


この紙には、俺の個人情報がたっぷり。

適当に処理されるのは勘弁願いたい。


「十字架に貼っていただけますか」

「?わかりました」


言われた通りに、紙を十字架に押し付けると、光を放ち、十字架と同化した。

この世界、結構何でもありだな。


「それでは、これで神託の儀は終了です」

「ありがとうございました」


ネメシアに聞けばよかったのではないかと考えつつ、部屋を出る。

きっと何か意味があるのだろうと、そう思うことにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ