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異世界で傭兵はまったり生きたい  作者: 永久不変
第一章 始まり、小国にて。
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結局1時間ほど後に、ようやく満足してくれたらしい。

ずいぶん人のぬくもりに飢えているんだな。

そう考えると、ついネメシアの頭に手が伸びてしまう。

浄化のおかげか。

髪の毛がサラサラで、触り心地がいい。

ずっと撫でていたくなってしまうような。

ハッ、危ない危ない。

また一時間コースになるところだった。


「それで、今日はどうするんだ?昼飯も近いけど」

「今から狩りに行く時間は、ないわね」

「だよなぁ」


とはいえ、他にすることも特に無い。


「何しようか?」

「そうねぇ………あっ、考え付いたわ」

「お、何かあるのか?」

「ええ、行きましょう」


手を引かれる。

こんな強引なネメシアは初めてだ。



ネメシアに連れられて町へ。

城へ続く一本道は今日も賑やかだ。

しかし、そんなものは見えないとばかりに、町の奥へと進んでいく。

周りにろくに人も見えない。


「ネメシア、どこに行くんだ?」

「行けばわかるわ」


一体全体、どこに行くってんだか。

退屈になるよりはいいか。


「ほら、見えてきたわ」

「どれのことだ?」


この辺りは、どうもぼろい家ばかりだが。


「こっちよ、こっち」

「ん?これか?」


前には、周りの家とそう変わらない建物が建っているだけだ。

強いて違う点を挙げるとすると、入口に十字架がついてるくらいか。

ん?十字架?


「ここ、教会か何かか?」

「そうよ、よくわかったわね」

「まあ、な」


しかし、なぜ十字架なんだ?

この国の宗教はキリスト教だったなんて聞いたことはない。

それとも、この世界でも神の子が罪の十字架でも背負ったのか?


「でも、こんなところに何しに?」


少し笑って、しかし何も言わずドアを叩く。


「はーい、少し待って下さーい」


少し高めの、女性の声が響く。

そこまで待つこともなく、ドアが開かれる。


「教会へようこそ……って」

「こんにちは、レジーナ」

「こんにちは、ネメシア」


ネメシアは笑顔で、しかし相手は実に不機嫌そうな顔で挨拶をする。

相手、レジーナというのか。

想像通りのシスター服を着た、金髪碧眼の女の子だ。

あ、服が少しだけほつれている。


「それで、何しに来たのネメシア」

「用があるのは私じゃないわ」

「あんたが、他の、人を……?」


もの凄く怪訝な顔をしている。

この町の人の反応としては、そっちの方が正しいのか。

いや、挨拶する分マシなのか?


「この人よ」

「どうも、トワといいます。一介の傭兵をやっています」

「これはどうも。レジーナといいます。ここでシスターをやっています」


二人で頭を下げあう。

礼儀正しい人だ。


「それでネメシア。私に何をしてほしいのかしら」

「トワに、神託してくれないかしら?」

「この年になって神託を受けてないの……?」

「ええ、そのはずよ」


まったくわからん話ばかりだ。

神託ってのは、何のことだ?


「ああ、あんた、“見える”のよね」

「そうよ。だから、お願いね」

「まぁ、いいわよ。もちろん寄付はもらうけど」

「わかってるわよ」

「じゃあ、そこの、トワさん、でしたか?」

「え、ええ」

「ついてきて下さい」


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