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異世界で傭兵はまったり生きたい  作者: 永久不変
第一章 始まり、小国にて。
14/122

14

少し時間がたち、二人並んでベッドに座っている。

ネメシアもずいぶん落ち着いたので、侍女に朝食を持ってきてほしいと頼んだ。

朝食の時間にはかなり過ぎているような気もする。

だからか、すでに朝食はできており、すぐに持ってくるとのことらしい。


「ごめんね、トワ」


唐突に、ネメシアが謝る。


「何のことだ?」

「いや、ほら、その、ね?」


俺の言葉を聞いていなかったのか?


「気に負う必要はないって言ったろ?」

「でも――」

「でも、じゃない」

「……そうね。ありがとう」


ネメシアの顔は、いまだに涙の跡が残りながらも、それでも綺麗に咲いた。

その鮮やかさに俺が耐え切れずに、少し目と話をそらしてしまうほど。


「それで、結局何が悲しくて泣いてたんだ?」

「えっと、それは……その…………」


また顔を赤くし、俯いてしまう。

嫌なこと思い出させてしまったか?


「すまん。別にそれについてはつらいなら言わなくてもいいぞ」

「い、いえ!ちょっとした事なのよ……」

「結局なんなんだ?」

「その………………あなたに嫌われるのが、怖くて」


これはこれは。

なんというか……可愛い奴だ。

思わずまた抱き締めてしまう。

ふぇ、だとかいう気の抜けた声を発するが、抵抗は一切されない。

信じて、くれたのかな?


「お前が変わらない限り、俺はずっと、お前の味方だよ。ネメシア」

「………ええ」


腕を解き、顔を見てみれば、目の端に涙をためている。

今はあんまり大胆なことはできないけど、それでもこれくらいは。

と思い、先ほどのように、涙で濡れた頬に口づけをした。



雰囲気は良かったのだが、侍女がすぐに朝食を持ってきてくれたため、先に食べることにした。

今日も飯がうまい。

特に会話もなく食べ続ける。

侍女が控えてるからな。

どうにも喋れないもんだ。



御馳走様。と言って皿を下げてもらう。

毎日おいしい食事を食えるのは、実に素晴らしいな。


「今日はどうする?大事を取って休むか?」

「大丈夫よ、ありがとう……って感謝してばっかね、私」

「そうだな」


顔を見合わせると、笑いが漏れる。

これだけ笑えるくらいになったんなら、大丈夫かな。


「でも、少しだけ」

「なんだ?」

「もう少しだけ、あなたの腕の中に居させてくれないかしら?」


ちょっぴり頬を赤らめ、そう言った。

優しさに、飢えているんだろうか?

それを俺に断れるはずもなく。


「満足するまでどうぞ」


と、できる限りの笑顔で言うくらいしかできない。

トテトテと早足で来るのが可愛らしい。

身長差か。

ちょうど胸に飛び込んでくる。

片手を背中に。

片手を頭に置き、撫でる。

思い切り顔を胸に押し付けてくるのが、かわいい。

それに対抗するように、思い切り抱きしめてやる。

なんか、和むなぁ。


「満足したか?」

「んー、もうちょっとだけ……」

「まあ、構わんけど」


そう言われ続けて、もう30分は過ぎた気がする。

まぁ、いっか。

こんな日があったって。

こんな拙作を評価してくださった方がいるみたいで。

ありがとうございます。

どうぞ、これからもよろしくお願いします。

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