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※いつも以上に短いお話です
道中、数匹のゴブリンを殺し、魔石を剥ぎ取りながら進む。
「てか、なんで森の中のコボルドが問題になるんだ?」
「……ここら辺を開拓しようという計画がある――いえ、あったのよ」
「頓挫したのか」
「ええ。いろいろあってね。ほとんどの村が破壊されたのよ」
ん?なんかおかしくないか?
「じゃあ、なんで依頼がでるんだ?」
「計画自体がなくなったわけじゃないのよ。まだ、続けようとする人はいるわ」
「そうなのか。その“いろいろ”が関係あるのか知らんが」
「……そうね」
「……なにがあるのかは知らんが、話くらいなら聞くぞ?」
「いえ、大丈夫よ」
少し物憂げな表情をして、すぐにいつものようになった。
言葉通りなら、いいのだが。
「……来るわよ」
「了解」
森の中から、数匹のコボルドと思われる敵が出てくる。
殴りかかってきたコボルドを軽くいなし、軽く切りつける。
本能に任せた、単調な攻撃しかしてこない。
ゴブリンの方がまだ賢い戦いをするんじゃないか?
切り付けられたことに激高したのか、他のコボルドと一緒に襲い掛かってくる。
なかなかどうも躱しきれない。
時々弾きつつ、躱しつつ、どうにかいなす。
反撃の余地がないな。
困ったな、これじゃジリ貧か?
どうにか攻撃のチャンスを探しつつ、躱す。
それを続けていると、一瞬のうちに全てのコボルドが消えてしまった。
見えなかった。
何が起きたんだ?
「なあ、ネメシア」
ネメシアの方を見ると。
白い髪が宙に舞っている。
片目が、青い。
「なぁ、どうしたんだ、ネメシア?」
返事はない。
ただ、死体が散らばっていた。
「……ネメシア」
突然、話しかけられたかのようにビクッとした。
いつの間にか、目も赤くなっている。
「な、何かしら、トワ?」
「……いや、なんでもない」
「そう、ならいいわ」
「……………今日は、帰るか?」
「何言ってるの?私は、大丈夫よ」
そう言って、進んでいく。
魔石を剥ぐのも忘れて。
*
結局、コボルドは見つからず、帰ることになった。
あのまま闘っていたら、どうなっていただろうか。
大丈夫だという言葉を、どうしても信用できない。
いつか倒れるんじゃないか。
そんな考えが頭をよぎる。
……強く、ならなきゃな。
*
その日は夕食をとり、早めに寝た。
互いに、どうも話が続かない。
時が癒してくれることを祈ろう。
今日は、月が綺麗だった。
次の話のために、短くさせていただきました。
次話は明日朝六時投稿予定です。