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異世界で傭兵はまったり生きたい  作者: 永久不変
第二章 王都にて、勇者と。
112/122

112 回想

R-15指定です。

状況は悪くなる一方。

雨も降り止まない。

――あの時と変わらないのね。

私がこの教会に引き取られた時と同じ。

助けてくれる人が、一人だけなのも。

でもそれは、きっと、不幸にする。


雨の音に紛れて、外で激しい足音がする。

行かなきゃ。



「はぁッ!」


五人の猛攻を巧みに槍と短剣と魔法と己の体術で捌く。

しかし、とても攻撃をする余裕などない。

無口な破戒者たちは、ただ目の前の敵を排除しに来ている。


「マトッシュ!」


教会から出てきたレジーナが数発の光の矢を放ち、不意打ちのように一人を無力化する。

続けざまに大量に放ち、さらにもう一人を無力化する。

数が減ったところで反攻に出て、一人、二人と倒し、最後の一人も倒し切る。

どうにか、今回も乗り切った。


ワタシはワタシ。

だから、ヒトは誰もがワタシを嫌った。

ただ雨を呼ぶだけなのにね?

雨はワタシの友達。

友達といると、嬉しいでしょ?

だから、呼ぶの。

ね、楽しいね!



レジーナの様子が、少しおかしい。

最近上の空なことが多い、多すぎる。

どうにか、この苦しみからは解放したいのだが。

ああ、知らないことが多すぎる。

あえて聞いては来なかったが、もういいだろう。


「レジーナ」

「……ぁ、えぇ。何……?」

「限界だ、教えてくれ」

「……そう、そうね。――いいよ。教えてあげる」


雰囲気が突然変わり、先ほどまでの神聖さの代わりに限りのない冒瀆を感じる。

呆然としていると、わたしの部屋で待っていて、と。



自衛のため、と言い訳して槍を持ったままレジーナの部屋に入る。

実際は、ただ恐れていただけだった。

待っている間も、気が気ではなかった。

レジーナの部屋にはあまり私物などはなく、ただベッドの近くに置いてある椅子に座っているのだが、逆にそれが不気味さを加速させるようだった。

最近の様子を鑑みると、自分の悪い予想は――。


「マトッシュ、来たよ」


考えが途切れる。

というのも、ドアから入ってきたレジーナの姿に少し衝撃を受けたのだ。


「レジーナ。……水浴みでもしてきたのか?」

「うん。あっ、それとも洗わないほうが好みだったかな?」

「いや、待て、何の話をしている?」


どういう状況だ、これは。

レジーナがさっぱりしてから来たと思ったら、なんだ。


「え?だって、男と女が同じ部屋に二人っきりだよ?決まってるじゃない」

「レジーナ……じゃないな。誰だ、お前は」

「私はワタシ。他の誰でもないの。わかる?」

「ふざけるな!」


槍を喉元に突き付けても全然動じない。

それだけではない。

口調も、態度も、雰囲気からなにまで。

俺の勘が叫んでいる。

これは、レジーナの皮をかぶった偽物だ。


「ふざけてなんかないよー。だって、私もワタシもあなたのことが……好き、なんだから」

「なっ……」

「ねぇ、……シよ?」


驚異的な力でベッドへ押し倒された。

そう、一戦士をして驚異的と言わせしめるような力で。


「ぐッ、やめろ!」

「あれ、おかしい、な?私のこと、好いてくれてると思ったんだけどなー」

「お前は、レジーナじゃないだろう!?」

「ううん。ワタシはレジーナだよ。あの時から、ずーっと、ね」


無理やり唇を奪われる。

力ではどうにもならず、槍は押し倒されたときに手放してしまっている。

言葉で説得も、唇を奪われていては。

――どうしようもないか。


さっき気づきましたが、投稿日時の指定間違えてました。

申し訳ありません。

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