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連続投稿は終わりだと言ったな。
あれは嘘だ。
「そういやこいつらの魔石は、ゴブリンよりも高いんだよな?」
「そうね。詳しい値段は忘れたのだけれど」
「頑張った甲斐があってよかったぜ」
俺にとっては強敵だった狼を倒したんだからな。
ネメシアにとっては、面倒なだけだったかもしれないが。
まあそんな強敵の相手をしたんで、一度都に戻ることにした。
「そういや、魔物が出る森がこんなに近くにあって、都は大丈夫なのか?」
「それについてはまったく問題ないはずよ」
「何でだ?」
「この魔石よ」
頭の上に?が浮かんでいるんじゃないかと思うほどだ。
本当に訳が分からんぞ!
「この魔石は、魔道具と呼ばれるものに使われるの」
「魔道具?」
「魔石を使って動く道具だと思ってくれればいいわ。
それで、その魔道具が都に結界を張ってくれるのよ」
「その結界の中には魔物は入れない、と?」
「そういうことよ。原理はわからないのだけれども」
ずいぶん便利な道具もあるものだ。
ここで、疑問が生まれる。
「じゃあ、魔族が進行してきても、なんら問題はないんじゃないか?」
「そうだったなら、いいのだけれども」
「ダメなのか?」
「短い間に、あまりにも強い攻撃を受けるとダメらしいわ」
「万能、というわけには行かないわけか」
それでも、便利なことには変わりないな。
*
都に戻って、飯を食べる。
運動しているからか。飯を沢山食べてしまう。
今日もおいしかった。
御馳走様。
「森に行くか?」
「そうねー……。一度ギルドにでも寄ろうかしら?」
「何かあるのか?」
「狼だって倒せたのだし、他の魔物の相手も、と思ったのだけれども」
「なるほど。じゃあ行こうか」
*
この都に来た日に行ったきりのギルド。
酒と人の熱気がすごい。
むさい男どもが集まって騒いでいる。
まだ昼過ぎだぞ?
ただ、その内の、こちらを見た数人は、口を閉ざした。
絡まれないのは、楽でいいな。
「そういえば、あなたのギルドカードを作ってもらっていたのを忘れていたわ」
「そんなものがあるのか」
「あるのよ。身分証明になるから便利よ。ちょっと貰ってくるわ」
「ありがとな」
小走りで受け付けに行った。
目の錯覚かどうか知らないが、受け付けの人の顔が青ざめたように見える。
まあ、大丈夫だろう。
少し暇だし、依頼掲示板を見る。
依頼内容やら報酬やらを書いた張り紙が貼ってある。
報酬は様々。
しかし、金銭関係はネメシアに全て任せていたので、いかんせん高いのか安いのか。
魔石3つで一日生きていけるかもしれない、くらいしかわからん。
そう考えると、魔石の需要は高いみたいだ。
「おう、そこの坊主」
ごつい男に絡まれた。
筋肉隆々、上半身にはろくに防具もつけていない。
酒を飲んでいたのだろうか。
顔は赤く、息は酒臭い。
「坊主とは、私のことでしょうか?」
誠意をもって対応する。
でも聖人君子にはなれそうにない。
「そうだ、坊主。見ねえ顔だな。どこのもんだ?」
「最近ここに来たので、どこそこというのも」
いぶかしげな顔をされるが、曖昧に流す。
男の仲間か何かが近寄ってきて、男に耳打ちした。
すると、見る間に顔が青くなった。
「どうかされましたか?」
理由はなんとなくわかっているが、あえて聞く。
性格が悪い奴だな、俺は。
「い、いえ。何でもない、です」
先ほどまであれだけ威勢の良かった男が、ここまでへりくだるとは。
どれだけ恐れられているんだか。
結局その男と仲間は、その一言を残し去って行った。
まあ、どうでもいいか。
ただただ掲示板とにらめっこ。
ゴブリン狩りの依頼はなさそうだ。
そういや、この世界日本語使うんだな
平仮名も、片仮名も、漢字もある。
そう気にしてこなかったからな。
読みやすくて助かる。
それにしてもいろいろ魔物がいるもんだな。
オークに、コボルド、前倒したウルフもある。
強そうなのでいえば、オーガか。
イメージとしてはトロールに似ている。
実際どうかは知らないが。
*
「ごめんね、トワ。遅くなったわ」
「いや、大丈夫だ」
「そう言ってくれると助かるわ。はい、これがあなたのギルドカードよ」
「ありがと」
そういって手渡されたものは、金属光沢のある一枚の薄い小さな板。
そこにはトワという名前と、ギルドメンバーであることを保証する、というような文章が書いてあった。
これが証明になるのか。
ずいぶん信用があるもんだな。
「肌身離さず携帯しておいてね。なくすと面倒なのよ」
「おう、わかった」
モノを無くすと書類やらなんやらが面倒なんだよなぁ。
前の世界でもそうだった。
「そういえば、何かよさそうな依頼はあったかしら?」
「ん?なんだ、見てたのか」
「少しだけ、だけれどもね。あ、でも、魔物についてあまり知らないかしら?」
「いや、多分わからなくもないぞ」
「そうなの?」
随分ポピュラーな魔物ばかりだしな。
様々な本を読み漁ってた俺にはよくわかる。
ゴブリンがほとんどイメージと変わらない形だったのも大きい。
「まあある程度は、ってくらいだけど」
「だったら、説明はいらないかしら?」
「一応教えてくれると助かるかな。知らない魔物もいるかもしれん」
「ん、わかったわ」
ものすごくマイナーな魔物がいたりするかもしれない。
「それで、どんなのがいい依頼なんだ?」
「簡単に倒せて、報酬が高い依頼かしら?」
「あー、すまんが。金銭関係についてはさっぱりなんだ」
「それも、そうね。ごめんなさい」
「いや、気にしないでくれ」
*
なんだかんだで、コボルドを狩ることにした。
体格はゴブリンと同じほどらしいが、より獰猛らしい。
ビビらなきゃ、殺せる。
つまり俺にとっちゃ簡単な相手だ。
「それで、場所は?」
「森をもうちょっと進んだ辺りにいるんじゃないかしら?」
「じゃあ道中狩りつつ進むか」
「深追いしない程度にね」
近いうちに次も出したいと思います。
お読みいただき、ありがとうございます。