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私とストーカーと魔法の学校  作者: WLCノベル
第1章 入学前
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03 目覚めは最悪

 モゴ!

 レロレロレロレロ、ヂュル……。


「ほわはーーーー!!!」


 ドン!!!


 私は自分の上に乗っている、小さな肉の塊を突き飛ばした。


 ポインパインゴロンポヨンゴロンゴロン。

 さすが、幼児の体は柔らかい。

 ベッドで一回二回、それから床に転がり落ちても、

 怪我どころか痛みすらない様子でキャッキャと笑っている。


「窒息させる気かーーー!!」


 私は朝からディープキスされた唇を拭って、ゴブリンのように吠えた。

 口の中がミルク味だ。といってもヤツは離乳しているはずなので、普通に朝の牛乳を飲んだ後なのだろう。おえっ。


「ひどいよ、おねーたま。

 ボク……ただ大好きなおねーたまに目覚めのチュウをしただけなのに」


「目覚めのチュウに舌ぶっこむのは、クソ野郎だけなんだよ!」


 罵倒する。

 勢いに任せた台詞で、恋に溺れて冷静な判断をなくした人が気の迷いでやっちまった、という状況などは完全に無視した台詞だが、目の前にいるのは間違いなくクソ野郎なので、問題はない。


 これだけは言わせて貰おう。

 最悪の目覚めだ。


「お嬢様、失礼いたします。今何か大きな声が……」


「くーくー。すぴーすぴー」


飛び込んできたのはメイドのタミーだ。

私の罵声に驚いたのだろうが、ここに2才の弟がいることは予想外だったのだろう。

目を丸くして、私と、寝たふりをしている弟を、交互に見ている。


「……起きたらそこにいたの。寝ぼけたんじゃないかしら」


「え、あ……そうです……か。

 でもさっき何か声が……」


「こめんなさい。私も寝ぼけちゃったみたいで、自分の声に驚いて今起きたところなの。

 本の読みすぎかしらね」


「……そう……ですか。

 あまり変な本は読まないでください。

 奥様が心配されます」


「ごめんなさい。気をつけるわ。

 悪いんだけど、エルスを部屋に連れて行ってもらえるかしら?」


 エルスというのは弟の名前だ。


「こんな所で寝ていたのでは、風邪をひいてしまうわ」


「わかりました」


 タミーは承諾すると、まだ小さい弟の体を、抱き抱えて、持ちあげた。

 弟はまだ寝たふりを続けている。


「それでは失礼いたします」


 タミーに抱きかかえられた弟が、扉の向こうに姿を消したのを確認して、私は飛び起きた。

 二度目の襲撃が来る前に、何としてでも脱出しなくては!


 私は洋服ダンスの中から一番動きやすい服を選別すると、手早く着替えて、部屋の外に滑り出た。

朝のヒトコマ、短めです。


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