ゴブリン の せんし たち
リプトーレ、グリンブリッジの橋の上
ここに男が一人立っている。
男はいつものように声を張り上げこう言った
「やぁ!みんな!こんにちは
じゃあそろそろ話そうかな
どこまで話したかな?
ああ、そうだ、ゴルドの父が魔物と戦いに向かって、そして集落に帰ってきたところだね
それじゃあ今日のお話は、彼の父と、仲間の戦士がタウロスの潜む森に入るところまでを話すとしよう」
むかーしむかし。
あるところにゴブリン達の集落があった。
そこに一匹のゴブリンが居た
名前をブロドという
ブロドは集落の戦士だった。
ゴブリンにしては少し大柄で
剣の腕はそれなりで、
そこらのゴブリンより少し強いだけ
あとは美しい妻と、誇らしい息子がいる。
鉱山から採れた鉱物を加工して作った大きな剣と不恰好な鎧で身を固めている、そんなゴブリンだった。
彼の仕事は集落のじい様の願いどおりに森に入っては魔物を狩り、ウサギやキツネなどの小動物を捕まえ、捕まえた小動物は保存して持ち帰る。
集落を脅かす魔物や人族は追い返す。といったものだった
そして暇な日には、誇らしい我が子に剣を教える。
幸せな毎日だった。
彼の幸せな日々が崩れたきっかけは一匹の魔物。
名前をタウロス。
強くて恐ろしい、牛頭の魔物
発覚したのは彼の住む集落が所有している鉱山の物見からの報告だった
報告を受けた集落のじい様は、すぐさま集落中の戦士達に号令をかける
「タウロスを追い返せ! 」と
ゴブリンの戦士たちは動き出す
仲間やを守るために。
ブロドも同じだ
我が子と愛する妻を守るために、家を出る
愛する妻の声を背に、ドアを開け放った。
今、振り向いたら戻ってしまいそうな折れそうな心を奮い立たせ
ブロドは進んでいった。
ブロドは仲間のゴブリン達と合流して、森に向かう
全部で20匹ほど居るだろうか
歩みは遅く。顔色は悪い
タウロスは、大きすぎる
沈んだ空気を纏ってゴブリンの軍勢は進む。
タウロスの潜む森に
ようやく森の入り口が見え、一旦止まる
ゴブリンの戦士達は各々装備を見直して、万全であることを確認する
その行為に意味があるのかは分からないが
それでも小さな希望でも灯すかのように
念入りに、念入りに
そんな中で一匹のゴブリンが言い放つ
「装備は万全、体調もまぁまぁ
敵はたかが一匹だ。俺たちならやれるさ」
虚勢だ。誰もがそう思う。
しかし、それでもすがりつく
戦うために
生きるために
守るために
ゴブリンの戦士達は各々手に持った武器を天に掲げ
天を穿つかのように、大きな大きなときの声を上げた
「今日のお話はこれでおしまい。
ゴルドの父や、仲間の戦士達はタウロスと戦うべく森に入った。
彼らがどうなったかはまた今度話すとしよう。
続きはいつだって?
うーん、そうだな
明日くらいかな。
もしかしたらもう少し遅いかもしれないけどね
それじゃあみんな、また会おう」
そう言って男は変わらず、何処かへと姿を消した。