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ゴルド の つるぎ 


リプトーレ、グリンブリッジの上

ここに昨日と同じ男が立っている。

男は昨日と同じように声を張り上げこう言った


「やぁ!昨日ぶりの人は『また会ったね』

新しく出会えた人には『ハロー!』

さーてそろそろ話そうか

昨日はどこまで話したかな?

ああ、そうそう、ゴルドが生まれたとこまでだ

それじゃあ今日話す話はゴルドの幼少期!

彼が他のゴブリンと決定的に違うところのお話さ! 」





 むかーしむかし

あるところにゴブリン達の住む集落があった

そこには嵐と共に生まれ剣と共に生きる1匹のゴブリンが居た

名をゴルドと言う。

彼は戦士の父と、優しき母の元ですくすくと育っていった


ゴブリン達は弱く、国を持たない。

ゆえに互いに助けあいながら細々と生活していた

他の魔物に攻撃されそうになれば、全員で立ち向かう。

それが彼らの生きる術だった

幸いにも彼らの住む集落の近くに鉱山があり、そこから採れる鉱物でもって剣や防具を作って身を固める事ができ、ゴブリンながらも、かなり侮れない強さを誇っていたと言えよう。

しかし近くに鉱山があるというのはこういった利点もあるが、問題点もある

それは鉱山目当ての人族や、魔物が頻繁に現れることだ。

戦士であるゴルドの父はしょっちゅう魔物の襲撃に追われ駆り出されていたのである。

そんなある時、久方ぶりに襲撃がなくゴブリン達の集落に静寂が訪れていた日の話だ。

ゴルドの父は我が子に剣を教えようとしていた。

父が彼に、剣を振り方を教えてやろうと言った時、ゴルドの瞳には強い意志が篭り爛々と光った

彼の持つ剣は自身が生まれた時に父が特別に譲ってくれたものだ

子供のゴブリンが持つにはかなり大きく、そして重い。

そんな剣を持って父の元に訪れた我が子を見て父は微笑みこういった。

それはお前にはまだはやい、振れないだろうと。

そして木刀を渡そうとしたがゴルドはそれを拒否した

困った父は、何故その剣に拘るのかとゴルドに尋ねる

するとゴルドはずっと握ってきたのはこの剣だから他の剣はいらないと父に伝え、父の前でその剣を振るった。

剣の振る速度は遅く、今のままでは魔物は斬れない。しかし、どこまでも真っ直ぐだった

ゴルドの意思はその振り方を持って、しかと父に伝わった。

彼の、ゴルドの、他のゴブリンと決定的に違うことはこの強い意志。

決して折れぬ鋼の意思。

ゴルドにはそれがあった。






 「さーて今日はこれでおしまいさ

どうだね満足したかい?

してない?

なら明日もまたここで会おう

そんだら続きを話してやろう。

それまでまたさよならさ」


そう言い残し再び男の姿は人ごみに飲まれるようにしてどこかへ消えた。

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