君と私と理不尽
ぶーと奏は頬を膨らませる。
奏の前には、満面の笑みの彼氏、海がいる。
この男は、いつもそうだ。
「ねぇ、何度言えば分かるわけ?」
何回このセリフを言ったのだろう。
まったく、頭にくる。
「私の男友達の好きな子を取り巻きにするの、いい加減にしてよ!?」
目の前の男は、学校1のイケメンだ。
対して、私も一応学校1の美少女らしい。
海いわく、そのせいで、男子が寄ってくるらしい。
まぁ、男友達は多い方だと思う。しかし、普通の友達だ。
なのにこの男は、それさえ許せないらしい。
海自身は、女の子を一杯はべらして学校を徘徊しているのに理不尽だ。
「奏の周りの男は、俺だけでいーの」
ふてぶてしい海の台詞に奏の眉間に皺がよる。
「あのねぇ、だったらあんたの周りの女は私だけで充分だってば」
「それは、無理かなぁ」
イラつく男。言ってることとやってることがおかしすぎる。
「はぁ―…」
奏は、今までで一番でかいため息をついた。
にこにこと表情を変えない海。
毎回毎回、もう限界だ。
「もういい。別れる」
「はぁ?」
海の表情が変わる。
信じらんないといったような驚愕の顔。
「限界、あんた勝手すぎ。ついてけない。理不尽」
そう言い奏は、奏は海に背を向けて歩きだす。
好き、なだけでは、やっていけないこともある。
くしゃっと髪を掴み、奏は今後のことを考えていた。
「ちょっ、奏!?」
後ろから何か聞こえるのは幻聴だ。
意外にもあっさりしている自分にびっくりしていた。
「あーどうしようかなぁ」
明日、海の誕生日だ。
プレゼントとを用意しいてた奏は頭を抱える。
お揃いのネックレス。
「……捨てるか、うん」
結論、ゴミ箱。
奏はすっきりした顔で走りだす。
いつからか、好きが重みになっていた。
自由が欲しかった。
自分には、合っていなかった恋だったんだ。
制限されるなんて、ありえない。
多少の理屈の通った平等なものなら許せる。
我慢しない恋がしたい。
お互いに平等な関係でいたい。
それが私の今求めるもの。