表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天魔と蝶  作者: トサカ
2/3

プロローグ② Part,1

俺の周りは死屍累々としていた。

足がなかったり、頭がなかったり、体が半分だけの物もある。彼らは剣で切られたり銃で撃たれたわけでもない。魔法で殺されたのだ。

今俺は天魔戦争の魔法が飛び交う中を悪魔に追われながら「世界境界ルーフォル」へと走っていた。俺のお守り役である「卵の番人」も一緒だ。


「卵の番人」はその名の通り卵の番人である。

天使は卵から生まれる。生まれるためには歌が必要なのだ。「卵の番人」は天界の「揺り籠」というところで歌を歌い、卵を孵化させる。ようするに、天使達の母親にあたる。天界の上部の天使達は彼女を「天界の母」と呼んでいたのを俺は聞いたことがある。

そして何故か俺は生まれてきた天使の中で一番彼女に似ていた。


「天魔様!こちらへ!」

「卵の番人」が叫んだ。俺のすぐ後ろには数人の悪魔が迫っていた。


俺は二十年ぶりに生まれたといわれている「天魔」という存在だ。

天魔とは天使と悪魔の忌み子。双方の世界を脅かす不安定な存在として忌み嫌われてきた。もともと天使と悪魔は敵対していたため、外部に情報が漏れることはなかったのだが、何者かの手によってながれたようだ。

これが俺の狙われる理由にある。しかもこの戦争を機に天使達も俺を嫌うことを露わにしだした。

そんな中「卵の番人」だけは俺を慕ってくれていた。

彼女は俺を匿い、「揺り籠」の奥にある自分の家へ住まわせてくれた。俺はそこで隠密に暮らしていたのに今日で終わってしまうのか・・・?


「チッ」

俺は悪魔へ振り返り、攻撃を試みた。

だが、俺が魔法を放つ前に「卵の番人」によって悪魔達はなぎ払われた。

「天魔様、あなた様が戦う必要はございません。はやく世界境界ルーフォルへお行きください」


俺たちが「世界境界ルーフォル」へ向かうわけはそこにあるゲートから脱出することだった。

「卵の番人」は俺をとりあえず人間界へ逃がすため、この天魔戦争の中、俺を庇いながらゲートへと向かっていたのだ。


次第に悪魔の数が増えだした。「卵の番人」一人じゃ無理なようで、少しずつ魔法のこぼれ球が俺へと飛んできた。

「・・・天魔様、もう持ちそうにありません。先にゲートへとお急ぎください」

当然、俺は反対した。

「いけません!それではあなた様が死んでしまうではありませんか!」

それでも俺は反対した。

「私の今までの努力を無駄にするおつもりですか?」

そんなつもりは毛頭無いし、俺はあんたにすごく感謝しているんだ。置いて行くことはできない。

「天魔様、どうか私を置いて行ってくださいませ。私のためにと思って・・・」

俺はついに彼女の横に立ち、悪魔へ攻撃を放った。

「天魔様!だめです、あなたが死ぬようなことは!」

まだ彼女は反対する。

「俺はあんたを置いていくなんていうマネはできない。あんたは俺を育ててくれた親だろ?」

「・・・・・・」

「だったら最後まで面倒見てくれよ」

彼女は今までに見たことのない、嬉しいのか悲しいのか分からない顔をしていた。

「お気持ちはすごく嬉しいです」

彼女は俺へと片手を伸ばし、頬に触れた。


「なので、強制送還とさせて頂きます」


「・・・!やめろ!」

彼女は俺を抱き込み「強制送還ストーピア」を展開させた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ