プロローグ①
「えーと、たまねぎ、にんじん、鶏肉と・・・あれ?ジャガイモどこ・・・?」
私はスーパーの帰りにリストを見ながら袋の中身を確認していた。今日は雨が降っていて自転車で来れなかったから徒歩で来ている。片手で傘を持ちながらの作業だから確認していくのに苦労した。
「よし、全部買えた」
今日は私の好きなカレーを作る予定だ。野菜が特価の日で財布事情もよかった。
家に着くと私は買ってきた物を整理し、カレーを作る準備を始めた。
まずジャガイモの皮をむき、適当なサイズに切って水につけておく。次に、煮えにくいにんじんをまた適当なサイズに切って炒める。タマネギは一番最後だ。
うちの鍋は圧力鍋だから早めに入れてしまうとドロドロに溶けてしまう。それはそれでおいしいけど、私は歯ごたえがあるほうが好きだった。
鶏肉を一口サイズに切って焼き、タマネギを油で軽く炒めたものを鍋へ投入した後、圧力鍋のフタを閉めようとして気がついた。カレーを作るためになくてはならないものがない。
「肝心の・・・ルーがない」
リストを見たらちゃんと書いてあった。見逃してしまったかな・・・。
私はカレールーを買いに、再度財布を持ってスーパーへ出かけた。
スーパーの帰りカレールーだけが入った袋を持ち、雨の中私は7時の夜道を歩いていた。夏は陽が長いからさっきまで明るかったけど、7時をこえるとさすがに暗い。
私の住んでいる家は国道に近くないからあまり車が通らないため、私は車道へ出て川沿いのガードレールを歩いた。まだ鴨がいる。鳥目のくせに大丈夫かなぁ。
歩道に戻ってそろそろ急ごうと思った途端、川の反対側にある雑木林が眩しく光った。
「・・・っ何!今の!?」
事故でも起こったのだろうか。
私は雑木林へと走った。
そして、彼と出会った。