表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

恋心

作者: 閖衣

――――――ある日、彼女は恋心を見つけた。――――――


――――――誰にも明かさず、大切に大切に育てた。――――――


――――――最初はとてもちっぽけで、今にも消えてしまいそうだった。―――――― 



――――――あの日見つけた恋心は、 

          月日が経つうちにどんどん大きくなっていった。――――――





――――――だけどその恋心は粉々に砕け散ってしまった。――――――






「俺、七島が好きなんだ」


彼の明かした想い人は彼女の親友だった。

彼女はただ応援するしかなかった。




――――――彼女はその日、粉々に砕け散って

               欠片になった恋心を埋めた。――――――


――――――一欠片も残さないように――――――




彼の相談に乗るようになった彼女の心は

小さな小さな悲鳴を上げた。




――――――恋心はすべて埋めたつもりだった。――――――


――――――だけど彼女の心の中には

           とても小さな一欠片の恋心が残っていた。――――――



――――――たった一欠片の恋心は彼女を苦しめた。――――――




彼女の心の悲鳴はどんどんと大きくなり、

修復が出来なくなってしまった。


彼女の心は壊れてしまったのだ。


だけど彼女はそんな素振りを少しも見せなかった。












彼女の心が壊れてから約半年。


彼と彼女の親友が付き合う事になった。


二人は一番初めに彼女に報告した。

彼女の想いなど知らずに。


彼女は二人の前でずっと笑顔でいた。


なんども「おめでとう」と言った。





彼女は家に帰って泣いた。


静かに声も上げずに泣いた。


彼女の想いなど誰も気づかなかった。




――――――彼女の心の中も涙が流れていた。――――――


――――――そして、やっと彼女の心の中にあった

              一欠片の恋心が涙と共に流れていった。――――――



次の日、彼女の顔はとても穏やかだった。



なぜならあれだけ彼女を苦しめた

一欠片の恋心が無くなったのだから。














そして月日が経ち、

彼女の心が治ってきたころ



――――――彼女はまた恋心を見つけた。――――――




彼女は今度こそ幸せな恋をする事となる。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 比喩表現がとても良い具合に活かされた作品だと思います。 個人的には悲恋が大好きなので、この「恋心」のような暗めだけど、最後には前向きに生きる、そんなことが現実の恋愛であったらいいなと憧れま…
2010/09/28 17:41 退会済み
管理
[良い点] 彼女の心理描写を中心に、僅かな文字数・行数で綺麗に描いているところです。彼女を立ち直らせるきっかけに「一欠片の恋心が涙と共に流れていった」という表現が特にいいと思いました。 [一言] はじ…
2010/09/19 17:52 退会済み
管理
[良い点] とても綺麗で可憐なお話だと思いました。 しっかりとは説明はされていないのに、筋道がたって構成されているのがすごいです! 尊敬します★ [一言] 突然コメントしてすみません。 南リナというも…
2010/09/19 12:40 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ