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そして僕らは楽園で出会った。  作者: 北上 柊助


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第一章−楽園都市シャングリラ−【プロローグ】

 楽園を冠す都市、シャングリラ。それは僕らの生まれ故郷であり……知らなければ幸せな地獄だった───。

 時にして、閉歴(へいれき)826年。上層区と下層区に分かたれ、上に住まう者の平穏が約束された楽園は、平穏を平穏たらしめる為に、下層に住まう者を死体共(コープス)と呼称して時の流れを享受していた。

 当たり前のように美味しいご飯を食べられて、学生生活を送ることができて、映画も見れて、機械の召使いもいて……何一つ不自由のない綺羅びやかな生活を送る上層都市。

 一方で、地には申し訳程度の光しか差さず、トタンや廃材の継ぎ接ぎで出来た貧相な住居が並び、極めつけは治安の悪さに不味い飯ばかりの、生きていく事すらやっとな下層都市。

 相反する二つの顔を以てして、そこは楽園であった。当然、そんな差が大きな生活だ。下に住まう者は上に住まう者を恨んでいたし、上に住まう者は下に住まう者を忌み嫌っていた。

 時に両者は争い……やはり大半の死者を出すのは下層民達で……。元はと言えば、その過半数が元上層民である下層民達は、ただ楽園へと帰りたかっただけなのかもしれない。

 しかし、一度堕ちた者達を楽園が許す事は無い。無情にも下層民達の思いは、下層に広がる肥沃な土の一つへと融けていった。

「そう言えば────」

 僕もそんな、コープスの一人だった。自由と呼ぶに相応しい今の状況からすると、そんな当時の事が刹那の出来事に思えてくる。

 そして、どちらの顔の事も知っていた当時を振り返ると、きっと幸せなままの生活を送っていたのかもしれないだとか、無様に死んでしまっていたのかもしれないだとか、『始まり』であっただけに無限に想像が膨らんでいく。

 そう、そこは始まりなのだ。僕の運命を分けた、『ターニングポイント』。

───これは僕の旅が始まる一歩手前の、スタートライン前の出来事。

 希望や夢を持ったばかりの少年の、愚かで無謀なお話し。

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