25 過去から明日へ
よろしくお願いします。
結婚の報告をする為に、お母様とお義父さまのお家へラインハルト様と訪問した。
ルーカスが可愛い!
よちよち歩きで、「リー」って、抱きついてきた。脚に。
ご訪問の挨拶をして、ルーカスと遊んで。お食事して。
お茶が運ばれてきてから。
「マリーアンのお父上、お母上に改めてお話があります」とラインハルト様。
「先日、マリーアンから承諾の返事をもらいました。マリーアンとの婚約のお許しをお願いしたい」ラインハルト様。
「もちろんです。殿下。良かっな、マリーアン。おめでとう」お義父さま。
「意地っ張りな娘ですが、可愛い娘です。よろしくお願いします」お母様。
「ありがとうございます。私の力の及ぶ限りマリーアンを大切にするとお約束します」
お義父さまお母様に言って、ラインハルト様がマリーアンの手を取り微笑む。カッコ良いー。
マリーアン、幸せです。
お義父さまお母様がボソボソ
「ようやくね」「やっとだな」「変なとこで素直じゃないのよね」「そこも可愛いよ。君と似て」
とか言ってる。
お母様の部屋へ移り、2人でお話をした。
実父のアレックスお父様の事を聞いた。
ウィルバートお父様からジュリアお母様に謝罪の手紙が来たのですって。
お母様はウィルバートお父様の事を「仕方のない人ね」と言った。
「お母様はウィルバートお父様の事、どう思っていたの?」
聞いてみた。聞きたかった。
「そうね、家族だったわ。
実家の家族よりも、私に寄り添って家族になってくれた。
困っていた時に助けてくれた。
優しい人よ。優しくて、相手の意見に振り回される人でね。はっきり言えないのよ。
もっと自信を持って良いのにねぇ。優柔不断なところがあって、ほっとけなくて。ふふっ。ちょっと可愛くてそこも好きだった。
、、、でもね、ちゃんと愛していたわ。一緒にいる頃、幸せだった。
愛されていたわ。
愛してるっていうのは、相手の素敵な所もちょっと抜けてる所も全部、離せなくなって抱きしめることなのかもね」
ジュリアお母様が懐かしそうに微笑んだ。
ウィルバートお父様が身籠っていく当てのないお母様と結婚したお話を聞いた。おかげで安心して私を産めた事。
マリーアンも覚えている。
ウィルバートお父様が優しかった事。
お祖父様お祖母様のお母様への暴言や蔑ろ言動については、ウィルバートお父様に「アンタの親だろ、どうにかしろ」と幼い頃思ったけど。
観劇に連れて行ってくれた。お母様と3人で。
マリーアンの誕生日には高級レストランに3人でお食事に行った。ちょくちょく素敵なプレゼントをくれた。
良い家庭教師を付けてくれた。
何不自由なく暮らせるように心配りしてくれた。
最後の2年くらいが、浮気で酷かったけど。サイテーだったけど。
それまでマリーアンはウィルバートお父様が好きだった。ちゃんと思い出した。
ウィルバートお父様は手紙と一緒にアデラインお祖母様とアレックスお父さんの肖像画を、ジュリアお母様に送ってくれていた。
「ザステイル伯爵家に置いていては申し訳ない」ってジュリアお母様が見せてくれた。
お祖父様の執務室に飾ってあった絵だ。覚えてる。
「私のお父様とお祖母様、、、」
あの封印された部屋で、夢で会った人達の姿が絵の中にいた。
ウィルバートお父様は、他にもプレゼントを送ってくれていた。
アデラインお祖母様の自宅にあった肖像画。
お祖父様お祖母様と、子供の頃のアレックスお父様。3人の家族の肖像画を何枚も。
数年毎に家族の肖像画を作成していて、お父様の成長がわかる。
どの肖像画も皆、とても幸福そうに微笑んでいる。
「とても素敵な人なのよ」
お母様がお父様との馴れ初めを話してくれた。
名門ザステイル伯爵家に連なる高位文官。とても人気のある美丈夫なお父様。
下位文官のお母様は世界が違う人だと遠目に見ていた事。
お仕事でお話する事があって。
それから何度か昼食を一緒に取るようになって。
「母上にプレゼントしたいのだか、何を贈ればよいか迷っているんだ」
って休みの日に街に出かけて。
それが実はアレックスお父様からのデートに誘う口実だったと後から聞いた話。
お付き合いが始まって、幸せだったお母様が少女の様に微笑んで。
大切にしていた、お父様から貰った銀の指輪。
他にも高価ではない贈り物が少しだけ。
アレックスお父様がお母様にプレゼントした物。一つ一つの、大切な思い出。
お母様がプレゼントした品物はお父様の棺に入れてもらったんだって。
葬儀の日、ウィルバートお父様がアレックスお父様の遺品の中から取ってきてくれて。棺にそっと入れてくれた、って。
アデラインお祖母様とアレックスお父様はとっても仲が良かった事。
アデラインお祖母様とジュリアお母様は3人で暮らす日を楽しみにしていた事。
「アレックス様もアデラインお義母様も、あなたに会いたかったと思うわ。
厄介な事になって、事故ばかり合わせちゃったけど、何も後ろめたいことは無いの。マリーアンは愛されて生まれてきたの。
あなたには3人も素敵なお父様がいるのよ」ジュリアお母様。
アレックスお父様、ウィルバートお父様、エドガーお義父さま。
お母様のアレックスお父さまのノロケ話を、私は沢山聞いた。
今日だけ、だから。
ジュリアお母様はアレックスお父様が仕事中の事故で亡くなったとしか聞いていなかった。
「ダリオン伯爵の婚外子がザステイル伯爵家を恨んで、アレックスお父様を殺害した事が悔しい」お母様は言った。
「アレックス様は、ザステイル伯爵家のギフトのせいで亡くなってしまったのよ。ギフトなんて無ければ、アレックス様は、、、。
あの家に寄生していた自分も、許せない」
ジュリアお母様は泣いた。泣き続けるお母様をマリーアンが抱きしめた。アレックスお父様の代わりに。
お母様に地下倉庫でギフトを継承して出れた話をした。
その時に見た夢のなかの人の話も。
お母様はまた泣いた。
やっと泣き止んだお母様。
私の姓について提案してくれた。
「マリーアンが選んでいいのよ。姓はラウデルでも、ザステイルでも。
ラインハルト様と結婚するなら貴族家が良いけれど。
その辺りも含めて、ある貴族家の隠居して居る方からマリーアンに会いたいとご連絡頂いたの。会ってみなさい」ジュリアお母様。
その方に連絡をして、後日ラインハルト様とご訪問した。
ドラゴンネージェルに乗せてもらった。(怖かった)
ご隠居されて領地におられた。
候爵家の前前当主サイラス様。アデラインお祖母様の元婚約者。
領地のお屋敷、素敵な応接室に通された。
少ししてからサイラス様が執事さんと入ってこられた。
お年を召したサイラス様は、頭髪は少なめな白髪。足腰も弱ってらした。
シワだらけの手で、マリーアンの手をとって紳士の挨拶をしてくれた。
ラインハルト様とマリーアンもご挨拶した。
長い時間を生きた方。
若い頃は相当格好良かった人だろうと思う。
座り心地のよいソファ、美味しい紅茶にケーキを添えられて。
アデラインお祖母様のお話をしていただけた。
「よくある出会いでね」
とシワの刻まれたお顔に、華やぎを添えて話してくれた。
夜会で見かけて、ダンスを申し込んで。
王都でデートして。観劇、お食事。湖畔の別荘でデート。
アデラインお祖母様はハキハキした賢い女性で、綺麗で可愛くて。深く愛していた、と。
アデラインお祖母様と婚約し、結婚間近な時。
ザステイル伯爵家の当主と、アデラインお祖母様の上の弟さんが殺された事。
アデラインお祖母様の下の弟であるダリオンお祖父様ごと、アデラインお祖母様に候爵家に来てもらうつもりだった、と。
アデラインお祖母様を愛していたと。結婚したかったと。
アデラインお祖母様は幼いダリオンお祖父様の爵位継承のためにザステイル伯爵家に残る事を選んだ。
アデラインお祖母様は18歳、サイラス候爵様は25歳の時。
サイラス様は「10年を待つことが出来なかった」と苦しそうにおっしゃった。
次期候爵となる為、サイラス様はアデラインお祖母様を諦めた。
お祖母様もサイラス様との未来を諦めたのだろう。幼いダリオンお祖父様のために。
その後は。
サイラス様は他の方と結婚して跡継ぎも産まれて。
アデラインお祖母様も遅い結婚したことを知っておられた。アレックスお父様の事も。
2人が亡くなった事も。
当時からご存知だった。
サイラス様は、アデラインお祖母様と結婚した私のお祖父様の事もご存知だった。
お祖父様はアデラインお祖母様の護衛騎士。
男爵家の5男。
アデライン様を守る為だけに、命をかける、ぶっきらぼうな人だったんだって。
誠実で裏表のない、言葉は少ない、優しい男だった、って。
あの男なら、アデライン様を幸せにしただろうと、ちょっと切なげに微笑まれた。
サイラス様は、アレックスお父様の死因がザステイル伯爵家のゴタゴタと、今回初めて陛下から聞いたんだって。
陛下はご自身の母親からサイラスとアデライン様の悲恋を聞いて、覚えていたんだって。
陛下は、サイラス様にアデラインお祖母様の孫娘の存在を伝えてくれた。
「マリーアン嬢、もし良ければ、私の養女にならないかね?
ザステイル伯爵家の籍から出て、我が家からラインハルト殿下と縁を結ぶと良い。どうだろうか?」
サイラス様がおっしゃった。
ラインハルト様は
「いいと思うよ。今の候爵家当主も政治からは縁遠い。愛妻家で家族を大切にしている」
「養女になります!」
即答した私に、サイラス様は笑った。
アデライン様に結婚を申し込んだ時の返事も、即答だったって。
こうして。マリーアンはサイラス・カーライル様の養女になった。
サイラス様は、身内に罪人がいては、文句を言う高位貴族がいると、心配してくれたんだと思う。
マリーアンの実父がアレックスお父様だと正式発表はしていない。
貴族籍を偽るのは罪。
ウィルバートお父様も、マリーアンの大切なお父様だから。
今のマリーアンはウィルバートお父様の娘で罪人ダリオン前伯爵の孫のだから。血統に傷があることは否めない。
人望あるカーライル候爵家の養女なら、貴族達に受け入れられると陛下は思われたのだろうな。
まあ、ドラゴンと契約したラインハルト様の婚約者に、何か言う方が命知らずだと思うけど。粗探しして陰口言う奴もいるだろうから。
マリーアンはカーライル候爵令嬢になりました。
マリーアン・カーライルです。よろしくお願いします!
お読み頂きありがとうございました。
投稿出来ない日もあると思います。
あと少して完結。
本編に関係無い脇役sideも書いています。
お付き合い頂けたら嬉しいです。
つたない文章、表現の小説をお読み頂きありがとうございます。




