24 騒動の後
よろしくお願いします。
九死に一生を得た、マリーアンです。お久しぶりです。
その後の事をお伝えします。
ラインハルト様の辺境伯領ルドル備蓄倉庫の破壊は救命行為として、罪に問われなかった。
ラインハルト様は私財で弁償すると申し出た。
領都の領民のための備蓄倉庫で、備蓄物資である。全部破壊したし、燃えた。
辺境伯は
「そもそも閉じ込めたり火をつけた奴らが弁償すべき。破壊しなければ5人焼死で倉庫も全焼だった」
と仰ってラインハルト様からの弁済は不要と決定なされた。
辺境伯予算予備費用で再建築すると決まった。
王都のマフィアを潰せたので、国からの報奨金も貰えるそうだ。
取り急ぎ瓦礫の撤去。
急いで新備蓄倉庫を建設すると辺境伯様が決定された。
そうそう。
『封印』したのは誰なのか?ザステイルのギフト継承者は?
この殺人計画を行ったのは誰?
これらの疑問はサクサク解明した。
地下に閉じ込められた男達はペラペラ喋った。
そりゃ、自分達を騙して焼き殺そうとした奴らだし。彼らは身体に大火傷を負ったしね。
『封印』の犯人は直ぐに捕まえられた。
王都の下町、スラム出身の若者だった。
王都の裏マフィアが私を事故死させようと「仕事」していた。
リサさん達、影組織が前から目星を付けていたそうです。尾行してたもんね。
取り調べで。
ギフト持ちの若者はレオンと名乗った。
王都のスラム育ち。孤児。子供の頃からかっぱらい、物乞い、何でもして生きてきたと言った。
成長してからは、強盗からの殺人もしたと言う。
『解錠』『封印』が先日突然出来るようになったレオン。
金持ちの家に忍び込んで盗みをしたり。空き巣をして、格段に楽に稼げるようになったと語った。
レオンは火事の数日前に王都で裏マフィアに捕まった。連れてこられて、遠隔操作の『封印』を施せと脅された。
『遠隔封印』を出来るようになるまで訓練させらせて、殴る蹴るの暴力を受けた。
『遠隔封印』と言っても、それ程難しい仕組みでは無いのですって。
扉に『封印』を中途半端に掛けておいて、残りを再度『封印』する。
その場合、術者と扉の『封印』が繋がったままの状態。
その状態で待機させられ、私が部屋に入ったら、残りの『封印』を掛けて閉じ込める計画。
レオンは備蓄倉庫の裏口で待機していて、マフィア工作員の合図で残りの『封印』をした。
レオンは逃げたかったけど、縄で縛られて逃げれない。
そしたらマフィアのアジトに領都兵がなだれ込んできた、と。
「どーせ死刑だろ」と開き直っているそうだ。
王都から魔力鑑定士が呼ばれてレオンを鑑定。
ダリオン前伯爵の孫。牢にいるディオンの子供だった。
ディオンの若い頃の息子らしい。
レオン本人も
「父親なんか知らねえ。孤児なんだから母親も知らねーんだ」
と言う。
レオンからもギフトを『収奪』。
レオンを使役したマフィア一味を捕らえたので依頼主を吐かせた。
拷問、魔道具での自白などで。
マフィア一味からの聞き取り。
ディオンの供述。
レオンの話。
ダリオン前伯爵の話。
ウィルバートお父様の話。
ローズ夫人の話。
マリーアン殺害未遂事件の全容は、彼らの話を総合して判断された。
寮の部屋のボヤは、ディオンが犯人。
マリーアンの部屋の場所を調べて、夜中に『解錠』で忍び込んで火をつけた、と。
ローズさんと同じ「眠り香」で眠らされて。(眠り香無くても熟睡してたけど。)
マリーアンの部屋を教えたのは同僚のカーラ。
馬車道で馬車に突き飛ばしたのもディオン。
植木鉢と階段落下は、マフィア命令でなんと、ロイ先輩と同僚カーラ、直属上司が犯人。
3人は連携してたよ。
職場や寮での不審な事故は彼ら。
初めはそれぞれが私を狙った。
同じ目的だとわかると、3人が連携し始めたんだって。
マフィアは領都府職員の知られたらマズイ秘密を探った。
それをバラされたくなければマリーアンを殺せ、と。
まさかの素人使い!
彼らの秘密とは、横領とか賄賂とか情報漏洩、不倫とか窃盗万引き。
そんなんで人を殺すのか?!マリーアンの生命、安いな、と脱力した。
殺人未遂です。脅されたという事を考慮して、極刑は免れました。
3人とも私財没収。ご家族は領都追放。
本人は牢で鞭打ちの刑の後、鉱山労働15年の刑で送られました。
失敗続きだったので。
浴場の溺死未遂はマフィアのアサシン。
マフィアは職場の人間や、女子寮の人間から私について情報を得ていた。
上司とロイ先輩やカーラさんが私の予定、行く先を報告していた。
気が付かなかっただけで、マリーアンはマフィアに何回も攻撃されていたそうです。
ルドルの街歩きの最中にすれ違い時に毒針で刺されたり。
それは保護魔法で刺さらなかった。
飲食物に遅効性の毒を微量に入れられてたり。女子寮の食事に。
解毒スキルで無傷。女系ギフトのおかげ。
変な味がしたので。
「間違って洗剤かな?変なモノ入ってますよ?」
と調理場のおばちゃんに言った事がある。
おばちゃん、調味料の瓶を一つ一つ調べて舐めて、
「ありゃ?ホントだ。一つ変なのが入ってるよ。詰め替えた時に間違えたんかね。スマンね」
とその料理を捨ててた。
あの調味料の瓶に洗剤?異物が入っていた事件、マフィアだったの!とビックリ。
マフィア達は全員処刑が決まりました。
但し、マリーアンと一緒に閉じ込められて殺されかけた全身ヤケドの男3人は刑を減軽されて、鉱山労働15年。出た後は慈善労働3年となった。
半死半生状態になってたし。
物凄く反省していたからかな?
取り調べも従順。
手当てしてくれた医者や治療師に涙を流して感謝していたらしいし。
リサ達影が、マフィアに目星を付けていたけど、捕らえなかったのは殺人を依頼した側を泳がせる為。証拠集めのため。
ラインハルト様狙いの令嬢とその母親が依頼した、高位貴族家が2家あった。
ギフト持ちの貴族家で。
当主のギフトは『収奪』。
母親と娘は鉱山労働8年。8年後(生きてたら)平民落ち。
鉱山労働に送られた貴族は大抵途中で亡くなるそうです。
「たかが平民1人の殺害依頼で!」と母娘は言ったらしい。
ホントにマリーアンの生命、軽く扱われてる。悲しい。
あと、ラインハルト様と自分の娘を縁付けたい父親貴族の方が殺人依頼、1件。爵位剥奪。鉱山労働10年。ここも高位貴族。ギフト『収奪』
王宮内で権勢を持っていた三家が当主交代。
国政に関わる地位にいた彼らの処罰は厳しく行われた。
マフィアに依頼したマリーアンの殺害が何度失敗してもしつこく行われたのは、この三家とザステイル伯爵家が高額報酬を約束していたからだった。手付金の金額もすごかった。
こういうゴタゴタが終わって。
それぞれの処遇があらかたついたけど。
色んな複雑な事情を聞いて、ぐったりした。
主にザステイル伯爵家の事情が辛かった。
生まれる前に実のお父様が殺されていた事。ショックだ。
色々あったけど、その間もマリーアンもラインハルト様もルドルで過ごしていた。
マリーアン、職場を退職しました。
あれだけ大騒ぎをしたので。
ラインハルト様が第三王子殿下とバレました。
ドラゴンネージェルと契約したラインハルト様から求婚されているのも知れ渡りました。
ザステイル伯爵家に貴族籍があることがわかりました。下級文官は平民のための職です。
貴族籍の人間は自動的に在籍不可でした。
女子寮も退寮。
マリーアン、今は辺境伯様のお屋敷に滞在させてもらってます。
本当はお母様とお義父さまのいるラデウル家に行きたかったです。でも、警備面で却下されました。
辺境伯家で居候してます。
、、、、ラインハルト様の部屋の隣の部屋です。
辺境伯夫人とお茶したり刺繍したり、子供達と遊んだり。
辺境伯様から領都府の職員の改革案を聞かれたり。
辺境伯様は領都の人間が、しかも職員がマリーアンを殺害しようとしたことがショックだったそうです。
ラインハルト様と辺境伯様と領都の視察に行ったり。
今日はラインハルト様からデートのお誘い。
「スイーツ店の予約をした。行こう」
ラインハルト様はいつも、こう言ってマリーアンを誘う。
いつもの事だとマリーアンはラインハルトと出かけた。
侍女さん達に街歩きのドレスをコーディネートしてもらって、可愛く髪を結ってもらった。
ラインハルト様は玄関ホールで待ってくれていた。
私を見ると嬉しそうに笑う。
その笑顔が大好きだ。
「いつも可愛いけど、今日は特別に可愛いな」
ラインハルト様にエスコートされて馬車に乗る。
たわいない話をして笑い合う。
マリーアンお気に入りのスイーツ店、個室で。
果実入りアイスを味わっていたマリーアンに。
「事件も解決した。そろそろ王都に戻らねばならない。
リサとの会話を聞いていた。マリーアン、オレと婚約するよな?」
ラインハルト様がすっごい笑顔で言った。
「リサとの会話?」??マリーアン。
「備蓄倉庫でリサと話していただろ?あれ、オレに通じていたんだ。全部聞いてた」ラインハルト様。
アレが、ラインハルト様に、筒抜けだった!!!
もう死ぬと思って言った本心!
思い出して赤くなったり青くなったりした。
恥ずかしすぎる!!
「ネージェルも言ったろ?マリーアンはオレの番って」
ラインハルト様が俺様感を出してる。カッコ良い。
ラインハルト様が席を立ってマリーアンの前に片膝をついた。
「倉庫でのあの言葉を、直にオレに告げてほしい。
オレはマリーアンを愛している。オレと結婚して下さい」
ラインハルト様が胸に手を当て、「貴方に心を捧げる」という誓いの形を取った。
マリーアンを熱のこもった目で見る。
「初めて会った日からマリーアンに惚れてる。
オレと共に生きてほしい。毎日をマリーアンと過ごしたい。どんな時も2人で乗り越えていこう。オレの幸福はマリーアンと共にあることだ。
これから先にあるかもしれない悲しい時、辛い時だって、マリーアンにいて欲しい。マリーアンの辛い時は勿論オレが支えたい。
マリーアン、オレと結婚してくれ。
本心をオレに言ってくれ。オレのこと、好きだよな?」
マリーアンは白旗を揚げるしかなかった。
「ラインハルト様が、す、す、す、す、す、好きです」
頬を染め、恥ずかしさに負けつつ、小さく声に出して告げたマリーアン。
「やっと聞けた。初めて言ってくれた。嬉しいよ。マリーアン。一生大切にする。命ある限り愛すると誓う」
ラインハルト様が笑う。
この日、マリーアンはラインハルトと婚約した。
お読み頂きありがとうございました。




