1 頭上から落下物で事故死?
よろしくお願いします。
「危ない!」
ドン!と突き飛ばされた。転がる私、マリーアン17歳。
ガッシャーン!!
見事に割れる植木鉢。飛び散った植木鉢の破片が私の脚に当たった。痛いぞ。突き飛ばされて転んで突いた手のひらも痛いし。膝も痛い。衝撃が軽く痛かった。
突き飛ばして助けてくれたのはロイ先輩。私の仕事の先輩。ロイ先輩も私の横で尻もちをついている。
上を見ても、もう誰もいない。ただ、上の方から扉がバタンと閉められた音がした。
ここはゴンドワナール大陸の大国、ガルネリア王国の端っこ。
リモールド辺境伯領の領都ルドル。
領都ルドルの役所庁舎の北館。書類仕事をする人ばかり。外部からの人間はほとんど来ない。
口の端を引きつらせて震わせながら、笑おうとしてるのかロイ先輩がガクブルしながら、
「なんでお前の周りでばかり事故が起きるんだよ、マリーアン」と言った。
先輩の眼鏡の奥の私を見る目には恐怖が居座っている。
「助けて頂きありがとうございます。巻き込んでゴメンナサイ」
人として礼を言う私。
悪いのは私じゃ無いけど、謝っておく。
最初の事故は先週。
弓道場の近くを歩いていたら矢が飛んできた。頭の近くをかすめた。
危ないので弓道場に文句を言いに行ったけど、その矢は誰のものでもないと言われた。
その次は人が行き交う階段で押されて落ちた。複数人を巻き添えて。クッションにした人ゴメンナサイ。
誰が押したか、わからなかった。私が階段で足を踏み外して人を巻き添えにし、怪我人を出したと叱責された。くやしー。
平和に暮らしていたのに、急に事故が立て続けに私に起こっている。
これは「お家騒動」ってやつだと思う。
父よ、王都で何かありましたか?
5年会ってないんだけどさー。
それか、あの人絡みかな?
屋根のある室内で壁を背にして、スケジュール帳にペンを走らせた。
「水の月の12日、正午過ぎ。庁舎の外、1階南側通路にて、ベランダから植木鉢落下。ターゲット、マリーアン。一緒にいたのはロイ先輩。部長に仕事を頼まれて他部所に行く途中。ロイ先輩と合流して歩いていた時に」と記した。
「怖いよ。お前といたらオレが死にそう」
もう嫌だとブツブツ言うロイ先輩。お気の毒に。
でも、私こそが被害者だよ?
お読み頂きありがとうございました。




