12 出会った日の王城の騒動 マリーアンの噂話
よろしくお願いします。
その後。
「先ほどから気になっております。私の噂とはどの様なものなのでしょうか?」マリーアン。
「たいした話ではないよ」陛下。
「ラインハルトがマリーアンちゃんの事を報告した話なの」王妃。
「城内でのマリーアンについての噂話」が説明された。
王宮庭園パーティーでラインハルトと出会った日。
着飾り畏まった令息令嬢達が大多数。
王子を取り囲んで自分を覚えて貰おうと話しかける子供達。
高位貴族の令息令嬢の側にいる派閥の取り巻き達。優雅に歓談している様でお互い牽制しあう殺伐とした戦場でもあった。
その中で、美味しそうに幸せそうに食べまくるマリーアンは浮いていた。
給仕やメイドは微笑ましくマリーアンを見た。
純粋に食を楽しんでいる子供。
給仕から料理やスイーツを皿にのせてもらい、丁寧に礼を言う令嬢。
出した料理を大絶賛して美味しそうに食べる令嬢がいると聞いた料理人達。
彼らはわざわざマリーアンを見に来たそうだ。
自分の作った料理を食べて幸せそうなマリーアンの姿。料理人達はマリーアンの姿に感激。
その日、マリーアンは厨房で話題の令嬢となった。
その日のパーティー終了後に、ラインハルトが1人で城中に触れて回った。
「オレの婚約者が決まった!マリーアンと言う。淡いストレートの金髪で緑の瞳の令嬢だ。オレが手を出したから責任を取る!その令嬢が来たら城に入れるように!」
と門兵、門番達、城の主な使用人に言ってまわった。
「ラインハルト様が令嬢に手を出した?!」
城の使用人達が騒然となった。
侍従が王と王妃に知らせに行って、さらに大騒ぎとなった。
城の使用人達に伝わる「庭園パーティーでラインハルト王子が見初め婚約を決めたのはマリーアン嬢。その令嬢にラインハルト王子が手を出した?」である。
王と王妃はラインハルトを呼んで詳しく話を聞いた。
脱力して初な息子に説明した。
「手を出すとはこういう事で、責任を取るとはこういう場合」
ココまでをマリーアンに説明した。
「私に手を出したって、アレですか?子供の頃の可愛い思い出程度ですよね?」
マリーアン。
「思い出程度!?なっ、マリーアン、俺には大切な宝物の時間で、アレがオレの生きる意味で、、、。」青ざめるラインハルト。
「重い」アラルがつぶやいた。
「ああ。勝てん」呆れるギルヴァ。
「マリーアンちゃんの噂は、使用人達にラインハルトが言って回っちゃったちゃっただけだからね。皆微笑ましく見てただけよ。許してあげてね」
王妃。
「えっ、そうよ!城中の使用人に、私はラインハルト様に手を出されたと思われてるってこと?!」マリーアン。
「ラインハルトとマリーアン嬢の子供特有の微笑ましいエピソードを使用人達が共有しているだけだ」ムスッとしたギルヴァが言った。
実はその日、ラインハルトが両親から諭された後にまた騒動が起こった。
「ラインハルトの婚約者が決まりそうなの」
王妃が兄弟に伝えた。
アラルとギルヴァもラインハルトがその日に出会った令嬢の話を聞いた。
アラル(当時18歳)はマリーアンを遠目に見ただけで「王族に興味のない子だな」程度に思っただけ。歳が下すぎて恋愛対象に見なかった。
しかし、話を聞いたギルヴァ(16歳)はラインハルトに鋭い目を向けた。
「僕も婚約するならマリーアン嬢がいい。可愛かった。話したかったのに話せなくて。気づいたらいなくなっていた。一目見て気に入った。
今度ラインハルトと僕とのお茶会にマリーアン嬢を呼んで、マリーアン嬢に決めてもらいたい」
ギルヴァの言葉を受けてラインハルトは心底怒った。ギルヴァに負けず鋭い目を向けた。
「もう手を出した!僕の婚約者だ!」
ラインハルト。
「はっ!聞いたぞ。その程度で手を出したとは言わん!お子ちゃまは引け!」ギルヴァ。
アラルは弟達のケンカに割って入った。
「落ち着け!まだ何も決まってない。いいか、マリーアン嬢は物ではない。僕から見たらお前達2人ともお子ちゃまだ。今のお前達をマリーアン嬢が見たらどう思うか考えろ!」
その後、ギルヴァとラインハルトが1人の令嬢を巡って本気のケンカをしている事は使用人達に伝わる。
その令嬢が「あの美味しそうに料理を食べる令嬢」であることも。
王と王妃はギルヴァとラインハルトのケンカに困惑した。
翌朝ザステイル家に使者を遣わせた。
「王子の婚約者にと考えている。再び後日お茶会の機会を設けるので招待したい」と。
ザステイル伯爵家からの返信は「ありがたくお受けします。しかしマリーアンは体調不良にて、後日に願います」だった。
マリーアンとジュリア夫人をザステイル家から追い出した翌日の王家からの婚約打診。
ザステイル伯爵ダリオンはマリーアンを捜索するも見つけられなかった。
何度も王家からザステイル伯爵家に「マリーアン嬢を招待するので王宮へ登城させるように」と催促が来た。
その度ザステイル家は「マリーアンは体調不良」と隠した。
王子二人は険悪な雰囲気のまま、お互いを牽制し張り合う。王と王妃も困っていた。
一月後、痺れを切らしたギルヴァとラインハルトがザステイル伯爵家を連絡なしに訪問。
「マリーアン嬢と話をさせて欲しい」と帰らず数時間。
ザステイル伯爵ダリオンは観念してマリーアンの行方不明を伝えた。
ラインハルトは真っ青になった。ギルヴァも驚いて震えた。
貴族夫人と貴族令嬢が護衛も無しに街に放り出されたのだ。2人ともとびきり美しい。
ラインハルトとギルヴァは急いで帰城した。
両親にマリーアンの捜索を願うために。
マリーアンの行方不明は城の使用人達にも伝わった。
「王子2人の想い人はあの令嬢で行方不明」と。
ギルヴァは1年は深刻に探した。
次第に諦めて婚約者候補を数名選び、彼女らとお茶会をし始めた。
アラルは数人の高位貴族令嬢とお茶会を繰り返した後、公爵家令嬢を婚約者に決めた。
ラインハルトだけはマリーアンを探すのを止めなかった。各地に捜索を頼んだ。
暇があれば「視察」と各地に自身が捜索しに出かけた。
城の使用人達にはラインハルトの想い人としてマリーアンは有名人なのだ。
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