11 もう決定な扱いされてる
よろしくお願いします。
「遅いぞ!ラインハルト」
通された部屋に豪華な金髪に青の瞳の陛下がおられた。
「会えて嬉しいよ。マリーアン嬢。ラインハルトの父ザカリアスだ。」
「お会い出来て光栄至極にございます。マリーアン・ラデウルです。陛下」マリーアン。
「敬語はいらないよ。楽にしてくれ。今はラインハルトの父母としてマリーアン嬢と話したいのだ。家族になるのだからね」陛下。
応接室にラインハルトとマリーアンは通された。
親しい身内用の応接室らしく、こじんまりとしている。けど、調度品は上品で豪華。
王宮で用意されていたドレスを着せられたマリーアン。
髪もハーフアップされてリボンを巻かれた。
宝飾品はマリーアンが泣いて固辞した。
「落とす!無くす!壊す!弁償出来ない!」と。
応接室には王妃様がお待ちになっておられた。
「こんにちは、マリーアン嬢。ラインハルトの母のロザリーナよ。5年前からあなたに会いたかったの。
今日は朝から楽しみでね。時間になっても来ないからソワソワしていたのよ。玄関横の控室でずっと待っていたの。一目でも早くマリーアン嬢と会いたかったのに、裏口から来るなんて」
少し拗ねた口調の王妃様。20代の息子がいるなんて信じられないご容貌。ラインハルト様の年の離れたお姉様でも通じます。ツヤツヤの栗色の髪、緑の瞳の美魔女王妃様。ラインハルトに顔立ちが似ておられます。
「遅れまして申し訳ありません」ラインハルト。
「王妃陛下、私の我儘で遅れてしまいました。申し訳ございません。マリーアン・ラデウルと申します。両陛下にお目もじ出来、恭悦至極にございます。」
カーテーシーするマリーアン。
「違うの。怒ってるんじゃないのよ。ラインハルトが大好きな、噂のマリーアンちゃんに早く会いたかったのよ」
王妃様は困り顔になった。
「噂?」
そう言えば、王宮に入るとラインハルト様の側近が飛んできた。
「あなた様があのマリーアン様!私はラインハルト様の側近カールと申します。お話は沢山聞かせて頂いております」
と挨拶してくれた。何故かニマニマしていた。
ドレスを着せてくれた侍女達も、「お噂はかねがね!」
とニコニコしていた。
続いて第一王子アラル殿下も噂を口にした。
「あなたが噂のマリーアン嬢だね。会えて嬉しい」
ラインハルト様に似ている。金髪に青い目。
ご家族の男性は金髪青い目だけど、ラインハルト様だけ白金の髪にスミレ色の瞳だ。
第二王子ギルヴァ殿下は一味違った。
「私はマリーアン嬢を覚えているよ。5年前の庭園パーティーであなたの瞳と同じ、若葉色の色のドレスを着ていたね。とてもよく似合っていて可愛かった。ラインハルトに先を越されてしまって悔しいよ。でも、おめでとう。義妹かぁ。いや、まだ結婚ではないからな。ラインハルトが嫌になったら相談してね」
ラインハルトがキラキラの笑顔と殺気をギルヴァ殿下に向けた。
「冗談でも許しませんよ、ギルヴァ兄さん。マリーアンは僕の婚約者ですから」
ラインハルト様は『僕の』にとても力を入れて言った。がっしりマリーアンの腰を自分の側に寄せて。
マリーアンかラインハルトを見ると、愛おしくて仕方がないという瞳で見つめられる。
噂とは?婚約決定ですか?と聞けない。
『もう婚約も結婚も決定』な雰囲気になっている。
王と王妃に至っては
「可愛い娘が出来て嬉しいよ。婚約式と結婚式は全て王家が用意するから安心して欲しい。
教会にも司祭にも近々ラインハルトが婚約と結婚をするからと伝えてあるのだよ」
「ドレスも一流デザイナーをおさえているの。生地やレースも沢山取り寄せているのよ。楽しみだわ」
目尻を下げて喜んでいる。
断る言葉を出せないマリーアン。
辞退を言える雰囲気では無い。
「マリーアン嬢のお父上達も来ている」と王様。
「昼食の時間を少し遅れてしまったわね。さあ、昼食にしましょう」王妃様。
茫然自失気味なマリーアンと満面の笑みの一行達が食堂に着くと、マリーアンの両親も食堂に入った。
王、王妃、王子3人、マリーアンと両親の8人が食堂に集まった。
ジュリア(マリーアン母)はにこやか。しかし義父は緊張している様だ。
「では、冷めぬうちに頂こう。お口に合えば良いのだが。家族の会食なのだから、マナーなど気にせず楽しく頂こう」王。
会食が始まった。
「先程、ご両親と少しだけご挨拶とお話しさせてもらったわ」
王妃。
「ジュリア夫人には苦労させてしまったわね。行方不明になられてお探ししましたのよ。けれどもこんな素敵な旦那様とお幸せそうで良かったわ」
王妃。
「はい。毎日が幸福ですの。前年マリーアンに弟が生まれましたわ」ジュリア。
「そうか!それは素晴らしい!」王。
「まあ、素敵ね」
王妃様。
「優しい誠実な夫と出会えて幸せですわ」
ジュリア。
「わ、私の方こそ、幸せだよ、ジュリア」
義父の目に涙が浮かんだ。
「私達もご両親の様な夫婦になる様精進いたします」
ラインハルト様。
「そうだな、孫を抱く日も近いな」王様。
「お父上お母上、ご安心下さい。私はマリーアン嬢を一生大切にして、持てる全力で幸せにすると誓います。私は出会った日からマリーアン一筋ですから」
ラインハルト様。
「ふふっ。そうよね。13歳のこの子がマリーアンちゃんと出会った日のエピソードは城中の者が知っているの。衝撃だったわー」
王妃様が思い出し笑いをなさる。
マリーアンは思った。噂とは何なの?
食事がほぼ終わり、デザートが運ばれた。
素敵にデコレーションされた小さなケーキが3つずつ乗せられた3段のトレーケースが!ウットリ。
メイドさんが
「どれになさいますか?」
と聞いてくれて、お皿に乗せてもらった。
ケーキをしばし眺めて、パクリ。
おいし~!!こっちのも、ううっ、美味ー!幸せー!口の中のハーモニーを堪能する。
はっ。
何故か、テーブルの王族全員がマリーアンを凝視している。驚いていたり顔を赤らめていたり。
「こ、これは、可愛いな」
アラル殿下。
「ええ、5年前もこの様子でした。見ているこちらも幸せな気持ちになりました」
うんうん、と頷くギルヴァ殿下。
「私の婚約者ですからね!」
ラインハルト様がギルヴァ殿下を殺気を込めて睨む。どうして?!
「レディとしては失格よ。感情が顔に出すぎなのよ、マリーアン。可愛くてそのままにした私も悪いのです」
ジュリア。
「作法に問題ないのだから、良いのではないか?可愛らしいではないか」
王様。
「可愛すぎて他の奴には見せたくない。俺だけが見たい」
ラインハルト。
「そうねぇ、ラインハルト様や家族の前では良いけど、外の飲食時には表情を抑え気味にしなさい、マリーアン」
ジュリアが言うと、その場のマリーアン以外が皆、賛成した。
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