二話
~ルパートside~
「はぁ・・・」
思わずため息をついた。
なんで俺は、最愛の人を自ら手放しているのか。
いや、自分でも分かっている。
このまま俺のところにいても彼女は幸せにはなれない。
それに俺は、自由に羽ばたく彼女が好きだから。
王家の一員になってしまってはその姿を見ることは叶わないだろう。
それにあまりにも多くの問題が彼女を飲み込もうとしている。
その一因は俺に・・・俺の持つ権力に、あるんだ。
もし俺が王族じゃなければ・・・
そんなことを考えても仕方がない
そもそも、俺が彼女と婚約できたのは俺が王子だったからだ。
八年前、俺が十歳の時
俺は彼女に出会った。
その日俺はお披露目パーティーでなんとか俺に取り入ろうとする奴輩に囲まれ辟易していた。
そこでこっそり抜け出て庭に出て、彼女を見た。
彼女を初めて見て俺は彼女に心惹かれた。
誰よりも、何よりも輝いて見えた。
彼女を前にすれば月すらも霞むほどに。
子供ながらに俺は自分の持つ権力をよくわかっていた。
だから彼女の父である公爵と父王に我儘を言い、彼女と婚約させてもらった。
彼女はいつも落ち着いていて無口だったけど、話しかけたらきちんと答えてくれた。
俺におべっかを言うこともないし操ろうともしてこない。
彼女と話している時が唯一の安心できる時間だった。
彼女はとても優秀で、
関われば関わるほど俺には勿体無いんじゃないかと思うようになった。
幼い頃から優秀だなんだともてはやされていたが全然足りていない。
知識も、頭の回転の良さも、何もかも不足していると感じた。
だから必死に勉強した。
彼女と共にいられるように、
いつか、彼女の隣に立てることを目指して。
そのおかげで学園での成績はいつも二位、彼女の次だった。
大人たちからは褒め称えられた。
優秀な王子だと、将来安泰だと。
それでもまだ、隣に立つには程遠かった。
優秀なだけでは足りない。
秀才では、天才には追いつけない。
もっと、もっと頑張らないと。
でもいくら頑張っても、彼女には追いつけなかった。
それどころか俺のせいで、
彼女は、嫌がらせに遭っていた。