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Prologue

「ロゼア・ノヴェユール、私は君との婚約を破棄する!」



人々が騒めく会場で、彼のその声はよく響いた。

彼の名はルパート・シャドネイル

この国、シャドネイル王国の王太子だ。

金の短髪に海のように青い瞳をしている。


そして彼と向かい合っているのは一人の少女。

輝く銀の髪を軽く結っており、紫の瞳をしている。

名前はロゼア・ノヴェユール

ノヴェユール公爵家の長女であり、ルパートの婚約者でもある。

いや・・・だった、というほうが正しいかもしれない。

彼女は淡々と婚約破棄を受理した。


「かしこまりました、殿下。」


彼女がそう言うとルパートは一瞬悲しそうな顔をした。


ロゼアは一礼すると会場を出て行った。








「これで自由だー!!!」


馬車の中でロゼアはそう言った。

会場にいた時とは打って変わって明るく元気な表情をしている。


「お嬢様、屋敷に戻るまではお控えください。誰がみているかも分からないんですから。」


そういう彼女はロゼアの侍女、アゼルナ・サラースト

茶髪を肩のあたりで切り揃え明るいオレンジの瞳をしている。


「だって嬉しいんだもん」

「お嬢様、普通(・・)のご令嬢は婚約破棄をされたら嘆き悲しむのですよ」


アゼルナがそう言うと、ロゼアはぴたりと止まった。

そして大人しく椅子に座る。


「・・・そっか」

「お嬢様は本当に、普通と言われると何でもしますね・・・」

「そりゃそうじゃん。私は普通(・・)じゃなきゃいけないんだから」

「そうはおっしゃいますけどね・・・」


アゼルナがさらに何かを言おうとするとロゼアは手を叩いた。


「もうお説教終わり!これからどうするか考えなくちゃ」

「何か考えがおありで?」

「うん。冒険者になろうかなって。」

「冒険者、ですか・・・」

「ずっと夢だったからさー」

「そうでしたね」


「反対しないの?」


アゼルナが微笑んで頷くと、ロゼアは首を傾げた。


「危険だ、とか言われると思ってた」

「ふふ、まさか。私如きがお嬢様を心配するなど厚かましいにも程がありますから」

「アゼルナは如きなんかじゃないよ。いつも助けられてるんだから。」

「お嬢様はお優しいですね。・・・そろそろ到着するようですよ。」

「あ、ほんとだ。お父様を説得しなきゃなー・・・」


馬車が屋敷に到着しロゼアは軽快な足取りで馬車を降りた。


それを見たアゼルナは誰にいうでもなくぽつりと呟いた。



「世の中の普通(・・)にお嬢様を収めるだなんて畏れ多いと思いますけどね・・・まったく、王族たちは惜しいことをしたものです。お嬢様を自由にしてしまうだなんて・・・」















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