第2章-15
ウェスタイロンは俺の後ろにいる父に気付き
「ウィールヒル・ロヴィオさんですね?先日は馬車道を譲っていただきありがとうございます。ウェスタイロン・ド・ルーテラグホンと申します。かねてより、奥様も含めてウェスタイロン家がお世話になっております。息子さんとはバーミリト湖畔で少々お話しまして、ダイザフの学び舎へ向かうのであれば登録する時間もほとんど変わらないので、相部屋になるかもしれないと予見しておりました。クロス君とは今後仲良くさせて頂きたいと思っております。よろしくお願いいたします。」
驚いた
曲がりなりにもウェスタイロンの跡取り息子か
俺と喋った時も同じようにしろよ
ここまでしなくても良いけどさ
父も多少驚いていたが挨拶を聞いている間に落ち着きを取り戻し
妙に納得したような顔をして
「ああ、これはご丁寧にありがとう。ウィールヒル・ロヴィオで間違いないよ。ウェスタイロンの旦那とは仕事で何度も顔を合わせていてね。息子さんが同い年だってのも聞いてたんだけど、まさか相部屋になるなんてな。これからよろしく頼むよ。」
割りと軽めに挨拶を返していた
この世界に貴族社会と言うものはない
権利者は勿論いるのだが
平民と上級国民みたいな身分格差の様なものはないと言える
ウェスタイロン家は大規模組織の中心にいるが
それに媚びへつらう人間
すり寄る人間
持ち上げる人間等はいても
権威を振りかざして傅かせるような人達ではないと聞く
だから父もウェスタイロンの父親とは普通に接しているみたいだ
が
当のルーテラグホンはかなり丁寧な挨拶をしてきた
これはウェスタイロンの父親がロヴィオに対して非常に大切な仕事仲間だと思っていることを窺わせる
当人たちは対等の関係
だが
面識のない人間からしても自分たちの組織にとってあなたたちの存在は欠かせませんよ
ということを示してきたのだろう
ウェスタイロン
正直言って口生意気な面倒なやつとしか思っていなかったが
しっかりこの人間を見定めるまでは適当な評価をしてはいけないかもしれないな
父とウェスタイロンが軽く話をしている間
荷物を部屋の方へと運び込んでおいた
何度か帰省はするものの
1年間はお世話になる部屋だ
出来る限りは住み心地をよくしたいので
部屋の広さ、間取りを把握して買いそろえたいものを考えたい
そうこうしているうちに父から
「おい、クロス。飯食いに行くぞ」
と呼びかけられた
お腹は流石に減っていた
外に出ればお店は数えきれないくらいありそうなので
今日の晩飯は楽しみだ
どんな食べ物があるのかと気分良く歩ていたら
着いてくる影が1つ
ウェスタイロンだ
「お前もこっちに何か用があるのか?」
そう聞いてみると
「ロヴィオさんに夕食を誘って頂いたんだ、聞いてなかったのか?」
そう言ってニヤニヤしている
父が
「これからしばらく同じ部屋で生活するんだ、仲良くなっておいて損はないだろ?ウェスタイロンの旦那からも会うことがあったらよろしくって言われてるしな!」
ある程度仕方ない面もあるようだな
俺としてはゆっくり食べられれば何でもいい
こいつが突っかかって来たりさえしなければだが
「ルーテラグホン君、飯はなんでもいいか?」
「ルートで構いませんよ!ご飯も特に好き嫌いありませんのでお任せいたします。」
父とウェスタイロンは気楽に話しているようだ
俺も別に敵対したいわけではない
こいつの態度が気に入らなかっただけだが
俺より楽しそうに父と話しているウェスタイロンを見て
屋や嫉妬する俺がいた




