第2章-14
ウェスタイロンとの対話はイラついたものの
不思議と後を引かなかった
ダイザフに着くまでの間ずっと馬車の中で気分が悪くなるんじゃないかと危惧していたが
逆にスキルの集中訓練に勤しむことが出来た
おかげで時間を忘れ
いつの間にか目的地へと到着していた
ダイザフは学び舎もある中心地から円状に街並みが発展して広がっている
観光目的の人達も沢山いる街中までは馬車が通ることは出来ないらしく
ある程度近付いたところで馬車からは降りた
城壁などで囲まれている訳でもない
出入り、と言うか明確に、街とそれ以外の境界線はないようなものだ
誰でも来て
誰でも出られる
それゆえに観光地として賑わうのだろうか
正直言って圧倒されていたところで父に
「クロス。そろそろ陽も沈む頃だからな。さっさと学び舎で受け付け済ませて宿舎に行こう。父さんも今日は宿に泊まるけど、明日朝早く出るからな。」
そうだ
観光に来たのではなかった
早速明日から授業が始まるらしい
周囲にたくさんある出店から漂う香りは凄まじい程興味をそそられているが
そんな食べ物たちも今日で逃げてしまう訳でもない
お腹は空いてるが先に済ませてしまわなければならないことが優先だ
後ろ髪を引かれながらも父について中心地まで足早に向かった
中心地へと近づけば近づくほど喧騒は収まり、静かになっていった
学問や文化芸術が主とされているのは本当のようだ
学び舎へは保護者同伴での登録が原則となっているようで
父と俺の2人で受付を済ませ
今日から泊る部屋の鍵をもらった
1年間は無料で授業を受けられ、その授業を受けている間は宿賃もかからない
授業を受けると証明書が発行され
その証明書が一定期間の宿賃代わりの券となる
なのでただ宿賃を浮かせるためだけに
授業を受けているフリなどは基本的にできない
しかし証明書の発行手順は授業担当者の方針によって違うらしく
授業初めに配ってしまう担当者もいれば
授業開始時に配られた用紙に授業報告書をまとめ、終了時に提出し認められれば後日発行という担当者もいる
10歳にさせることか?と思わなくもないが
どうやら授業内容によって宿賃代わりになる期間が違うらしい
簡単なものであれば1日だけだったり
内容がある程度難しければ数日分だったりと
全員が全員、全ての授業を受けなければならない訳でもない
よって個人の履修の仕方で様々だとのこと
受けてみないことには細かいことまでは分からないが
知ってる内容に無駄に時間を割いてもしょうがないか
初日には授業の受け方、選び方などの説明の授業があるそうなので
それを受けてから自分なりに考えて選択するという流れだ
父に連れられながら明日から始まる授業と
その内容がざっくり書かれた時間割を見ながらあれこれ考えていたら
今日から泊る部屋に着いたらしい
「クロス、ちゃんと道は憶えたんだろうな?」
父がニヤニヤしながら聞いてくる
「大丈夫だよ、そんなに複雑でもなかったし」
父から鍵を受け取って扉に近付くと
中には人の気配があった
相部屋だ
個人で与えられる部屋は無いからな
10歳の子供に無償で貸し与えてるんだから当然か
一応扉を数回叩いてから開ける
すると中にいたのはさっき見た顔
「やはりお前か!ウィールヒル・A・クロス!せいぜい俺の邪魔はしてくれるなよ!」
ウェスタイロン・ド・ルーテラグホンだった
頭が痛くなって来た




