第2章-11
リアとソラの問題は解決してないが
俺が身近にいなければ絶対にならないという理由もなく
ある程度の補佐は出来たと思うので
遂に学び舎へ行くことになった
見送りはテージさん一家だ
父、ロヴィオは仕事で学び舎の方向へ用事があるため
折角ならと同行する
リアは寝ているものかと思っていたが
ソラを通して俺が旅立つタイミングを把握してるがゆえに
根性で起きている
眠そうだが・・・
これはしかし凄いことではないだろうか?
スキルを半分制御している様なものだ
強い感情によって熟練度を超えてスキルを押さえつけたのだろうか
「クロス兄、行かないでよ・・・」
リアが寝惚けながらも寂しそうに懇願してくる
これまでは行くな行くなと癇癪を上げたり怒ったりと騒いで引き留められていたが
本当に行く日となってしまった今日は逆に大人しいものだ
こうされた方が旅立つ身としては動き辛くなるな
「リア、また夢の中で会いに来てよ」
「遠かったら入口も遠いんだもん」
やはり人の夢の入り口は物理的距離も関係があるらしい
まだスキルも発現して間もないリアからすれば
遠くに行ってしまう俺の夢の入り口へ到達するのはかなり無理があるのだろう
「リアなら遠くても見付けられるって!待ってるからな!それにまたしばらくしたら帰ってくるから」
今度は返事がない
不貞寝か分からないが、返事をしないまま眠ってしまったようだ
ソラの様子はと言うと
かなり心配そうな顔でこっちを見たまま黙っている
ソラはあのトラウマの様な経験をしてから口数が減ってしまった
リアも問題を抱えているが
ソラの方が精神的にはかなり配慮が必要だろう
テージさん、ラザさんの方をチラッと見ると
「クロス君、いつも2人を任せっぱなしですまないね。君のおかげでうちの子達は元気でいられたようなもんだよ。おかげでクロス君がいない間も私たちだけで大丈夫そうだ」
そう言ってにっこり笑ってテージさんがソラの頭の上に手を置いている
「私たちも寂しくなるわ。ほんとにいつも頼らせてもらいっぱなしでありがとうね!帰ってくるときはご馳走させてもらうわね!」
ラザさんもリアを抱きかかえながら挨拶してくれた
2人が居れば大丈夫だろう
産まれた時から目をかけてずっと一緒にいたからな
俺も寂しくないわけがない
中身は10歳の精神ではないが
いざ本当に離れる時ともなれば涙も出てくるんだな
伝えたいことも沢山あったはずだったが
2人の言ってくれたことが頼もしいのもあって
言葉が出なかった
「ありがとうございます。行ってきます!」
最後は涙声で振り絞って挨拶をしながら手を振った
双子の2人が心配で
何処に行くにしても離れると付いてきて大変だし
目を離せないと思っていたが
離れるとなると依存していたのは自分だったんじゃないかと思うくらいに寂しさを感じる
新天地への不安や心配事よりも
故郷から離れることの方が躊躇いが大きい
そんな躊躇う気持ちを全く意に介さず
俺と父を乗せた馬車は都心部へと足を進めた




