第2章-7
テージさん一家と俺達親子の6人で教会へ向かう
5年前に俺が啓示を受けに教会へ向かってからここへは近付いていなかった
忘れてはならないことなんだけど
それでも鮮明に、強く思い出すのは精神的に辛かったからだ
あの時の両親の顔がやっぱり思い出される
暫くの間はどうして周囲の大人たちがああいった反応をしていたのか
父さんも母さんも絶望するような顔をしていたのかは分からなかったが
父さんがスキルについて色々教えてくれたことと
改めて、リアとソラだったりのスキルが本人や周囲にどんな影響を与えてしまうかとか
その危険性とかを理解して
あの時の反応が分かるようになって来た
だからこそ俺は
リアとソラにそんな思いをさせてはならない
スキルは大体わかったようなものだけど
改めてハッキリすることもあるかもしれない
そしてハッキリしたスキル名を俺達に見せたリアとソラは
俺達の顔色を窺ってくる
特にソラは顔色を窺うどころではないだろう
より集中して配慮が必要になる
そんなことを考えながら教会へ向かう
ソラのスキルもきっと効果範囲があるはずだ
何キロ先まで心の声が聞こえるはずもないだろうから
とりあえず少し距離を取って後ろの方を歩くようにしていた
近ければ近い程に心の声が聞き取りやすいんじゃないかと予想してのことだが
教会もそこまで遠い所にある訳ではないので
程なくして到着した
まずはリアから
お姉さんだし、いつまた寝てしまうかもわからないから
そして啓示を受け
頭の中に浮かんだスキル名を書き写していた
次にそのままソラも受ける
同様にスキル名を書き写し
2人が担当者にお礼を言って戻って来た
2人のスキル名は
リア【夢見】、ソラ【読心】
これはまた2人して明瞭簡潔な・・・
だが逆に言えばそれゆえに分からないことが多い
例えば
【眠っている間に両足首から甘い香りが漂う】
と言うスキルであればいつどこでどんなことが起こるかがはっきりと分かる訳だ
スキル名の中に全ての説明が入っている
ただ、どんな甘い香りなのか?
甘い香りと言っても色んな種類がある
どれだけ強く香りが発せられるのか?
睡眠の深さはどれくらいで?
と、実際に検証して見なければ分からないことも多いが
言って大したことではない
が
読心はまだ分かりやすい
効果も既に確認済みで
後は影響度合いだとか、自分でどれくらい制御出来るのかを試して行けばいい
夢見はかなり不明な所が多い
だって夢なんて誰でも見る
眠っている間に絶対見るのか?
何を見るのか
見て何なのか
考え始めたらきりが無いくらいに分からないことだらけだ
そうこうしているうちにリアはウトウトして眠り始めてしまった
こうなるとスキルの検証に費やせる時間も少なくなってしまう
悪い影響が出ないと良いが・・・
大人たちも恐らく似たようなことを思っているんじゃないか
なんてことを考えているとソラが
「僕、リアの見ている夢がわかるよ」
と言い出した
俺含め4人が全員ソラを見てビックリしている
確かにそうだ
起きている人限定のスキルと明言されているわけでもないのに
その可能性は頭になかった
テージさんが
「ソラ!リアは泣いてたりしないか?」
親としては一番気になるのはリアの精神状態だったらしい
そうだよな
聞きたいことは沢山あるだろうけど
自分の興味関心よりまず我が子の心配が先だよな
テージさんもラザさんも本当にいい親だ
「リアは悲しくないよって言ってる」
「リアと話せるのか?」
テージさんがまた驚きながら聞き返している
「うん。朝はまだよく分からなかったけど、今はリアとお話し出来るようになったみたい」
読心なので、心の中を読み取れるだけかと思っていたが
眠った相手と話すことが出来るのか
それともリアが夢見のスキルで特別なのか
また双子と言うのも関係しているかもしれないが
テージさんもラザさんも胸を撫で下ろしたような様子だ
ラザさんが
「ソラ。リアにゆっくり寝ていていいからね、起きたら2人の好きなご飯を用意しておくからねって伝えて頂戴」
と言うとソラは
「やった!」
と言って目を閉じながらリアと話し出した
さっきは目を閉じていた様子ではなかったけど
目を閉じると集中しやすいんだろうな
安心したこともあるが
問題が完全に解決したわけではない
寧ろハッキリした分、周りの人間が正しい方向に導いてあげる必要がある
これからが課題なわけだ




