第1章-33
生きている虫を消してから再度スキルを使えるようになるまで1日半ほどかかった
父は仕事に出ていていないが
1度だけ
父がいない間にスキルを試しておいていいと言われている
父が仕事で家を出るまでの間に、まだスキルが再発動できる状態ではなく
いつ回復するかも分からない状態だったからだ
確認しておいてほしいことは
生きている虫を消す時に
より集中力を高めた場合、代償がどう変わるのか?だ
然程集中しない状態で生きている虫を消した時は
発動までに体感時間が長くかかり、より集中を求められた
呼吸が荒くなり、汗をかいた
スキルの再発動までに1日半を要した
これが代償としてわかっている
何となくだが
母を消してしまった時にはこれまでにないくらい集中していたから
あの程度で済んでいたんじゃないかと思う
どこからどこまでを母として考えて
なんて余計なことも全く考慮しなかったし
誰もいない環境で、静かに、そしてやっと試せるスキルの発動にワクワクしていた
自分で言うのもなんだが
子供の集中力は時として凄まじい
興味のあることには時間を忘れて没頭し、周囲に全く影響されない程夢中になることもある
フロー状態に入っていたのかもしれない
それでいて母親の帰宅は耳に入って来たんだから
どれだけ母親の帰宅を心待ちにしていたのやらとも思うが・・・
・・・
気を取り直して
虫に対しての検証だ
リアとソラは後ろで寝ているが
念のために一度、別室に移動する
寝転がってぶつかって何かが落ちるとか、2人が高い所から落ちるとかの心配はないから
少しくらいなら見てなくても大丈夫だ
さて
親父からもらった木箱に入っている虫を見て集中する
この間はもうこの時点でスキルを発動したが
今日は一旦出来る限りの集中をしてみよう
周りの雑音が聞こえなくなるように
見えているものが箱の中の虫だけになるように
発動するスキルの感覚もより鮮明に、頭の中に描いた両手の平を胸の前で叩くイメージで
これまでに消してきた落ち葉、石ころ、木材、石、死骸、生きている虫
それらの感覚を思い出すようにして
時間の感覚が分からなくなったころに心の中で手の平を叩くと
目の前の虫が消えた
代償は?
呼吸は落ち着いている
汗ばんでいたりもしない
ではスキルは?
虚空に向けてスキルの発動チェックだけやってみると
感覚がある
これで
集中力次第で代償による反動を抑えられることが分かった
よし!
これはかなり嬉しい!
かなり使い勝手の悪いスキルかと思っていたが
鍛錬次第では代償無しも夢じゃないかもしれない
まあ、出来るようになって一体何を消すんだよと言う話ではあるが・・・
別室からリアとソラの共鳴した鳴き声が聞こえて来た
起きたか
様子を見に行ってからラザさんに伝えに行こう




