第1章-31
次の日父は仕事で出て行って
帰ってきたのはその翌日の夕方頃だった
テージさん一家もいることだしと、前のようにこれから数日家を空けるような出張が増えるらしい
なのでその前にある程度スキルの検証を勧めようと
また夕食後に家の外に出た
父が仕事に行っている間はスキルの練習や検証はしていない
父との約束もあるし
実際に使わなくても鍛錬は出来るからだ
スキルが熟練していけばいくほど
代償に必要となってくるのは集中力らしい
どれほど集中できるか、そしてどれだけ早く集中することが出来るか
それによってスキルをより大きく、より精密に、より明確にと発揮できるらしい
なのでスキルを発動する手前
集中力を高める鍛錬は出来ると言うことだ
本来は5歳なんかに出来ることではないのだが
俺は特別だからと父が教えてくれた
なのでリア&ソラを見ているときも
精神統一のようにして集中力の鍛錬をしていた
と言っても正しく出来ているのかどうかは不明だ
まだやり始めたばかりだしな
さっそく父は虫を捕まえて木箱に入れて持ってきた
木箱は2つある
1つは生きている虫
もう1つは同じ虫だがすでに死んでいる
「これで命の有無がスキルの代償にどう影響するのかを調べよう」
まずは死骸から
これはやる前から結果は分かっているような気がする
死んでしまえば生き物だって構成されている物質の集まりでしかないはずだ
スキルを発動してみる
木箱の中を確認すると死骸は消えていた
これはまあそうだよな
と思っていたんだが父は
「クロス、今無意識でやったみたいだけど、虫の死骸が入ってた箱は消さなかったな」
そう言えばそうだ
消すと言っても俺はざっくりしか考えてなかった
虫の死骸と認識したものをそのまま消しただけだ
だけど例えばどこからが虫で、どこまでが虫なのか
呼吸をしていたとして取り込んでいる気体、体内に存在する気体まで虫と捉えていいのか
それは呼吸器官に入った瞬間から?
境目はどこだ?
よくよく考えてみれば複雑なことをえらく単純化して考えていた気がする
確かに虫は消えた
だが虫の死骸の中にあった虫以外のものはどうなったんだろう?
食べ物や水、空気・・・
思い返せば母だってそうだ
服ごと消えているじゃないか
と言うことは人だけ消そうと思えば服が残るということなのか?
妙に頭を悩ませていると父が見兼ねて声をかけて来た
「クロス、スキルは単に出力を上げ下げすれば良いってもんじゃないんだ。より細かく、複雑にスキルを発動しようとするとそれなりに代償が必要となる。だが単純に考えると代償を節約することも出来るんだ。場合によって使い分ける必要があるんだぞ。まあそれはスキルによるんだけどな。」
なるほど
俺のスキルの場合は応用が利く分、扱いが難しいということだ
それに比べれば父のスキルは結構単純だ
ラザさんのスキルなんかは結構複雑なことをしているのかもしれないな、今度聞いてみよう




