第1章-3
「◆◆◆◆」
え?
・・・
は?なんだ?
これは、な、なに?
読めない・・・
何か言語が書いてあることは分かるが
知らない文字列だ
いや、おかしい
おかしくないか?
スキル名は自分に最も馴染みのある言語で表示される
これは絶対だ
言語を習得していない人間でも
周辺で最も使われている言語や
この世界で最も多くの人間が使っている言語等で表示される
だから分からなくてもメモして人に見せれば意味を教えてもらえるし
読み方を教えてもらうことが出来る
が、それは言語を習得していない人間の話だ
おれはまだ5歳だが既に読み書きが出来る
この世界でも多くの人間が使う汎用的な言語だ
確かに完璧じゃない
難しい言葉もあったりする
大人がよく分からないニュアンスで会話しているのも聞く
ああ、きっと地域性のことわざだったりするのだろうな
なんて・・・
あ・・・
まさかこれ
転生前の言語か?
諺と言うのを概念的には知っている
これは膨大な経験からなんとなく理解しているだけで
実際にどんなことわざが、どんな場面で使われていたとか
はっきりは分からない
経験と言っても
人はこういう身体の使い方をして、立つ、歩く、飛び跳ねる、物をつかむ、投げる
そんな沁みついた基本的動作を
全く知らない状態の赤子と比べて
知っている状態の赤子で産まれた
その程度だ
しかしこの世界で5年を過ごした俺と
前世で何十年と過ごした俺の経験
どっちが馴染みがあるかと言われればそうか
年数では全く勝てない
しかし馴染んでないぞ、今の俺には
その言語を使ったこともないし知りもしない
が、そんなことは関係ないと言わんばかりに啓示は「おそらく」異世界言語で表示されている
困った
割と長々とスキル名を眺めていた俺を
そろそろ周りの人間も訝し気にこちらを見てくる頃だ
管理者もたっぷりと儀式に時間をかけたこともあって
この後の予定も開けてくれているのだろう
俺が結構長い時間スキルを見ていることには割りと許容してくれているが
薄目を開いてこっちを見ている
限界か・・・
とりあえずそのまま書き写すしかない
俺は用意していた紙にスキル名を書き写した
見慣れない文字は複雑だった
一文字?書くのに結構な時間がかかる
こんな言語
前世ではさぞ使いにくかったろうに
などと思いながら苦労して写しきった
そして管理者にお礼を言い
振り返ると
そこには大勢の人間が奇妙な感情を持った目でこっちを見ていた




