第1章-22
木材の在庫はあるものの
運搬で重要な役割を担っていた母がいなくなり
割りと辺境な地域のこの辺りまでわざわざ木材を買い付けに来るお得意様が減っている
その代わり
すぐに使える訳ではないのだが
必要な地域に行って木を切り出すと言うことをやっている為
出張がやや増えているみたいだった
そしてお隣に来た家族も
実はもう少し離れた所に居住予定だったらしいが
父のところから木材を運搬して建てるとなったときに母がいなくなったため
急遽、予算オーバーになったんだとか
ならばと
いっそ近くに住んでしまえと居住地を変更したらしい
土地代は主要都市周辺以外ではかからないも同然で
その土地の管理者の許諾を得れば
邪魔にならない限りはどこに居を構えようと割りと許される
お隣さんは元居た所からある程度離れられればいいみたいで
特に拘りはないようだったから今回のように簡単に居住予定地を変えたのだそうだ
4人家族で
夫婦と、0歳の双子という構成だ
この世界で双子が無事に産まれてくることは珍しい
片方、または両方とも死産になる確率がそこそこ高いのだ
医療の発達はまだまだと言える
しかしどうやらそれだけではなく
この世界は多胎妊娠の確立がそもそも低い
現代日本では約1%と言われているが、この世界では更に100分の1
つまりは多胎出産の経験値も世界的に蓄積されにくい上に
母体負担も大きい
なので『忌み子』とも呼ばれることがあるらしい
子とは世界の財産だ
産まれてきた子に責任は何もないというのに
人は珍しすぎるものに対して忌避感を憶えてしまう
ありもしない言い伝えやら伝承などで虐げられかけたのだろうか?
越してきた夫婦は隣人になる俺と父に対して
申し訳ないと謝罪ばかりの挨拶をしていた
父も、そして俺もだが
今となっては周辺から既にやや避けられている生活だったため
越してきた家族に嫌がられるんじゃないだろうかと薄々思っていたところに今回の状況だ
似た境遇
と言う訳でもないかもしれないが
会って早々に色々とお話しさせてもらって
結束が強まった
支え合っていきましょう
ということで意見が一致したのだった
俺も父もちょっと、いやかなり人に飢えていた
これまでが密なやり取りをするくらいに来客多めの生活で
一変して閑古鳥が鳴くかのようになっていたので
どんな人であれ歓迎だったのだ
お隣さんとは家族ぐるみで仲良くしていきたいと思った




