第1章-20
母が居なくなってから
それと俺のスキルが使えなくなってから半年ほど経っていた
あれから父は仕事に復帰し
それでも連泊になるような依頼は受けず、最悪でも1泊で帰ってくるように調整しているようだった
父に頼まなければ人件費が嵩み、工期も伸びて更に得られた木材の切り口だったり見て質も悪いとなる案件も多く
割りと遠くの地から依頼が届くことも多いようだったが
ここ最近は断っているらしい
それでも収入に不自由はないのは流石だ
生活はかなり一変してしまったが
母がいないこと以外は大きく問題ない生活を続けていた
家を訪ねて来ていた近隣の人達は完全に疎遠となったわけだが
離れるものあれば、近付くものもまたあるもので
遠方から越してきた家族がお隣に家を建てていた
ここの地域では父がいることもあって
材木が異様に安く手に入る
それに質も良いとあって居住者はそれなりに多い地域だった
しかし主要都市からは中々に離れており
材木をいくら用意できたからと言っても今度は輸送手段が必要で
切れば切るほど儲かると言う訳でもないのだ
実はこの辺に関しては母のスキルが大いに役立っていた
母、ミナのスキルはなんと浮遊
これまた世界でも類を見ないほど有用なスキルではあったのだが
実際は割りと制限も多い
要は
簡単なもの、軽い物なら浮かせるのも楽だが
大岩とか、家畜何十頭とか
重い物を持ち上げるにはどんどん大変になる
わざわざスキルを使うくらいなら手で持ち上げた方が早い
なんてことも言っていた
ではスキルなんて必要ないじゃないかと思うだろうが
ここで熟練度と、肉体の限界が関係してくる
つまりはいくら鍛えても人間が持ち上げられる重量なんて限界があるが
スキルは熟練度や集中力で、結構なほど限界を度外視して鍛えることも可能だ
だからと言ってお城を地中から引きずり出して宙に浮かせるなんて到底無理な話だが
人が丸太1本そのままを一人で持ち上げるのは無理なところ
母は10本くらい浮かせることは出来たと聞く
それ以上できるかどうかは聞いたことないが、もしかしたら分からんぞ
と昔、近隣の大人が話してくれたが
詳細は不明だ
あまりに有用過ぎても酷使されるだけでは体が持たないから
あえて力を隠していたとかはあり得る話だ
だが、母は自分自身を浮かすことは出来なかったようだ
その辺も詳しく聞いてみたかったが悲しいかな
今は聞くことが出来なくなってしまった




