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26話 #紫の花弁 三馬鹿

 朝起きて、窓の外を見れば古巣(ふるす)君が走っていて。


いつも通り使用人さんが水を持ってきてくれて、お化粧をしてくれて。


いつもと違うのは、着る服くらいか。


今日は久しぶりに制服だ。



 身支度を整えて、わいわいと朝ごはんを食べて、9時になったら使用人さんに呼び出され、外へと出る。


来たばかりの頃に事情説明を受けた部屋に通され、そこで彼女から諸々のものを渡された。



「はい、こちら金貨10枚…100万フィーラです」


「はい」


「そしてこちらが身元証明書」


「はい」


「本はもう既に頂かれたということでよろしかったですよね?」


「はい」


「それでは、最後にこちらから遣わせた使用人…"シー"です」



 そう彼女が紹介すると、彼女の後ろから…そうね、クールビューティーというべき姿の女の人が現れた。


背は私と同じくらい。髪型はボブ。洋服は城の中で私たちの世話をしてくれた使用人さんたちと同じメイド服。



「お初にお目にかかります。"シー"です。以後よろしくお願いします」



 彼女はそう言って、お辞儀した。


それに呼応して、まばらに影梨(かげなし)ちゃんたちもお辞儀し返す。



「以上、今後益々のご活躍を我々一同期待申し上げます」


「はい、ありがとうございました」



 そして、私たちは外へと出た。





 今日は4月24日。



 異世界生活…一週間とちょっと。


私たちは初めて、このお城から出た。


今、あの時写真でしか見られなかった光景を、私は見ている。


エルフ、ドワーフ、獣人……そう元の世界では呼称されていた存在たち。


光る花、ボロボロながらも強さを感じさせる甲冑。



 結構感動した。



ま、とりあえずそういった感慨は置いといて……、



 私はくるりと振り返り、皆に問うた。



「さて皆、私たちはこれから何をするのでしょう?」



「えー、観光したい!」


「俺も観光はしたいなぁ」


「私はちょっと食材とか見たいなぁ」



 そう口々に皆は自らの願望を主張する。


私は首を振って言った。



「残念!まずは、家を借りに行くよ。その後は自由時間作るから、とりあえず家を借りにいくよ」



 その言葉に皆少しブー垂れた。


私は気にせず先に進む。それに釣られて皆も後ろからついてくる。


そして、手持ち無沙汰になったのか。


初めましてのシーさんに注目が集まった。


代わる代わる皆は彼女に話しかける。



「ねぇ、シーさんはなんて呼べばいいですか?」


「何でも構いませんよ。あだ名をつけても、それこそ呼ばなくても」


「あ、じゃあ私はシーちゃんって呼ぶね」


「私も!」


「どうぞご自由に」



 凛とした態度でそう話し、綺麗な姿勢で歩いていく彼女は、とてもメイドさんっぽかった。



「ねね、シーちゃん。シーちゃんは何をしてくれるの?」


「命ぜられたことなら何でも。死ねと言われたら死にます」


「わーを。さすが貴族社会。こっわ」



 私は皆の会話を聞いていた。


そして彼女を観察していた。淡々と。淡々と。



「ただ、国から秘密にしろと命ぜられているものはそちらを優先しますのでご承知ください」


「なーるほどね」


「そういう感じか」



 私は口を開き、質問した。



「ね、シーちゃんの能力って何?」


「私の能力は、話せません」



 彼女は短答に直入にそう答えた。



「ざーんねん」


「聞けるなら聞きたかったなぁ」


「ま、仕方ないか」


「あ、シーちゃん。好きな………」



 そうして次の話題へと移る中、私はジッと彼女を見ていた。


淡々と。淡々と――



 そんな中、急に耳に汚い呻き声が聞こえてくる。



「あ"あ"あ"あ"ぁぁぁ……どう"じでだよ"お"ぉぉぉ」


「ぐっぞぉ"ぉ"ぉ"……」


「ああああーー………」



 その方向を見ると、そこには地面に突っ伏した半裸の男3人が。


1人は、成人男性。残り2人は同い年ぐらいの背格好。


私たちは彼らに見覚えがあった。



 手紙で後で会う約束をしていた、私たちと同じ異世界人。



 先生と喜多原(きたはら)君と仁香迫(にかさこ)君。


元プロギャンブラーの先生と、それに追随したアホ2人だ。



 皆はこの惨状に引きながら、口々に呟く。



「お、おぅ。会う予定の時間よりも早くに会えたね。よ、良かった」


「これ…毟り取られたっぽいね」


「うわー……」



 私はそんな皆の呟きを聞きながら、手紙で伝えてもらった内容を思い出す。


 確か手紙では……、



俺たちは今いい感じに稼いで、大体12万フィーラ持ってるから結構サポートできると思うぞ。


会うときには倍にしとくから先生に任せとけよ。



なんてことを言ってた。



 そして、改めて地面に突っ伏す彼らを見る。



 ーースったな。



 私は確信した。


そして、若干引き攣りながら、先生に話しかける。



「や、先生」



そう声かけると、先生はこちらの存在に気付き、言った。



「お、白兎(しろうさぎ)か。ちょっと3万でいいから貸して…」



 私は無言でビンタし黙らせた。


そして続けてこう言った。



「私、半額の6万は残しておいてって手紙で言いましたよね?お金今必要だから!でも今のこの様子を見て、残っているような感じがしないんですけど??」



 私は結構苛立った声でそう言った。


先生は視線をすっとずらして、「あー……そうそう、実はお金に困っている子がいて……」とわざとらしい言い訳を始める。


私は再びビンタし、ゴミを見るような目で言った。



「とりあえず、この世界に来た時から今日に至るまでの経緯、話して下さい」


「あ、はい」



 パンツ一丁で体を縮こめて、先生どころか大人の威厳すら感じさせない格好で先生は話し始めた。


横で倒れていた二人もいそいそと近づいてきた。



 私は「はぁ」とため息をつきながら、正座をする3人を見下ろした。



 パッと見、私は勝手にお金を全額すった先生たちに怒っているように見えるだろう。


そして実際、私は怒っている。



 ――でも、それ以上にこれから話される言葉に恐怖していた。



 私は、手紙ではまだ、この3人のこの世界での経緯を聞いていない。



 ――なんで私たちと同じようにお城に連れて来られなかったのか



 その答えを知るのを、私は直感的に後回しにしたのだ。



 ……嫌な予感しかしなかったから。



「まず、俺は気がついたらこの国に居て……んでそのまま憲兵隊?に連れられて、そこで先生はあの2人に会ったんだよ」



 ほうほう。


私たちも連れられたけど、会うことはなかったわね。



「んでー、そこで色々と話を聞いて、ここが異世界ってことを聞いて、とりあえず運命値と能力、後()()を測ることになった」



 はいはい。私たちもそうだったわね。



「俺たちは別にお互いの能力とか知っても不都合ないって言って全員同じ場所で能力とか測った訳よ」


「そんでー、俺の能力は運否天賦」


「サイコロの出目次第で何でも叶う能力ってことで、元の世界に帰れるように願って能力使ったんだが、まー何も起きなくてな―」


「他2人の能力を測って、運命値測って、称号測って解放されたって感じだ」



 ………へ?



 私は、慌てて先生たちに聞いた。



「あれ、称号測ったときに"彼方者"って出なかったの?」


「ん?ああ。俺に"教員"ってのはでたが()()()()()()()()()()()()



 ………どういう、こと?



「へー、俺たちは全員その称号があったよ」


「マジぃ?」


「そそ、んだから城にお呼ばれしたの」


「っていうかお城の生活どーだったよ」


「いやそれが結構キツくて……」



 わいわいと話す皆んなの姿を見ながら、私は混乱の渦に沈んだ。



 ……えー、先生たち3人は彼方者がなく?しかしわたしたちと同じ異世界人。


それに、過去に居た異世界人二人は彼方者があり、私たちもある。


違いは何だ?"彼方者"っていうのは異世界人を象徴するものじゃないのか?



 考えて、考えて、考えた。


しかし、一向に何も分からない。



 ……よし、諦めよう。今度必要があれば考えよ。



 私はそう諦めることしか出来なかった。


だってマジで規則性が分からないんだもん。



だから私はそのことについて考えるのをやめて……、



 ……先生に向かって聞いた。



「続きは?」


「へ?」


「その後、今日この瞬間まで、どうやって暮らしてきたの?」



 その言葉に、若干の怒気を含ませて私は聞いた。



「まー、俺たちはとりあえず軽いものを質に入れてお金をゲットして、そっから今日までギャンブル三昧」


「元の世界よりかは全然レベル高かったけどまあ稼げたぜ!」


「んでまあ、今日なんかお金に困ってる……」



 私はその言葉を聞いた瞬間、先生を睨みつけた。


先生は冷や汗をかきながら「……じゃなくて、」と続きを話した。



「しっぽりと負けて全額失い、服を質に入れて金を手にしてルーレットをやって何もなくなったって感じだ」


「いやぁ、今日はハンドが入んないし運も悪かったなぁ」



 私はその先生の言い訳とも取れる言葉を聞き、その情報を飲み込んだ。


そして、私は皆に向かって言った。



「えー、とりあえず私は不動産に行って家借りてくるから皆は先生たちの服買い戻しといで」


「お金は渡しとくから」



 そうして、「オッケー」の言葉の後に、私は1人で家を借りにいった。


……………

………



「……なるほど、そちらの条件ですとこれらの物件が当てはまります」



 通りすがりの人に聞いた不動産屋に行き、条件を庭付き馬小屋あり4部屋以上家具付きとして探して貰い、適当な場所を提示された。


私はその中から一番安い場所を指定し、そのまま内見はパスしてお金を払う。


私の幸運なら、私が買う家は必ず……私にとって都合の良い場所なはずだからね。



 金貨3枚銀貨5枚。これが、この物件を借りる際の初期費用。


そして一ヶ月の家賃が銀貨5枚。



 出費、金貨4枚。残金貨6枚。



 その後、私は先生たちの居た賭博場へと戻り、服を買い戻した皆と合流。


私は皆を家へと案内し、着いた。



「うっわー、でけぇ」


「しかもかなり綺麗」


「城の暮らしもよかったけどこれはこれで雰囲気がいい……なんかアルプスっぽい」



 そんな感想を言い合っているのを聞きながら、私たちは中へと入る。



 当然のように玄関はなかった。


まあ、中世ヨーロッパじみたこの世界だし仕方ないわね。


あの城もそうだったし。



 そのまま中へと入ると、まずはリビング。


その先には部屋と階段が。


1階2部屋。2階3部屋の合計5部屋だ。



 私は1部屋2人で使用人さんと先生は1部屋1人として分けた。


1階は先生と使用人さん。


2階は私と影梨(かげなし)ちゃん。神城(かみしろ)君と古巣(ふるす)君。喜多原(きたはら)君と仁香迫(にかさこ)君で部屋を分けた。



 そして、荷物を置き、部屋をある程度片付けた後。


影梨(かげなし)ちゃんは外へと出て行った。



「ちょっと(ゆい)にちょっかいかけてくる〜」



そう言って。



 それから大体5分が経ち――



 ――古巣(ふるす)君がやって来た。



 私はニヤニヤと笑いながら、古巣(ふるす)君に問いかける。



()()()()()?」



 古巣(ふるす)君は苦虫を噛み潰したような顔で言った。



()()()()()()()()()()瑞稀(みずき)は――()()



私は満足そうな顔で頷いた。


………………

…………



 事は、謁見の翌日に遡る。


私は百歳(ももとせ)君から言われた言葉を、再度振り返っていた。



"過去は変わらない"



その言葉を。



 当たり前のことだ。過去は変わらない。変わりようがないし、変わってはいけない。



 でも、私含めて皆が忘れがちなことだ。


特に、人間関係において。



 例えば、暫く会っていなかった友人が……真面目だった彼/彼女がチャラい輩になっていた時。


私たちは別人のようになったとショックを受けるだろう。



 だから、接し方が分からずに疎遠になったりする。


なんで話せばいいのか分からずに、話が長続きせずにつまんない会話をしてしまう。



 ……でも、彼/彼女を今一度見てみたらどう?



 箸を持つ時の癖。歩き方の癖。顔だったり話し方だったりは、本当に変わっているの?


心根や考えかた、手癖は本当に違っているの?



 私は昔、お父さんに言われた。



 人は簡単に変わる。それはもう別人と思える程の変貌を遂げる。


でも、人は簡単には変われない。同一人物だと認識される程度には、変われない。



だから、人との縁は簡単に切るべきじゃないよ。


例えどんなに別人に思えても。



 そう、言われたことがあった。



 ま、今そんな言葉はどうでもいいんだけどね。



 私が言いたいのは……元の世界の影梨(かげなし)ちゃんと元の世界の神城(かみしろ)君。


彼らはどんな人間だった?


そして今、彼らはどんな人間なの?



 それを考えようって話だ。



で、私が今まで元の世界で見てきた彼女たちのことを考えたら、いくつか思うことがあった。



 神城(かみしろ)君はどーあがいてもただのアホで馬鹿。


遊びに行ったりゲームをしたりをしてばっかの勉強をしないボケ野郎。



 対する影梨(かげなし)ちゃんは真面目。


遅刻はほぼゼロで宿題もきちんとこなす。


ただちょっと抜けた所がある。そのくらいね。



で、2人に共通する所は……2人共、謀略とかを考えるのが苦手。隠し事が苦手。


ま、良くも悪くも普通の生活をしてきた2人だものね。



 そして、そんなことを念頭におくと、この城の中での生活で見えてくるものがある。



 影梨(かげなし)ちゃんは、影梨(かげなし)ちゃんだ。


いつも通り歩いて、いつも通りご飯を食べて……そして、偶に()()()()()()()()()()()()()


 いつも2日に1回お茶を誘ってくるけど、この城に来てからそれは()()()()()()()


 部屋の内装だって、いつにも増してシンプル。私でさえ少し変えてもらったのに、お洒落好きな彼女の部屋は部屋を与えられてから殆ど何も変わってない。



 よくよく考えてみれば変な点はたくさんあった。


彼女が"彼"。そのことに意識が行き過ぎて、上手く周りが見えていなかった。



 ……けど、こんなにたくさんの理由が現れちゃったから。


私は、彼女が"彼"じゃないこと。私の幸運が偶々外れたということを、信じられなくなった。



 影梨(かげなし) 瑞稀(みずき)は"彼"。



 その事実を、私は改めて飲み込んだ。


それと同時に、私は昔を思い出す。



-------


この学校に入る時、そもそもこの日々ヶ崎高校が田舎にあって、だから受験する人はその田舎に住む人ぐらいしかいない。


だから、私は浮いた。この田舎に一切住んでいない私は、浮いた。そんな中で、一番に声をかけてくれたのは影梨(かげなし)ちゃんだった。


------



 ……彼女は、私に()()()


この世界でも、それは変わらない。



 私の寝不足を指摘したのも彼女だし、何かしようと動いてくれた……税収を纏めた紙を書こうとしたのも彼女。


寝れない私を寝かしつけてくれたのも、彼女だ。



 絶対に、私は彼女の秘密を暴いてやる。真実を見つけてやる。


私は彼女を好きだから。一番の親友だと、そう思ってるから。



 …………まあ、それでも警戒を解いて殺されたら元も子もないし色々頑張らないとだけど。



 ぼーっと考えてでた結論は一つ。




 影梨(かげなし)ちゃんは"彼"。


だから、真相を暴きたい。



 これに尽きた。



 ……で、対する神城(かみしろ)君。


彼はいつも通りだった。ほんっとうにいつも通りだった。何か不自然な行動とかも、何かおかしな言動とかも、何もなかった。



 ()()()()()()()()()()



 仮に神城(かみしろ)君がずっと神城(かみしろ)君なら、絶対にボロを出す。


紙を破った後に私と顔を合わせても顔色一つ変えないなんてあり得ない。


慌てふためいてやらかしまくる。彼はそういう人だ。



 なのに、それはなかった。



 神城(かみしろ)君がおかしいと思ったのはあの紙をビリビリに破かれたからだ。



 ………だから、考えられる可能性は二つ。



①紙を破った人物は神城(かみしろ)君じゃない。


②そもそもこっちの神城(かみしろ)君は神城(かみしろ)君じゃない。



 本物が紙を破いた可能性は、私はないと思った。


だってその後の行動が自然過ぎるから。



 ……ええ、一番不気味なのは神城(かみしろ)君ね。


仮に全てが神城(かみしろ)のフリをする同一人物なら、それでも全く同じ動きをしているのは不気味すぎる。



 かといって、あそこに居たのが別人っていうのもまた変だ。


後から聞いたけど、そのタイミングで神城(かみしろ)君は外に出ていたらしい。



 影梨(かげなし)ちゃんの行動はまだ人間味があるわ。



 結論。


神城(かみしろ)君は要注意。



 だからまあゆっくりと2人の行動を観察して、頑張って真相を暴かないと………でも、別々の行動をされたら監視のしようがない。



 そこで私は、この城のラストメンバーを思い浮かべた。


私がフラフラだった時、毎日声をかけてくれた彼を。



 こーいうことが出来るからモテるのよねぇ。


私はそこまでタイプじゃないけど。



 彼は今のところ一番信用できる。


疑われるようなことが何一つないからね。



 ………だから申し訳ないけれど、私の協力者になって貰いましょうか。



 そう考えて、私は古巣(ふるす)君に事の顛末を話した。


もちろん、100年前に居る百歳(ももとせ)君のこととかも含めて、色々ね。


それで……まあ、100年前の彼らの存在を信じてもらうのは簡単だったわ。本にがっつり名前も載ってたし、手紙もあったし。


でも、影梨(かげなし)ちゃんは"彼"。


この情報に、当然のように懐疑を持ったから、私は提案した。



「これから、影梨(かげなし)ちゃんを観察してみて。そして、()()()()()()()()()()1()()()()()()()()()()()



 私は、結構影梨(かげなし)ちゃんに疑ってるアピールをした。


拳銃のことを問い詰めたりとか、色々とね。


だから、当然私の存在を彼女は気にする。



 ……となれば必然的に、行動を起こすのは私が居ない時に絞られるでしょ?


それに、これからは彼女が居る時の発言を抑えて、なるべく意識されないようにするわ。



 そんな説明と共に、「どう?この条件」と古巣(ふるす)君に聞いてみる。


そしてその言葉に、やっぱり少し苦しそうな顔で古巣(ふるす)君が頷いた。



……

…………



白兎(しろうさぎ)が居なかった時、半分以上の確率で瑞稀(みずき)はどこかに行ってた」



 私はその言葉を聞きながら、ニマニマと微笑む。


そんな私に怪訝な顔で古巣(ふるす)君は聞く。



「なんだか凄い楽しげだね」



 その言葉に私は言葉を返す。



「そりゃあね!ここ最近はもう、ほんっと訳わかんないことだらけだったけど、漸く自分の手が届いたっていうか予想が当たったからね!」


「しかもその訳わかんないことを共有できる人が出来たからね!その顔がなんか初々しくてもう……!」



 そんな私の言葉に、少し呆れた顔で古巣(ふるす)君は言う。



「まあ、楽になったなら良かったよ」



 私はその言葉に頷きまくりながら、「さて…」と話を区切り、古巣(ふるす)君に言った。



古巣(ふるす)君、君にはこれをあげるよ」



 そして、袋の中に入れていた2つの道具を取り出した。


一つは瓶。中には液体が入った、見慣れた瓶。


回復薬(ポーション)だ。



 もう一つは石。運命石とは対照的な、キラキラと光る石だ。



回復薬(ポーション)。聞いたことあるでしょ?回復薬よ」


「そしてこっちは、結界石。これは砕いた瞬間自分の周りに結界を張るっていう石」


「使った瞬間、他からの干渉がなくなる……皮膚の上にとっても薄いバリアを張る感じよ」


「もしもの時はこれを使ってね」



 その言葉に、「もしもって何やらせる気だよ…」と少し冷や汗をかきながら彼は呟く。


私は、「今のところは特にないわ」と笑って言った。



 それから大体10分後。古巣(ふるす)君が部屋から出て、身支度を済ませた私は階段を降りた。


そして、リビングに皆を集めた。


そして、大々的に宣言する。



「さて、それからの行動指針を発表します!」



 そして、くるりと三馬鹿の方を向いて言った。



「まず、先生たちギャンブル組は時間になるまで寝といて!」


「これからの稼ぎ頭は貴方達だからね」



 そう言うと、3人は「はーい」と口々に言った。


そして今度はお城組の方を向いて口を開いた。



「次に、お城組!観光用のお金も渡すし、行ってきてもいいけど、別でしてもらうことがあるから今から言うよ!」


古巣(ふるす)君と神城(かみしろ)君は馬を買ってきて!2人には御者をしてもらうつもりだから、帰ったら馬の扱いの練習を頼むわよ」



 その言葉に、「マジかー」と面倒臭がる神城(かみしろ)君。


そして、神城(かみしろ)君と一緒にされ、「マジかー」と古巣(ふるす)君は言葉を溢した。



 私は影梨(かげなし)ちゃんの方を向いて言った。



影梨(かげなし)ちゃんは買い出し!この中で一番料理が上手いのは影梨(かげなし)ちゃんだから、異世界食材の見極め頼んだわよ!」



 その言葉に、少し目を見開く彼女。


そりゃあそうだ。散々私が彼女を警戒していたのに、いきなり1人行動をさせたんだ。


驚いたでしょう?何か意図があると勘繰ったでしょう?



 ーー私は心の中で笑った。



 そして、「最後に…」と私の行動を宣言した。



「私はこれから商業ギルドで色々と手続きしてくるわ!」



「それじゃあ皆、解散!!」

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