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森の中で青の月の夜の計画

クロムの所領から帰ってきて、しばらく経つとチョコレッタが頼みがあると言ってきた。


「ねえ、ユリアス君。来週の『青い月の夜』に付き合って欲しいんだけど」


そうか。また、青い月の夜が来るのか。チョコレッタと仲良くなったのも、その夜を共に過ごしたからだったな。

あれから数度、青い月の夜はあったけれど、コルメイスの守りを固めて警戒は厳重にしただけだった。


「私はあの夜から強くなれたの。

今の私は森の街区を任されているじゃない? もっと強くなる必要があるわ。協力して!」


あの後で一度だけチョコレッタは蒼い月の夜に草原で魔物狩りをやったことがあるんだそうだ。2時間くらいで引き上げたらしいけれど。


「私の力を知りたくて出てみたんだけれどね。草原の魔物なら大丈夫だと思うわよ。

森の魔物は草原のよりも強いわ。街を守りたいし、強くなりたいの。お願い!」


案外、責任感があるんだな。

僕自身も久しぶりにチョコレッタと一緒に戦ってみたくなった。


「いいね。エリナ姉さんに話してみるよ」


きっと、姉さんも周りの皆も反対するような気がする。そうだったら、こっそりと抜け出すことにしよう。

僕の領の大きな収入源となっているのは魔石やそれを加工したものなので、説得できる材料はあるんだ。


ところが、誰からも反対されなかった。


「「いいと思う(います)わ」」(姉さん)(サリナ.アンフィ)

「アタシも行く!」(マーベラ)

「「準備しますわ(いたします)」」(ガディアナ.ルドフラン)


周りの者がこう言うので、参加希望者が殺到した。

仕方ないのでアルセイデスの森の時のようにチーム分けをする。


チョコレッタ、チョコレッタに強制参加させられたファーファ、サリナ達との連絡係としてサリナ系のスールヤが僕のチーム。

あとはブカスの森、アイーダ草原、メデシィナルの森の何チームかに別れることになった。


しかし、またまたテッテラさん(=イスカンダリィ公爵)が参加したいという。危険だからと断ってもしつこい。根負けして比較的安全なアイーダ草原ならば、と認めちゃった。

テノーラさんは悔しがっていた。なんでも自領の方でも「青い月の夜」の警戒をしなくてはいけなくて、「次は参加する」と宣言して帰っていった。

次があるかは分からないんだけれどなあ。


----------------------------------------


儂らもユリアス殿が行う「青い月の夜」の魔物狩りに参加出来ることになった。

最初はけんもほろろに断られたが、しつこく直訴した結果だ。万が一の際の自己責任とユリアス殿、その名代の指揮下に入ることを念押しされたが、向こうさんからしたら当然のことで異存はない。


じゃが、不満はある。ユリアス殿のチームではないのだ。危険が過ぎるとして、儂らはアイーダ草原のひとチームに入る。

アイーダ草原とて危険だ。特に青い月の夜は魔物が活性化するのだ。

ここに来る前の儂だったらば、にもなく「馬鹿げたことを」と言っておったじゃろう。


マリアージュが見慣れない弓矢を持っている。


「これ、マリアや。その弓はなんじゃ?」

「うふふん。ティアちゃんにいただいたのですよ。外れない矢なんですって」


ずるいぞ!


「ど、どれ。見せてくれるかな」


手渡された弓は小ぶりだが強度がありそうだ。良い弓だ。

矢はじっくりと見ると分かった。コロンの矢だ。確かにコロンの矢は的を外さない。

そういえばコロン族はここに集落をこしらえているのじゃった。


「この矢はまだ他に特徴があるのです。

魔物の魔力を吸って痺れさせるそうです」


はあ? そんな効果が付与されておるのか! 欲しい!


我慢できなくなって、またまた直談判した。


「しょうがないわねー。これをあげるわ」


儂はエリナから槍をもらった。槍先が変わっているな? なに? 魔物の骨とムワット石が使われていると?

ふむ。やはり魔力の吸収効果があるらしい。

良い物をもらった。


そうこうしている内に明日は青い月が出る。普通なら怖がるところなのだが、楽しみで仕方ない。

最近はユリアス殿やこの領の秘密を探るのを止めた。

どうせ、理解出来ない気がするし、理解したところで、どうせよと言うのだ?


儂はこの地に住み続けることを決めている。儂の領は誰か適当な者を見繕えばよかろう。マリアに婿を貰えばいいのだ。


明日は朝から草原で準備と言っておったし、早めに眠るとする。気がはやっておって眠れそうもないがな。


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