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僕はテイマー  作者: 鳥越 暁
賜爵と授領、開拓
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ツチグサレ消滅 遠征87日目

僕達がツチグサレ消滅のために領を出て87日目。ようやく、腐敗した荒地に辿り着いた。

その間に攻撃してきたオーガの集落を潰したり、様々な魔物を退治しつつだ。


一行の中にはオーガに捕らえられていた別のオーガの一族の娘とその従者も加わっている。


オーガの集落を潰したのはアンフィだ。オーガの集落長の放った矢が僕に向けられて激怒。暴れまくって潰していた。


「アンフィもあんなに激しい一面があるんだね」


アンフィは赤面してサリナの背に隠れている。


「申し訳ございません。頭に血が上ってしまって……」


「いや、嬉しいよ。僕のために怒ってくれてありがとうね」


一行の中にアンフィを責める者はいない。


みんな、驚くほど力をつけた。ユリアスのスキルの効果もあるが、個々に技を磨いて魔物と対峙した結果だ。


「さて、この地をどうしようか……」


話では「氷結」と「火(炎)」が効くらしい。


腐れた地の真ん中に毒々しいキノコが生えている。あれが原因なのは見て分かる。50m程も離れているのにはっきりと認識できるのだから、相当大きい。風向きの影響だろう。向かってキノコの反対側はこちら側よりももっと広く腐れている。


近くの茂みで捕まえたウサギ型の魔物を放りこんでみた。瞬く間にそのウサギは萎んでホロホロと崩れて土となってしまった。


「うわっ! みんな、土に触れないように! 」


『ボフッ』


試しにサリナが腐れている地の端に火球を撃ちこんだ。

土煙が上がる。その土煙がかかった地面がどす黒く色を変えた。


「ダメだ。広がっちゃったよ」


「うん? でもユリアスぅ。少し色が薄くなったよ」


マーベラの指摘にサリナが火球を打ち込んだところを観察する。確かに若干だが薄くなっている。


「菌類だから熱には弱いのでは?」(アンフィ)


「でも、直ぐに元に戻っていきますな」(ツキシロ)


「菌糸が土中に張られているのね。どのくらいの深さか分からないけれども、表面だけではダメな気がしますわ」


「ちょっと離れて考えよう」


安全面を考慮し500mほど距離をとって話し合う。


まず、キノコとしての基本的な知識をアンフィにレクチャーしてもらう。まあ、確認事項って感じだけど。

火に弱い。乾燥にも弱い。胞子を飛ばす。菌糸でも増える。増えるには栄養、水分が必要と。「魔」キノコだから魔素も栄養分として摂取すると言われているらしい。


うん。僕の知識とそんなに変わりがない。アンフィはもっと難しい言葉を使っていたけれど。


「空中も危ないっ言うのはどうしてなの?」


サリナが問う。


「おそらく胞子を放出するからでしょう。多分今は大丈夫だと思いますよ」

「確かめてみよう」


また、戻って腐敗した土壌の上の空間に魔石を投げてみた。

魔石は放物線を描いて地面に落下。落下した後は先程のウサギのようにボロボロと崩れて土になったのだけれど、空中にある時は大丈夫のようだ。

空中が大丈夫ならば、空を飛べる者が上から何か出来るかもしれないな。


「なんだ。上は平気なのか。えいっ!」


マーベラが石を投げた。魔石ではないただの石。気まぐれで投げた石。マーベラも本気で投げた訳ではないから、先程のように放物線を描く。真ん中の方に。


「シュッ」


音がしたと思ったら、キノコから糸のようなものが飛び出て石を絡め取った。そして、ボロボロに。


「……じ、上空も危険ですわね」

「そ、そうだね」


キノコがどうやって感知したのか分からない。感知出来る範囲も。それを調べるリスクも大きそうだ。


僕たちは上空からの攻略を諦めた。


また、距離を取って作戦会議。


「氷結って僕たちの中にそういうスキル持っている人いる?」


みんなが首を振る。そうだよね、聞いた事ないもんね。

と思ったら、マイムがカエルラに何か与えている。


「何をあげたの?」


「冷却の種だよ。多分、これでカエルラちゃんの吐き出す水は凍るよ」


話を聞くと「氷結」は水系スキルの派系なのだそうだ。水温が上がった時に冷却する時に使うのが主な使用法だとか。


カエルラがパカッと口を開けて水を吹き出す。その水が地に触れた途端「ピシッ」と凍った。


「おお!すごい!」


カエルラを見るとカエルラも凍ってた。


「か、カエルラ!」


慌ててサリナが溶かして、無事だった。カエルラはびっくりした顔をしている。そうだろう、僕らもびっくりしたからね。


気を取り直したカエルラは何度か凍りながら、「氷結」をものにした。

間接テイムモンスターのカエルラがものにしたからだろう。僕も【冷却】スキルを得た。何かの役に立つだろう。

(この時にカエルラの主テイマーのガディアナも【氷結】スキルを取得していた。)


とりあえず、レーテーの言う「氷結」と「火炎」の手立ては整ったのかな。後はどのようにするかだな。これについてはマイムも分からないみたいだ。


それから三日、僕らは試行錯誤して色々と試した。その結果、腐れた地を普通の荒れた地にまで復活できた。


長かった。


「さあ!帰ろう!」


「「「「はいっ!」」」


どのようにツチグサレを消滅させたのかは後の話で。


キャラ説明

〇カエルラ…フェントカゲ。Bランクの魔物。【アクアランス】【アクアジェット】など水系の攻撃スキルを持つ。ユリアスの間接テイムモンスター。直接の主テイマーはガディアナ。

〇マイム…アンヌーン(水の妖精)。水の精霊であるレーテーがユリアスに与えた。近い未来を予見できる。自由奔放な性格。

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